表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/732

第一回 九代族長会議②..


「絶対に勝つから」


 ネフィアが宣言し、族長達の顔を伺った。皆が頷きネフィアは言う。黒板はどかして大陸の地図の前に立ち、トキヤから棒を受けとりその棒先で説明をしようとする。


「軍師はいない、故に我が作戦を考えた」


 ピッ!!


 地図に魔力を流すと地図に変化が生まれる。それは驚くように分かりやすい。凸に帝国兵と記入もされる。便利である。


「便利ね。先ずは………決戦場を説明する。場所はイヴァリース大平原。この花園の広がる平原とする」


「「「「!?」」」」


 一部の族長が驚きの声を上げて立ち上がる。ガヤガヤと族長の一部が騒ぎだし、それをピシャッとトキヤが音を消して黙らせた。


「ネフィアが発言している」


「まぁ、よい。一番、リザード申してみよ」


 獣族長リザードが火を吹きそうなほどに激昂し叫ぶ。


「女王陛下!! それはこの都市の目と鼻の先です‼」


「そうだ」


「それでしたら何故我が都市の前で防衛をされない!!」


「………負けるからだ」


「負ける!?」


「あそこは防衛をする場合、まだ新しい都市であり。そう大きくはない。すぐに突破される。それに正面から戦えずにじり貧だ」


「しかし!! それではその都市は!!」


「………決戦前に、都市を見捨てる」


「なっ!?」


 族長達が驚いた表情になる。


「………俺は女王陛下に推薦したのは……我が都市を護ってもらうためでした。我のワガママでしょうが!! 何卒!! 考えなおしてください!!」


「あなたの気持ちもわかる。悔しいのも……でもね!!」


 ネフィアが机を叩いた。大きく大きく。


「正直言うわ!! あなたたちは遥かに弱い!! 私だって悔しいわ!! 祖国を踏み荒らされるのよ!! でも、祖国を護れないの!! 私たちは!! 傲るな族長ども!! 帝国はこの日のために力を貯めた」


「くぅ……よ、よわいと………」


 リザードが苦渋の顔を出して目線を下げる。心当たりがあり、言葉が弱くなる。


「正直言います。決戦までの期間中に訓練を施し。徹底的に抵抗できる場所まで持っていくことが必要なの!! 金はある!! 足りないのは時間と!! 兵のみ!!」


「…………都市はどうなりますか?」


 弱々しくリザードが言い出す。


「全面放棄。しかし、余は約束しよう。一度は相手の手にわたるが。奪い返して見せると!! 絶対にな……お前と共に祖国から逆賊を追い出してやる」


「………その言葉に嘘は?」


「ない!! 獣族長リザード。この都市に集めよ………全ての民もみな……ここにな」


「姫様……首都にそこまで入れるとは……」


「エルフ族長、ダークエルフ族長。首都を拡張しろ。壁は2の次だ。住める場所をとにかく増やせ。文句は戦後に聞く」


「………御意」


「あー姫様には……何も言えないわ」


「獣族長リザード……いいな?」


「………致し方なし。しかし、宣言しよう全族長ども聞け!! 奪還の時は我らだけでやる!! 横槍はやめてもらおう。この屈辱を内に秘め。静かにその時を待とう」


 全員が少し笑みを含んで頷く。リザードは満足したわけではないが席につき。ぶつくさとどうするかを悩みだす。


「良いでしょう。手は出さない。続きを話しましょう。物分かりよくて助かる」


 ネフィアが帝国兵の遠征予定路を決める。何個の都市が犠牲になるのを色で分ける。


「兵の問題は時間が解決できるわ。全族長がこの首都で集め訓練をさせる。あと、夢魔族長エリック」


「はい?」


「夢魔を集めよ」


「娼婦館でも?」


「士気が上がるならなんでも良いけれどそうじゃない。夢って便利で時間関係なく訓練が出来るわよ」


「ああ、なるほど……」


「訓練方法、何人かのあなたの連れの夢魔に入れといてあげる」


「わかりました。用意します」


「頼みました」


 トキヤが立ち上がり、エリックの場所に行き交渉を重ねる。エリックもトキヤから説明の細かな所を聞き。練り出す。


 それを横目で見ながらネフィアは笑顔で今度はスキャラを見る。もう決まったかなとか、都市が違う場所だしと言うことでケーキを食べてホクホクとしていた海族長スキャラがフォークを口にくわえながら目が合う。慌てて、咀嚼し、照れながらフワフワした表情を引き締めて私をみた。


「なんでしょうか‼」


 ネフィアは思う。「なにこの天然そうでかわいいタコ娘は」と、だが首を振って言葉を紡ぐ。


「あなたに重要な役を授けます」


 帝国の南部の都市を差す。


「ここの都市を落とし。次に上の都市を落とし。帝国首都の周りの都市にちょっかいをかけて」


「んぐっ!?……ごほごほ」


「大丈夫?」


「ごほごほ……げほ……む、むせた」


 族長の中で和やかな空気が流れる。涙目でむせたのを治めようと四苦八苦しているのを見ていると可愛いのだ。


「…………」


「ご、ごめんなさい」


 隣の昆虫族長の女性のカスガが背中をさする。


「大丈夫? スキャラ?」


「カスガ姉さんありがとう………」


「女王陛下の御前で……」


「本当にな」


「こんな小娘なぞオーク族の女でもやっていればいい。戦場に出る必要はないぞ」


「全く……かわいいですね」


「スキャラさんは……可愛いですね」


「ぐしぅ……ごめんなしゃい……」


 族長達が苛めるのをスキャラは涙目になる。オークは「かわいい。わが一族の女になれる」といい褒めてたのだが、気付かないだろう。オーク族は女を大事にする種族なのだ。自分の足を抱き締めてる姿は弄りたいがネフィアは堪える。


「皆さん。スキャラさんが可愛いから苛めるのはわかりますが。話をしましょう。実はここ……嵐竜によって都市が崩壊しています。そこを奪い。海族長スキャラの土地として帝国に圧力かけてください。海を遠征できるでしょうか?」


「で、でこまず!!」ガリッ


「そう。お願いしまず!?」ガリッ


 スキャラは舌を噛み。笑いそうになるのを堪えたネフィアも噛み。口を押さえて悶絶する。


「スキャラちゃん……持ってるわぁ………」


「姫様の真面目を崩すなんて……恐ろしい子」


「んぐぅ……スキャラちゃんめ……」


「!?」ブンブン


 スキャラが口を押さえながら首を振って無罪を言おうとする。実は「遠征も難しいこと」を言おうとしたが失態続きと。テンパりようで何も言えなくなったのだった。スキャラも周りが囃し立てて族長になったタイプと言える。


「………痛かった。でも安心。海族長スキャラちゃん。よろしくね。あなたの行為が相手を惑わせる。頼みましたよ。逃げてもいいわ。細かい指示は紙で用意する」


「は、はい!!」


 スキャラは緊張した面持ちで頷いた。


「最後に……都市は全て壊すけど……その前に時間を稼ぐ必要がある。一応、この商業都市ネフィアで一度時間を稼ぐ」


「時間を稼ぐとは?」


「敵にちょっかいをかけて展開をさせ、攻めず。時間を浪費させる。そして、都市を去るときは火をつけて相手に物資を渡さない状態で去る。遅滞させ……ある程度、兵を疲れさせてから決戦に臨む」


 大陸の地図に凸の字が反対にもでき、それがゆっくりと後退する。


「質問いいか?」


 オーク族長が手を上げて立ち上がる。


「おい、ネフィアの姫さんよ。そのままこっちに来るとは思えねぇ。戦線を広げる気がする。トロール都市側やあのオペラハウス側に来ないとは限らない」


「オデモ……チョットワカラヌ」


「トロールの旦那は黙ってな」


「……ウム」


 もっともな意見だとネフィアは思う。


「いいえ、絶対に来る。囮がいるから。他に戦力を散らしてそちらへ行くなら時間が稼げる。道草食うなら御の字よ」


「囮が? そんな引き寄せる餌なぞ?」


「私が……その場にいる」


「「「!?」」」


「私が戦い。殿も努め、敗戦を演じ。敵を導くわ」


 エルフ族長が机を叩く。


「ダメです!! それなら私目が!!」


「私以上に囮が出来る? 無理でしょう。目の前に王がいるなら……倒せば勝ちなら追いかけるわ」


 ネフィアは胸を張って言う。


「それに族長リザードが苦渋の決断してくれたし、それに余が出て時間を稼ぐんだ。余は各族長が使命を全うすることを信じ頑張るわ。意思は固い。文句も聞かない」


「………姫様……はぁ」


 ダークエルフ族長がエルフ族長の肩を叩いた。それから大きな流れを何をしなくちゃいけないかをネフィアは話をし……気付けば夕方になってその日は解散するのだった。次の日の会議のために。











 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ