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女体化魔王で成り上がり、婬魔の姫と勇者のハッピーエンドのその先に  作者: 水銀✿党員
第零章ヴァルキュリア・フロストバーン前編RPG ~女神の統べる世界、捨てられた島~
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変わり果てた魔国の元首都イヴァリース・女神の勇者トキヤ..


「ネフィアお嬢何処へ行くかえ?」


→魔国イヴァリース

→やっぱりやめる


「魔国イヴァリースへお願いします」


「わかった。では、落ちないように気を付けろ……ワシは不老不死。三途の川の渡し金~」


「………のりのりですね」


「暇だったからな」






「到着した。はい、これを」


 私は霧の浜から花の大地に降り、船頭のリッチが何かを投げつける。鐘のような物で魔力を流すと音が響く。


「それが鳴ったら迎えに来てやろう。捨てられた島に連れていってやるよ。何もないと思うがな~はははは」


「ありがとうございます」


【船頭の鐘を手に入れました】


「では、気を付けてな………お尋ね者だろう。邪魔だからこそ消されたんだ。頑張れよ」


 ザァー!! ギーコギーコ!!


 リッチの船が浜を離れ霧の中で消える。霧が晴れ、周りが見える。今日も曇天の空で霧が深いが首都の方だけ雲がなく青い空に光が注いでいた。鳥のようになにかが飛んでいるがそれは背中に羽を生やした人であり。天使と言うものだろう。


「ん………」


 ローブを着て、剣と鞄を抱えて彼岸花を掻き分けて進む。「まるで物語の魔界の国のようだ」と思う。


「そういえば……ギルドカードはどうしようか?」


 入る方法はどうだろう。少しづつ都市に近付く。そして、近付き驚いた。


 壁の周りに亜人の死骸が転がり、虫や鳥によって蝕まれている。


「…………」


 あまりにも無惨に放置され……少しだけ気味悪く感じた。


 都市の門である場所につくと人間の衛兵が立っているだけで何もしていなかった。何人かの商人を素通りさせており、冒険者らしい姿も散見される。


 私もそれに混じり素通りする。


 横目で衛兵を確認する。それは……亜人であり………頭に槍が刺さり壁の縫い付けられて絶命していたのだった。


 そう、ただのカカシである。



  



 俺は天使に連れられ聖域に足を運ぶ。グリフォンと言う鷹と馬と犬がくっついたような生物が我々の主な足であり、天使以外はそれに乗っていかなければここへはこれない。


 聖域は……霧に飲まれた大陸よりも上にあり、雲より上にあり。太陽とともに移動しずっと照らしている。だからこそ、皆がそこで住みたいと願い、上級階級しか住めない状態になっている。


「女神~来てやったぞ」


「早かったですね」


 聖域内の神の間と言う大広間に白い8枚の翼を広げる女神の元に俺はやって来た。


 理由はもちろん。話があるとのこと。


「来てやったんだ。お茶ぐらいあるんだろ?」


「お茶は後で一緒に飲みましょう。それよりも……奴隷がいいかしら? 酷い人」


「奴隷ね……まぁ俺は裁かれるのを目を瞑ってくれてるだけでいいがな。でっ~話とは?」


「ある、封印が解かれ、強者が首都イヴァリースで見つかりました」


「強者?」


「名をネフィアと言い。金髪の美少女の亜人であり婬魔です。魔法使いとして……簡単に首都を落とせるでしょう」


「まーた何かの封印が解かれたのかよ……これで何度目だ?」


「何度目でしょうね。ですが……一個一個対応してますから安心してください」


「ふん………安心できるかね」


 俺は女神を鼻で笑う。この女神は確かに強い。俺に力を渡したし、多くの天使を作り人間を庇護している。しかし………太陽は霧で埋まり。聖域か天使がいる。都市しか平和と言えない。


 それすらも……平和と見せられているだけだ。我々は口には出さない。出さないが……世界には敵が多すぎる。


「何か?」


「いいや、嵐竜、デーモン、腐った竜に旧支配者を名乗る集団。亜人の残党。あとほかにあるかい?」


「…………」


「あんたはここを動けない。何故ならここの貴族達が一人締めしている。もっと勇者を増やすんだな」


「やってますよ。いっぱい」


「もっと骨のある奴を寄越せって」


 勇者……非力な人間の代わりに天使と同じように戦い。勇気ある者たち。体のいい使い捨て。


「ふぅ……あなたはいつも私に厳しいです。もっと優しくてもいいんじゃないですか?」


「ええ~まぁ……考えておく」


「仕方ないですね。はい……これが肖像画です。頼みました」


「へいへい」


 俺はそう言い。紙を受け取って魔国イヴァリースに向かうのだった。何年ぶりだろうか……あの雑魚魔王を倒したのは。


「………」


 にしても………この肖像画の女性は……婬魔らしく綺麗だ。







 魔国イヴァリースに入り先ず最初に思った事は荒くれ者たちの場所だった。音を拾うと亜人たちが奴隷として色々な目を覆ってしまうことがあり。人間同士で派閥争いをし……帝国のお尋ね者等がここまで逃げている都市だった。


 そんなところで治安なんか全くないと言って等しい。


 だからこそ……冒険者ギルドなんかなかった。


 カランカラン


 私は酒場に足を運ぶ。人間が亜人を使役し、店を運営していた。トランプに興じている集団や、亜人を捕まえて何処かへ持っていく者もいる。酷くヤニ臭い。


 スッ……


 カウンターに座り。ワインを頼む。金貨は貰っている。太陽の刻印がされた硬貨だ。店員に見せるとヘェーと言い。グラスと瓶で出す。


 注いで飲むと……糞不味い。適当に作っているのか……甘さがなかった。


「………音拾い」


 酒場の会話を聞く。愚痴など、世界の情報を手にする。


「天使は今日も空にいるな」


「なーに……魔物から護るだけだ気にするな」


「なーにが天使かってな~」


「はははは」


 空の天使は都市を護るだけらしい。治安はどうでもいいのだろう。


「……最近、亜人が蜂起したらしいな」


「まぁ……大丈夫。天使や騎士団がまーた奴隷を増やしてくれるだろう」


「おい、お前の奴隷を抱かせろよ」


「嫌だよ。お前の突っ込んだ後なんか絶対嫌だな」


 情報を拾い、世界がどうなっているかを予想する。多分だが、亜人は人間に負け奴隷となり数を減らしているのだろう。農場奴隷、いろんな嗜好を満たすための犠牲になっている。


 その事に私は憤りを……感じない。


「………冷たい」


 そう、冷たい。自分自身をそう評する。


「はぁ……」


 美味しくないお酒を飲むのを止め、彼のついて聞こうと髪をさらす。そして、ピタッと声が聞こえなくなった。


「………やらかしたか?」


 自分自身、美少女の自覚はあったが……こんなにも場が静まるとは思わなかった。ヒソヒソとする声に。己が全く隠密向きではない事を思い出される。そう……「彼が言っていたな」と思い出しながら。


「ねぇ……お嬢さん。帝国からかい? 遙々遠くから大変なこった」


 一人の男が私の隣に座る。私はそのまま無言で立ち上がり、店を出た。背後で文句1つ2つを拾い。その場を去る。


「帝国に向かおう………馬がいるな」


 まだまだ、私には世界がどうなっているか判断つかない。だからこそ……世界を見ようと思う。


「もしかしたら……知り合いに会うかもしれない」


 淡い期待、そして……


「その前に……ストーカーは何とかしましょう。私は美味しそうななんですね……きっと」


 明確な殺意を抱きながら。







 グリフォンに乗り、聖域から都市イヴァリースの上空を旋回する。昔は普通の都市だったが今では荒くれ者の流刑地となり荒れに荒れている。しかし、手放す気は女神に無いらしく。何かが隠されている気は薄々していた。


 だからこそ今回の件は「腑に落ちた」と言える。


「よぉ~天使さん。状況は?」


「……あそこに」


 グリフォンで天使に近付き。天使が指を差した方向に金髪の女性が男たちに囲まれていた。丸腰に男たちが群がっている。


 天使は監視だけを続けている。彼女らはただ言われた通りしか出来ない下級天使。しかし、下級天使でも人間より遥かに強い。逆に言えば下級天使では彼女を倒すのは無理なのだろう。


 俺が呼ばれた理由だ。美少女故に勿体無い気がするが。今のうちに危ない者は消さないと今は大変な時期なのだ。


「ふむ」


 グリフォンにその場に留まることを命令し、風の魔法を唱えて空から屋根に降りる。物音などを消し囲まれている彼女を屋根から覗く。


「姉ちゃん。幾らかで抱かせてくれよ。ほら、金貨いっぱいある」


「……お金ならある。それに、抱かせても首輪でも何でもやって奴隷落ちを狙ってるでしょ? 段取り聞こえてたわ」


「まぁ~話が早い~じゃぁ……頼むよ」


 荒くれの男たちが詰め寄る。


「一応聞こう………目の前の私は弱い? ここまで一人で来れたのよ?」


「ククク。多勢に無勢だ」


 そうは言うが何人か狼狽え。数人は逃げていた。金髪が靡き、ローブを彼女は脱ぐ。


「!?」


 俺もゴロツミも驚く。白金の鎧に身を包んだ姿に。皆が叫ぶ。大金持ちになれると。俺だって驚く。あんな、金の鎧なんか……アホがすることだろう。


「………これでも逃げないなら。わかった」


 男たちがお金に目が眩む。そして……路地での喧嘩が始まる。俺は……強さ見極めるために女を凝視した。


「………はぁ」


 一人の男の剣のリーチが届く瞬間。女が男の顔を左手掴み。叩きつける。叩きつけながら、何故か右手にいつの間にか大剣が握られている。


 目線を逸らしていない。一瞬で剣が生えたのだ。


「あ……」ぐちゃ


 ビクビクと頭を地面で潰され、絶命する。男達がビビり硬直。その一瞬が命取りだった。女が一回転し横に振り抜き壁ごと切り払う。


「あれ?」


「えっ?」


「………?」


 路地の男達がみな、変な声をあげて自分の下半身を見たことだろう。路地に血溜まりが生まれた。


「!?」


 あまりの素早い横凪ぎ払いに俺は背筋が冷えた。玄人……その剣圧は一朝一夕で出来る物じゃない。長い鍛練が必要だ。


「……なるほど。俺の案件だ」


 俺は屋根から降り、血溜まりの彼女と相対した。


「えっ!? と、トキヤ!?」


 何故か彼女は俺の名前を知り、笑顔になるのだった。






【勇者トキヤ】


 "魔王"ネフィアの夫であり薬を盛って女にした張本人。一番始めに人間と神を裏切り。一目惚れの魔王を才能を目覚め一人立ち出来るまで護り抜いた勇敢な風の魔導使いの大英雄。しかし、"魔王"ネフィアのいない世界では普通の勇者であり帝国の姫の物である。









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