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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章ヴァルキュリア・フロストバーン前編RPG ~女神の統べる世界、捨てられた島~
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都市オクトパス査察①~赤い不明機~..


「女王陛下!? 大丈夫ですか!?」


「ん……んん?」


 暖かい。何か吸い付くような物で私は抱き止められていた。目の前に青い女の亞人が不安そうな顔をしている。場所は地図部屋。割って入ってきたのだろうか?


「スキャラ……お久しぶり」


「はい。女王陛下……遅れながら馳せ参じました」


「うっ……ごめん。肩を貸して……」


「はい。しかし、大丈夫ですか?」


「大丈夫聞かれたら。大丈夫としか言えないのよ。私は王だから」


「……ふぅ。そんなことないですよ。私は九代族長なのですから。もう少し気を抜いてください」


「ごめん。ちょっとかっこつけたかった」


 クスッと私は笑う。素晴らしい人が現れた。


「兵数は?」


「陸空で万員です。正確にはわかりません。都市ホエールが海兵の主力ですので」


「そうなの? なら……それらしいのを召喚して……」


「結構です。女王陛下」


「何故?」


「負荷が大きいでしょう。それに……戦えないとは言っておりません。英魔族一の部隊と信じてます」


 スキャラ族長はニカッと笑い。オドオドしい姿は全くなかった。成長した姿に……ふと気付く。


「いつから来たの?」


「ネフィア歴3年目。その間を忘れてますが……私たちは強くなったのですよ」


 うねうねと触手を揺らすスキャラは大人になっている。ならば……


「そう……ならもう少し寝かせて」


 頼もしいと思い。私は気を再度失わせるのだった。






「ふぁ~よく寝た~」


 私はフカフカの寝室で目を冷ます。お腹の具合から夕刻がすぎ、8時頃だと思う。数時間だけ寝ていたのだろう。あのあと寝室に運び入れてくれたことを感謝しなくては。


「寝れば少しは楽に………あれ?」


「「「「おはよう!!」」」」


「おはよう……」


 体を起こした先に皆が来ていた。トキヤから以下何人ものの人が胸に手を交差し。青筋を浮かべていた。


「……ネフィア。1度や2度までも……いいや何度勝手に倒れこいつらを困らせるんだ?」


 代表の一人としてトキヤが睨んでくる。


「ふえっ!?」


 その姿にめちゃめちゃビビってしまい。布団を押し上げて……深々と正座し頭を下げる。


「ごめんなさい!! 予想よりも魔力消費が激しく………」


 きっとパンジャンドラムで遊びすぎたのだ。調子をこいて大量に消費したから……


「お前が倒れたとき。ちょうどスキャラさんが居たから良かったものの……胃液も吐いてまで頑張ることはない。また目や声を失ったらどうする!!」


「そうです!! 女王陛下が……体を痛めてまで我々のために尽くす。その精神は見習いたいですが‼ 女王陛下は民の象徴でもあり……無理されると皆が不安がるのです」


「そうです。金竜として言うけど……あなたは私たちより柔らかいのよ?」


「そうだぞ、ネフィア。一応言うが……お前が一番死んじゃダメなんだぞ」


 全員が全員……私を叱りつける。ここまで言われると……


「うぐ……うぅうぅ……」


 さすがに泣く。


「………よし。叱り終了だ。やっと泣いたな」


「あとは任せました。皆さん部屋を出ましょう」


ゾロゾロ


 トキヤを残し、皆が部屋を出る。そして……トキヤが私を優しく抱き締めた。


「全くおまえは……起きるまで全員で会議してたんだ。ここでな。まぁ……今は反省し。無理そうならやめることを覚えろ」


「それ……うぐ……無理」


「おう……無理そうなら覚えろ言うたけど。今、覚えなくていいからな!?」


 ポスポスと私の頭を撫でるトキヤに私は涙を流しながら彼に抱きつく。


「皆が……怒りすぎです!! なんで………」


「それぐらいやばかったんだけどな……衛生入れなかったしな。ダークエルフ族長が開けないと入れない場所で倒れてるんだから」


「ぬ、うぐぅ」


「従者をつけるかと議論したが……残念ながら合う従者がいないと言うことで決着した。一応暇なら俺がつく。わかったな?」


「う、うん……ううう」


 寝ている間に色々あったらしい。


「ネフィア……あと。都市オクトパスが現れたけど。明日、行ってみるか?」


「う、うん」


「一度見ておくといい。俺も皆も驚いたからな」


「何を?」


「海人の本気をな」


 何を言っているかわからなかったが。私は涙を拭き取るのだった。





 次の日、トキヤに連れられてスキャラ族長治める地。オクトパス地方……都市オクトパスにやって来た。月の下で見える白い建物。青い屋根は私にとって馴染み深い。アクアマリンの都市を思い起こさせる。


 あのときから私はトキヤを愛し、そして……聖職者の道を歩んだ。


 そんな港町の風景を竜の背に乗りながら見つめる。町の街灯が灯されて……多くの海人が忙しく動き回っていた。


 そして……変な音が耳に入る。


ブルルルルルルル!!


 何かが空を飛んでいた。それしかわからないがそれは鳥のようで鳥ではなかった。それが何羽も何羽もいる。私たちの上を飛んでいた。


「なに……あれ?」


 月光に照らされているのは……青い色の物体と赤い色の物体。


「……わからないが。それとなく降りてみよう」


 トキヤが近くの屋根に降りる。見える町並みは港町の光景であり。いたって普通だったのだが。


ゴロゴロゴロゴロ


 大きいパンジャンドラムが転がっている。よくみると街灯の一部が膨らんでおりクルクル回っていた。


「………」


「………」


 異様ななんとも言えない光景に……私は族長の住む館まで屋根づたいで向かうのだった。





 屋根づたいに都市を見ながら、館までやって来た。来たのだが……ここが英魔領と思えない。見てきた所は色んな歯車が回っており。それが、家々に全て繋がっており。何か意味を成しているのだろう。


 スキャラ族長も屋敷も歯車が連なった物があり、それが屋敷にまで続いていた。


 歯車の先……その先は何か大きい塔のようなものがあり。それが時計塔だと思う。大きな針が光り時刻を示していた。10時頃だと時計は教えてくれる。


「お待ちしておりました。女王陛下」


「う、うん……私の記憶より……様変わりしてるね」


「そうだぞ……ここ何処だよ」


「王配さま。都市オクトパスです。ふふ、何度も来るようになりますよ」


「ん?」


「……」


「では、ご案内します。こちらへ」


 私は少しトキヤに対しての扱いに少しだけ鼻についた。トキヤを睨む。


「まて……浮気を疑うな……」


「ちょっと浮わついてたね」


「……未来のトキヤはいったい?」


 少しだけ、不安になりながらも私は屋敷を後にすり。馬車……っというより。前後にパンジャンドラムがついた乗り物が目の前に止まる。乗り物の運転士は半透明な青年で……彼がスライム族なのが理解できた。


「馬の代理です。では……駐屯所へ」


「はい、スキャラお嬢様」


 スキャラが乗り、私たちもそれに乗った。中は豪華な馬車の内装で……引くのが馬かパンジャンドラムかの違いでしかないようだ。


「……パンジャンドラムがいっぱい」


 そう、パンジャンドラムが都市を走り回っているのに驚いたのだ。


「スライム族だちがいっぱい増えましたから」


「増えたにしては……いや………どれより海人はどうした? 少なく見えたが?」


「海人はパンジャンドラムの製作や整備に総動員してます。作戦実行まで間に合わせるためにね。パンジャンドラムを基本、使えるのはスライム族だけです。あとは……スライム族の体液を使うかですが」


 ガタガタと揺れながら馬車は走る。色々な質問を投げ、彼女は落ち着いてそれを答えた。その落ち着きにふと……目線がトキヤに向くのがわかる。


「……スキャラ族長。大人になったな」


「はい……ありがとうございます」


 きゅっ


 スキャラ族長が服の裾をもって強く握りしめ、なにか嬉しさ我慢している。ちょっと私はタコの刺身が食べたくなってくる。


「……色目使うなよタコ娘」


「女王陛下!? い、いえ……違うんです!! これは……し、師匠のようなそんな……えっと存在でして」

「………」


 一応なーんも悪くないだろう。トキヤをつねった。


「ネフィア……痛い」


「じー」


「な、なんもないからな……」


 なんかちょっともやっとする。


「そこのパンジャンドラム!! とまれ!!」


 馬車の外で声が聞こえる。


「身分証を提示を……ふむ。よし通っていいぞ」


ガラガラガラガラガラガラ


 道を進み。窓から周りを見ると……色んな武骨な倉庫が見えた。倉庫の周りは海人が多く作業をしている。何をしているかわからないがあわだたしい。


「お嬢様、到着しました」


「はい。では女王陛下……こちらへ」


 下ろされたのはひとつの倉庫前。数人の魚人が直立し敬礼を行ったのをスキャラ族長は返し、その場去るように命じた。そして、ニュルっとあるスライムが倉庫から姿を晒す。スライムは人の形を取り、服を着ているように変身した。全裸であろうが……軍服姿になり。マントを羽織る。そして、ベレー帽を被って敬礼を行う。


「お待ちしておりました」


「スラリン大将。準備はいい?」


「ええ、できてるわ……どうぞ」


 誘われるまま、暗い倉庫の中へ足を踏み入れる。真っ暗な倉庫の中でスラリンの姿が消える。灯りをつけに行ったのだろう。


「では……女王陛下」


 トキヤの手を掴み。つばを飲む。緊張する中で……カチと言う音が聞こえた。そして……


パッパッパッパッ!!


 屋根の上のカンテラのような物が灯り、倉庫を照らす。見えたのは……


「「!?」」


 赤く塗られた翼を持ったパンジャンドラムだった。


 





【英魔海族スキャラ・オクトパス族長】

 

 オクトパスというリヴァイア種と小型スキャラ族の間に生まれた子。おどおどした姫だったが今では立派な族長に成長した。しかし、まだ若干天然が見え隠れする。海の種族を取り締まっている族長であり、ネフィアの影響によって悲願の大陸に都市を持つことが出来た。タコの魚族であり足が多い。


【パンジャン】


 スライム族の乗り物。可燃性の液を潤滑油として使用してる物もあり起爆性は高い。元は特攻兵器であり魚族英魔発展の起爆剤にもなった。










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