日報②..
いとおしい姫、アメリアさんへ
商業都市での事を細かく報告するよ。
もちろん我が帝国が勝った。報は届き……きっと皆が喜んでいる事だろう。
しかし……それは欺瞞と思える。
何故ならたった数百、数千程度の兵に西騎士団長がやられたのだ。それに占拠した都市の食べ物全部毒入りで大変な目に会ったよ。
だから、この手紙とは別に。自分の軍報を君にだけ伝えるよ。きっと帝国には嘘しか届いてないだろう。嘘はいけないからね。
僕たちの秘密だよ。アメリア。
ああ~そうだ。
この商業都市は今は藻抜けの空だけどきっと、多くの種族がいたんだろうね。部屋に小さい肖像画が飾られていたよ。
相手も家族はいる事を思い出させてもらったよ。まぁ、手加減はしないけどね。
そうそう、この都市から東に行くと火山地があり温泉が沸くそうだ。旅のオススメと言うガイド本を拝借。一緒に贈ったよ。
あとそうだな……聖典、魔王の運命書、覇王譚、童話、実話録。色んな本を拾ってそれも贈った。
これすごいのは全部が似た内容なんだよ。でも、細部や解釈が違い。聖典なんか嘘っぱちのように魔王を上げて崇拝しててちょっとビックリしたよ。それより優しい運命書も凄いけどね。
だけど、それらを読みあさってわかったんだ。君も会ったことある魔王は……皆が望んだ英雄なのだろうと。
否定もバカにもされている本もあったけど最後は肯定してあったし、なにより……何処にでも肖像画があった。
きれいな女性なのは知っている。
故に……恐ろしい。
こんなにも支持されている者が弱いわけがないと。
死んでも……戦おうとするほどに強い支持もある。
すまない。珍しく弱気だ。
次回はもっと明るい話題を用意するよ。
愛してる。誰よりも……トラストより。
*
女王陛下が都市にオーク族長、トロール族長を残し撤退。両名と以下兵士は英雄となりました。
黒き精鋭の影の者が最後まで確認した結果……一度倒れた者が炎を纏い。立ち上がり戦い続けたようです。
その勇姿は誰にも見てもらえなかったのが悔やまれるほどに素晴らしかったとの報告でした。
最後に皆の力の残りを手にしたトロール族長は姿を変えての戦闘で相手の将を倒すことが出来たそうです。泣きながら報告を聞き、彼は一緒に戦えなかった事を悔やんでいました。
潜入した同志の報告ですと討たれたのは西騎士団長との事。
敵はそのまま都市インバスまで進んできます。
そして……敵の編成がわかりました。それについても別紙でご報告します。
女王陛下は都市インバスを出ました。銀髪鬼と言われる人狼と接触し、何やら約束を行ったそうです。銀髪鬼が殿をつとめるとの事でした。
以上、報告です。陽の加護がありますように。
*
陛下へご報告です。
都市インバスを占拠しました。しかし、すぐに放棄し北へ即進軍しました。
*
「陛下は?」
「もう……3日も目を醒まさない」
「もうそろそろですか……」
「はい、そうですね……医者も……もう……」




