スライム隊の都市略奪攻略..
「スラリン大隊長。本気!?」
都市の前に陣を展開し、帝国とにらみ合いをしている中で作戦会議用の天幕の中。スキャラ族長が叫ぶ。
部隊長も参加していたため皆が同じ意見だっ
た。
「この都市を丸ごといただきたい!? 無理よ!?」
「そうよ。あの都市をいただくの」
スラリン大隊長は笑顔でいい放つ。
「皆は……第2の陸にある都市を欲しくないか!!」
それに、すぐに答えたのはスキャラ族長。
「ほしい。だけど……奪うって……」
「パンジャンは確かに破壊は得意だが……破壊後の城壁再利用は難しくなってしまう。それを使わずどうする?」
「それは考えがある。それに私たちにはその城壁組むノウハウがないからとにかくほしい」
元々、海の中で移動して住んでいたため。城壁は無用の長物だった。魔国の都市は作って貰った都市。自分達はまだ作る事は出来ない。
「でも……あの都市よ」
そう、大きい都市だった。旧魔術第2の都市である。他の部隊長も難色を示す。
「……女王陛下はあの都市で邪竜を葬った生ける伝説の都市。欲しくない? 私なら手に入れられる作戦がある!!」
「「「スラリン大隊長の作戦で行きます」」」
「えっ!? 皆!?」
スキャラ族長が手のひらを返す部隊長たちに顔を向けて驚く。
「では、スキャラ族長。作戦立案いきます」
「……うーん。まぁ皆がいいって言うし。好きにしてください」
スキャラ族長は意見に流されたのだった。
*
ザーザー!!
天幕が風でしなるほどの雨が降る日、スキャラ族長の作戦が開始された。
「……準備はいいか?」
「おけ」
雨のなかで黒い鉄の筒にスライム達が仲間によって押し込まれる。先にグレセリンスライムの一匹が押し込まれ。鉄板を挟んでスライムが押し込まれたのだ。
パンジャンにくくりつけられた砲が移動する。
詰められた鉄の筒を都市の上方へ向けるようにパンジャンが起動を修正した。その後にパンジャンにくくりつけられた筒が爆発する。
ドゴーン!! びちゃびちゃ!!
勢いよくスライムが雨のなかでぶちまけられる。パンジャンは後方へ反動で吹き飛び。大きい大きい筒から煙があがり転がっていく……その中からぬるっと燃え尽きたスライムの女の子が這いずって出た。それを慌てて介抱し。雨で洗う。
「スライム筒移動砲。次弾準備!!」
壊れた砲は破棄し、新しい砲で最初から同じ事の手順を繰り返すのだった。
*
ベチョ……ベチョベチョ
「うっ……痛い……」
「うぐっ!?」
「……あおふ」
スライムの女の子(正確には両性)の痛がる声が雨で消される。
都市の上方を雨と共に落ちて都市に侵入した。
「す、スラリン大隊長は?」
「別のとこ落ちたみたい」
「うぅ……腰が」
「腰ないよね?」
スライム達が冗談をいいながら姿を戻す。女の子の服を着た姿だ。今のスライム族の流行りである。
「にゅぅ……胸ちっぱい」
「逆に重い」
「……個人差でちゃうね」
ヌルヌルと雨の中をゆっくり進みながら……作戦を実行を目指す。
空き家からスライム達は剣と盾を手にいれた。現地で装備を整えて……門まで向かう。そう……雨の中で奇襲をするために。
*
扉の前にパンジャンたちが陣取る。その背後に海人の兵士が槍を持って待機していた。
それが都市を囲んで3方向、3部隊に別れている。今回は指揮はなく。とにかく暴れることを命令され……今か今かと待っていた。
「……スキャラ族長。遅いですね」
侵入したスラリン大隊長以下の部隊が門を開ける段取りだ。もしバレてしまっても……門が開ければこっちの物である。
天は味方し深い雨を兵士に当てる。
「相手の士気が落ちやすい雨の日。私たちはそうでもないけど……どうだろう」
スキャラ族長は槍を2つ持って待つ。泥々の平地で……すると。遠くの都市の門が開いた。
「きた!?」
スキャラ族長が驚いた瞬間だった。パンジャンドラムが勢いよく泥を吹き飛ばしながら門まで突っ切る。それに合わせて兵士が我先にと門に殺到した。
見張りは……スライム達に倒され。スキャラ族長は難なく門を潜れ時の声をあげる。
そして……その日、北側の門から騎士団は帝国までに逃げ落ちることとなる。
スキャラ族長は足かがりの都市を犠牲なしで門を開け。少数の兵士の犠牲だけで手にいれたのだった。




