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プロジェクトP挑戦者たち..


 我々は夢魔と言う種族によって夢の中で戦闘を行う。


 その前に起きている間に会議が行われた。


「相手はあの………屈強8人の鍛えた連合軍……勝てるのか?」


「いや………難しいだろう」


「くっそ……恥ずかしい姿を陛下に見せるのか?」


 そう、夢の中に女王陛下がいらっしゃるとの事だ。我々は試されている。


「スキャラお嬢様。如何いたしましょう」


「……私はあなた方を信じます」


「お嬢様?」


「なんのために努力したか。どれだけ多くの時間を費やしたか………その結果を見て貰いましょう。そう……胸を張りながら!! これが私たちです!!」


 勇ましい言葉に我々は勇気付けられ夢はやってきたのだった。





 夢の中で知らない海域知らない海岸が見える。これはきっと攻めるべき場所。夢の中で俺は地域を把握出来た。


「……海岸にびっしり居るかね?」


「おう、ルーキびびったか?」


「全員ルーキだろ」


「違いねぇ……」


「おい!! そろそろ出発だぞ」


「了解、生きて起きたら勲章らしいぞ」


「じゃぁ。俺は貰えるな」


「はん……一番始めに爆発だろ」


 悪態をつきながら、慣れ親しんだパンジャンドラムに乗り込む。


「1番OK」


「2番よし」


「3番いいぜ」


「では、浮上!!」


 体が揺れ浮遊感を持つ。そして俺たちは水面に出た。


 下からぐわっと押し上げられ大きく波に揺れる。そう、空母に乗ったのだ。


「ちと冷えるな」


「我慢しろ………なーにすぐにつく」


「デスチーム01。乗ったぜ」


「こちら水中パンジャン。了解……爆発に幸あれ」


 空母が前進し……砂浜を目指すのだった。






 私は声をあげる。族長として皆に激を飛ばす。


「停止!! ここからは水中から上陸を行う!! 先にパンジャンドラム部隊が突っ込む。そこから我々が後を追い。混乱に乗じ占領だ。敵は全て倒せ!!……………全軍、降下!!」


バシャーン!!


 人員輸送用氷山船ハボクックから船員が海に潜り込む。私も潜り込み。水面の船を見ながら先頭を泳いでいく。


 後方からオクトパスリヴァイアサンの父上も泳ぎ。浜を目指すのだ。


「どうなっているか…………」


 不安と期待が私を急かす。上手く行けと信じて。





 浜に防壁を組み、木の杭を敵に向けて埋めた対、防御陣形で族長たちから兵を預かる2番、3番手の隊員が双眼鏡を全員覗く。


「あれは……船か」


「見えたな……明るい中では丸見えだな」


「……しかし、気を付けろ。我々首都の部隊全員がいる。それだけで敵の強さは図れる」


「そうだな、俺は持ち場に戻る。模擬戦闘でも女王陛下が見ている気は抜けねぇ」


「……バカが勝つつもりでやるんだよ」


「もちろんそのつもりだ」


 エルフ族とオーク族が持ち場につき、他種族も準備が整う。


「……旗手」


「はい」


「……降ろし用意」


「………」


「3、2、1、今!!」


バッ!!


 旗手が部隊旗を倒し、それを見ていた他の部隊の旗手が全員旗を前に倒す。


 その瞬間……魔法と矢の同時攻撃が雨のように船に向かい。氷を削っていく。


「全てうち尽くせ!! 上陸を許すな!!」


「「「おおおおお!!」」」


 石壁の上から徹底的に攻撃を浴びせた。





 バガンッ!!ガンッ!!


「おうおう激しいな……」


「氷が削れていってる」


「削れていってる場所から修復してるからなんとか耐えれるか」


「こちら水中パンジャン。そろそろ乗り上げるぞ」


「了解」


 ズザザザザザ!! ドガーン!!


 衝撃と共に目の前の厚い氷の壁が砕け散る。目の前は大きい石壁が立っていた。


「ははは………いけねぇ。本領発揮だ!!」


「デスチーム01!! 突貫!!」


「「「はぁあああああああ」」」


 キュルルルルルル!!


 船から一斉にパンジャンドラムたちが砂浜を走る。後続から続々と進み戦闘が起き続ける。


 矢は無視し相手の火玉の魔法だけを避けて失踪する。


ズザザザザザ!!


 転がり、砂を散らしながら進み続けた。


ドガッ!!


 石壁にぶつかり。そのままで力を練る。


「一番乗り!! 先に逝ってるぜ」



ドッカーン!!



 石壁に触れたパンジャンドラムたちは爆発し、壁を崩壊させたのだった。






「か、壁が!?」


「逃げろ!! 壊れるぞ!!」


「うわぁあああ!!」


 石壁の上から攻撃していた部隊が全て壁を捨てて降りる。降りた瞬間、壁が崩壊し瓦礫の山となる。


 そして、瓦礫の上を得体のしれない丸い物が走ってくる。


 兵たちは皆………混乱をきたした。攻撃をやめ逃げ惑う。予想外な攻撃にパニックを起こしてしまったのだ。しかし……皆は立ち止まる。


「………おもしろいわ」


 兵の耳に声が届く。囁くように耳元で聞こえ兵たちが落ち着く。


「全軍!! 盾を持て!! 近接戦闘用意!! 我が名はネフィア・ネロリリス!! 今から全ての兵よ!! 私の傘下に与しろ!!」


 兵たちは逃げるのをやめ盾を構えたまま後退する。





 海の中から浜を見る。崩れた壁瓦礫を越えてパンジャンドラムたちが疾走し。乗り上げて奥で爆発し続ける。


「先鋒、城壁破壊しましたね。スキャラお嬢様」


「………行ける行ける行ける!! 全軍突撃!! 相手が崩れている今が好機!!」


 後方から声が上がり、浜へ私たち魚人族は三叉槍を持って突撃する。後方の父上も上陸するだろう。


「スラリン姉、行くわよ!!」


「はい!!」


 多くの者が……崩れた壁を越えて逃げ惑う兵に追い付く。スラリンが声を張り上げる。


「我らの勇姿を女王陛下に!!」


 上陸は成功した。そう成功したのだ。





「逃げ惑う振りを止めて反転。オーク族隊前へ」


「「「オオオオおおおおお」」」


 よく響く声に部隊ごとが聞き取り。命令通りに動く。オークの屈強な男たちが3列に並び肩を当たりながら身長より大きな黒鉄盾で壁を作った。背後にトロール族が支える。

 

 それに向けてパンジャンドラムがぶつかり。爆発し続ける。


「さぁ!! 耐えよ!! 帝国の騎兵はこんなもんゃないぞ。旗手は1号旗を掲げよ!!」


「「「「ぐおおおおおっ」」」」


 爆発に押されながらも盾を押し返すオーク族。押さえるトロール族によって………進行は抑えられた。


「では、そのまま………全軍攻撃開始!!」


 1号期は赤一色。意味は攻撃。多くの場所で盾を持ち、剣を持ち。声が上がる。


 中心を深く抉られた陣形だった。浜を乗り上げての進撃は速い。しかし、勢いは弱まり。陸に上がりきった場所で止まってしまった。





「スキャラお嬢様!? 前方のオーク族が破れません!! 周りも一瞬で混乱が解けております!!」


「スラリン姉!! おかしくない!! 統制が取れてる!! 浜まで後退!!」


 スラリンとスキャラは焦っていた。最初の攻撃は成功し敗走させたと思ったのだが。目の前の黒い盾の壁は固く閉ざされ前へといけないのだ。


「重装備オーク族がここまでだとは」


「側面から多数!! 右翼からエルフ族とダークエルフ族!! 左翼は昆虫と………あれは!? 人間!?」


「後退!! 後退!!」


 敗走させたと思ったが今度は我々が押し返されている。兵の力量も違うことを思い知らされるスキャラは……ある報告で……己の軽率さを悟った。


「後方から……帝竜旗。ドレイク騎馬隊!? 浜まで迂回されてオクトパス将軍と交戦!! 後方がたたれました」


「なっ!?」


 帝竜旗。スキャラはその旗を知っている。会議室でエルフ族長が掲げてその素晴らしさを聞いていたからだ。敵の帝国皇帝の旗であり。唯一我が祖国で持っている人は一人しかいない。


「女王陛下だ!?」


 私は声を出したことを後悔する。聞いていた兵たちはその言葉を聞き隣に伝え………一瞬で戦意を喪失してしまったのだった。


「スキャラお嬢様………降伏ですね」


 剣を収め、爆発ではなく体当たり用に残ったパンジャンドラムも止まり。スキャラはうなだれた。






 演習がスキャラ族長以外全員の戦死という結果に終わり。スキャラお嬢様は夢の中でグルグルにお縄に捕まる。降伏も受け入れられずの虐殺だった。


「うぅ、うぅ……う………」


 皆の族長の前に突き出される。目の前にネフィアが椅子に座り。黙っていた。野戦用の布のテントの中で皆が集まる。なお、エルフ族長は戦死し夢から覚めそれ以外が集まる。


「えー、模擬戦闘講評。ネフィア様からどうぞ」


 ダークエルフ族長がしゃべる。


「うぅぐ……えぐ………」


「……泣くな」


 白い鎧を着たネフィアが立ち上がり、頭を撫でる。優しくほほえむ。


「まず、期を見た突撃の判断は素晴らしい。開発した攻城兵器も申し分ない。エルフ族長を巻き込めた。しかし………まだ、経験浅く、引き際と空隙に差し込まれたのは覚えておけ。向こうは騎馬が主戦力。側面背面は気を付けろ。回り込めるぞ」


「じょ、女王陛下!?」


「現に私が指揮を途中行った……それがなかったらそのまま連合は散りじりだっただろう」


「それは……つまり……」


 族長たちが部下の情けない姿に頭を抱える。エルフ族長代理のエルフは頭を掻きながらばつが悪そうにしていた。


「勝っていた。しかし………勝ちすぎは自信をつけるが。慢心が生まれる元でもある。故に余が参入した。結果、早くも士気崩壊したのは驚いたがな」


 スキャラは自分達は運がいいと感じる。こんな人を相手にしなくていいのだから。


「模擬戦闘はおおむね良判定だ。スキャラ族長以下全員。私の無理難題をよくここまでの物にしたか……褒めてつかわす。故に精進しろ最強の攻撃部隊族長どの」


 族長たちが頷く。そして、スキャラの縄を外して各々が彼女を誉める。スキャラは揉みくちゃにされながら……同志の熱さを知るのだった。







 朝方。夢での訓練後すぐにスキャラお嬢様が我々に演説を行った。


 我々は敗北したがエルフ族長を討ち取れた事。女王陛下のお褒めの言葉を聞き。我々は歓喜し、よりいっそう努力をすると心で誓い。これにてプロジャクトPは終了した。


 そして、私は……その日。病に伏した。


 無理がたったのだが。気付いた時には立てなくなったのだ。思い出したかのような疲労だ。


 だが、気分はいい。大変な日々だったが。夢中だった。


 私は皆に伝えた。神様がね、こんなすばらしい人たちを私の周りに置いて下さった。


 そう言いながら。私は計画書に完了の報告を付け加えたのだった。 






 都市ホエールが海面に上がり我々の同志は一列に並び手を振っていた。そして、白地に赤い丸を書いた国旗を掲げる。対岸には残された人や我々が旗を持って振り返すのだ。


 パンロットの妻だけ任せての療養は歯痒かったが我々はゆっくり待とうと思う。


 都市ホエールが大きな大きな水柱を吹き上げる。太陽の光に照らさ虹がかかった。


 対岸の都市オクトパスではお祭り騒ぎ。皆の顔は明るい。


 そして………都市ホエールはゆっくりと沈み。潜航して、途中野生のリヴァイアと交戦しながら帝国を目指す。


 長い遠征の始まりだった。


 私は安全な陸へと上がってしまったが。まだ始まったばかり。


 書くのはここで止めておこう。あとは……我々の勇敢な兵たちが紡いでくれるだろう。


 筆を置き、お祭り騒ぎの中に私は加わる。陽の加護があらんことを。









 











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