都市インバス抹消戦前..
都市インバスを落とそうする理由はそこに「有用な人が居る」との噂だった。殺せば……流れ着くかもしれない。そう……都市インバスも手に入れ「拡張が出来る」と思われているのだ。
だからこそ……手に入れるために全力で行く。今は数が少ないが向こう側を削ればそれだけこちらの富となる。向こう側の戦力も削れ……勝利も近くなると考える。
「女王陛下……衛兵団展開終わりました」
ダークエルフ族長が笑顔で私に報告を済ませる。千の衛兵たちが並び。力強く指示を待つ。霧が深い大地、都市が隠されているらしくそれから距離をとっている。制圧ではない虐殺をする。
「海兵隊、いつでも準備よし」
その隣でスラリン大将が軍服で報告する。マントが風でなびく。
「昆空兵。準備いいよ」
羽音をさせながら族長代理のカスガが女騎士鎧と槍を持った状態で私の目の前に跪く。衛兵団の隣で待機しているのだろう千の兵士にわたしは笑顔で答えた。
「2500ぐらいですか?」
「合計3023名です。衛兵1598、私たち1402名です。キリをいいようにしようとしたんですが……選定できませんでした」
私はトキヤを見る。トキヤは腕を組んで私に頷いて見せた。
「ノワールの黒騎士は全員都市インバスから撤退した。好きにしていいぞ」
そう言われ顎に手をやる。曇り空の下でスラリンに問う。
「先鋒として何を行う」
「悪魔などから制空権を手に入れ、制空権後に空爆を行います。空爆後に閃光で報せたあとに突撃をお願いします。先ずは……制空権を」
「制空権……」
空を制した権利。「空はそんなに重要なのか?」と言うが……「我々は空が新しい戦場である」と彼女に説明を受けた。理由は「見ればわかる」と言う。
「悪魔は翼で飛べるため。非常に……強力です」
「そう……ね。金竜、銀竜、トキヤ。行ける?」
「行ける」
「行く」
「ネフィア……無茶はするなよ」
3人が竜の姿へと変化する。戦力はこれだけ……これだけと言いながらも私は「素晴らしい」とも思う。
エルダー3匹、衛兵、昆虫亜人、海の亜人の精鋭だ。だからこそ……「勝てると自信を持とう」と思う。信じなければ、認めて、前を向かなければ……未来は取り戻せない。
「作戦実行前に最後の質問は?」
私の問いにエルフ族長が答える。
「女王陛下、布告や……相手の避難勧告は?」
「布告はした。すでにな……お前から先だと。避難勧告は心苦しいが。布告したんだ避難しない方が悪い。だから………要らぬだろう?」
「……敵意の無いものを斬れと?」
「私の前に突き出せばいい。私が殺ろう。慈悲は死のみ。そうだな……『生き残りは居ませんでした』と報告にある。そうだろ?」
「………はい」
ダークエルフ族長は渋々頷く。そして……ニヤリと笑う。
「女王陛下。いえ、魔王さま。わかりました」
「わかったらよろしい。皆もいいな」
「「「はい」」」
答えを聞き満足した私は皆に言う。
「この戦いは初戦であり、これからの我々の怒りをこの大陸に示す戦いである。敗けは許されず撤退の二文字もない!! 魔王ネフィアが命ずる!! 悪魔も嘆く本当の地獄を作れ!!」
ザッ!!
旗を地面から引き抜き。掲げ、降り下ろす。帝国旗は勢いよく靡く。
「全軍作戦開始!!」
膨大な魔力を放ち合図を送った。鈴の音が広がり……霧が深く。そして、潮の音が響き。始まった事を感じとるのだった。
*
女神は震えた。偵察で飛ばしている天使が緊急で映像を送る。聖域でそれを見ていたのだ。
「な、なに? これは!?」
都市インバス。悪魔族や色んな亜人が住む本拠地の前にネフィアが立っている。帝国旗を地面に刺し、天使のような6枚の白雪の羽根を広げて結晶を散らす。竜と共に空を見上げながら。
竜の姿や色んな種族が混じった連合に危機感を覚える。
「ま、まとまってる。あれ……人間?」
人間の姿も見える。人間が亜人と一緒に肩を並べ大きな槍と大きな剣を持って歩く。不思議な光景に女神ヴィナスは指令を出す。
「地域の天使を都市インバスに……四天使も向かわせる」
私はトレインに借りを作る。これが初戦なのだから「勢いをつけさせたくない」と思うのだった。
「………まぁ。あれだけならなんとかなる。3000程度ね……全部倒す」
目に見える兵数をパッと見て判断し相手の総数を把握する。そして、四天使に任せ……私は私兵である勇者を召喚しづつけるのだった。




