急使、魔王の決断..
帝国騎士団は都市インバスで少し被害を出し……色んな事件が起き、このまま都市に居ても士気が低下し続けるとの事ですぐに都市を抜けた。その帝国軍遠征途中だった。
さぁ後は目の前の首都までと言う所まで来た。順調な遠征である。
帝国騎士団は逐次増援要請の使者を出す。
後は首都だけとなり圧倒した兵数で押し潰す作戦だったのだが。
「増援が来れないだと!?」
急報により北騎士団長が驚きの声を出した。
遠征途中での野営。天幕の中での騎士団会議中の出来事である。数十日、馬で走り追いかけてきた急使に皆が驚く。
浜辺防衛失敗。マクシミリアンに怪しい動きあり。後退し旧魔術第2都市防戦線も突破された。
そう……皆は情報を得ていた。海から来ることを……だからこそ南騎士団を残したのだが。
「南騎士団長は?」
「存命しております」
「……」
天幕で重々しい空気が流れる。使者はこれでもかと情報を話した。
得体の知れない丸い車輪が爆発したことや、雨の後、門が開け放たれて乗り込まれたことを。騎士団員たちの顔が険しくなる。
「向こうの主攻撃部隊であり。我々が居ないことを利用した攻めですね」
「うーむ……思った以上に厄介な奴等が居るようだな」
北騎士団長と東騎士団長は悩む。南1番隊長は彼の悩みが理解できず。黒騎士団長は手を挙げた。
「ここへ来て……大きく戦局を見なおさなくちゃいけない。戻るか、攻めるかだ」
黒騎士団長は提案する。攻めるか引くかの2択を。黒騎士団長は遠征を止めて引くべきだと考えるが……彼に操る力はなかった。
「攻めるか引くか……」
「面白くなって来たな……おう。俺は攻める。あの帝国の都市を落とすには聞いた数の兵では時間がかかるだろう」
「確かに。そうですね」
「それに再度攻めるには遠すぎる。この遠征で決めなければ相手に再編成の時間を与えるだろう。現に帝国を占拠するほどの戦力ではない。魔王も次の魔王が愚かとは限らないからな」
北騎士団長は目を閉じ、息を吐いた。そしてゆっくりと吸い込んで発言する。
「攻めるか引くか……意見を」
その言葉に南騎士団1番隊長が口を開く。
「この遠征で思った以上に労力、兵糧が必要であり。数年後まで先送りを考えた時……あまりにも大きい痛手も伴う。それに南騎士団長を信じています」
続いて黒騎士団長が話出す。
「私は帰還を押す。スパルタ国に援軍を求められるだろうが帝国存続を第一とするならば帰還だ。相手は強い」
今度は東騎士団長が喋り出す。
「同じことは言わんが……攻めることが大事であろう。目と鼻の先は我等も同じこと。力で捩じ伏せてこそだ」
北騎士団長が目を開ける。
「では……進軍ですね。私も先に落とす事が重要と思っております。それから戻り、戦ってもヨロシイかと。その後はマクシミリアン領地に進軍したいですね」
マクシミリアンに裏切りの兆候ありとも言われている。確かに戦ったがあまりにも呆気なく敗走したのは怪しいためだ。
そして、進軍と決まった会議はそのまま……なにも変わらずに終わったのだった。
*
数週間で私は首都イヴァリースに帰還していた。都市インバスで数日帝国兵を足止め出来ている間に到着する。
時刻は夜であり。何故か帰還を知っているエルフ族長に連れられて新しい寝室を案内された。
紙ではなく木簡として用意された物に目を通す。紙ではない理由は後世に遺すためだと言う。
内容は集まった兵数とその隊長名だった。
ほくそ笑む。
手は揃った。
「ん……そういえば……手紙があったわね」
私は手紙を開く。中は果たし状のように話がある旨が書かれていた。
カンテラで照らされている文字から伝わるのは怒り。父を残した事への怒りだった。
そう、オーク族長の息子。レオンの誰かの代筆だ。
それを読み、すぐさま夜勤の衛兵に頼んだ。
返信の手紙を渡して。
「……デュミナス・オークの子、レオン・オークとトロール族長の子……タイタン・トロール」
任された子孫。次の日……会おうと思う。
何故なら彼らが決戦で重要な役目を持っている故に。
「ネフィア……寝ないのか?」
「寝ますよ。そう……寝ますよ」
私は明日からの激務に溜め息を吐くのだった。




