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騎士団会議①..


 帝国の城の一室。帝国の実力者が並び、帝国の旗が何度も帝国の実力者が変わるのを見てきた場所。帝国議所だ。


 その席や椅子の数は年数とともに増えたり減ったりとしてきた場所。そしてその今の数は5つだった。丸いテーブルに囲むように椅子があり、陛下無き今では玉座のような重みの椅子5つ。その部屋に……彼らはやって来る。


 好青年のような甘い表情を持ちながら野心家の北騎士団長オヴリュージュ。


 屈強な大柄な体を持ち。過去黒騎士1番隊長の弟を持っていた東騎士団長フリード。


 一番歳を取りながらも騎士団長となった老兵南騎士団長アフトクラトル。


 マクシミリアン騎士団を正面から抑える西騎士団長オキシデント。


 全ての騎士団を監視する黒騎士団長。


 現、騎士団を指揮する5人の軍人が顔を合わせた。連合国陥落、隷属国家化の数ヵ月振りにである。


 重々しい空気の中で皆が席を座る。従者は壁に椅子を用意し座り他騎士団長の従者を警戒する。タバコを南騎士団長以外が吸い出し一服しながら話始める。話の切り口は北騎士団長から始める。


「では……始めましょうか? 書記、いいですね」


「は、はい」


「これより。騎士会議を始める。先ずは報告会です」


 北騎士団長が段取りし、笑顔で話を促す。従者が立ち上がりゆっくりと情報を出していく。


「南騎士団からの報告は以上です。嵐竜は討伐されたものとし……南側の都市二つが大きな被害を出しました。逃げてきた難民も壁の外に溢れています」


「ククク!! ハハハ!! 目の上のたん瘤が消えたのだ。痛みは伴っていたが、いつ裏切るが分からなかった魔術師たちが消えたのだ。嬉しい報告だな」


 東騎士団長が邪悪な笑みで報告を聞き。話を続ける。


「現状、南騎士団長の仕事は無くなったな。不安はない」


「そうだな。不安はない」


「次はワシだな」


 東騎士団長が部下に報告させる。内容は併合後の話である。


「結果、こちら側は平定……反帝国の貴族を失脚させ我が国の息のかっかった貴族を入れ替え頭を変えた。アクアマリンの裏切り王のおかげか戦いも全くなく。1回目が嘘のように完勝。反乱分子を残す結果だが。まぁ~時間が立てばそれも消えるだろう。騎士団は常駐している」


「これでやっと半分は手に入れましたね」


「おうよ、北騎士団長さんよ!!」


 黒騎士団長はタバコをもう一本取り、吸いながら観察する。騎士団長同士で仲互いしている時代は過ぎ………色々と変わってきている。


 北騎士団長と東騎士団長はいがみ合いながらも何かと話が会うのか共闘もしていると黒騎士団長は知っていた。東騎士団長と北騎士団長は休戦し、今は同じ敵を倒す同士としている。


 彼らは決めている。全てが終わったときに勢力争いをすることを。もう、すでに決めていた。黒騎士団長はそれを知りながらも泳がせていた。次期皇帝は誰になるかわからない。それが確定するのはこれからの結果である。


「東からは以上だ!! でっ……西騎士団長さんよ……」


「…………」


 西騎士団長は部下に手をあげて合図をする。西騎士団長の頬に冷や汗が垂れているのを右隣の黒騎士団長は見逃さない。


「報告します。マクシミリアン騎士団の潜入工作は………全て失敗しました」


 場が静まる。報告者の騎士が唾を飲みながら続けた。


「失敗した状況としまして……何やら劣勢でありました旧王国派の面々が知らぬ間に力をつけ。我々帝国派の手の者は全て退去させられました。帝国派だった者も………何やら裏切り者も出る始末でしてマクシミリアン騎士を我らの物に出来ませんでした」


「マクシミリアン騎士団長は帝国派だったろう………」


 東騎士団長が髭を触りながら疑問を呈する。


「マクシミリアン騎士団長は帝国容認でしたが。何やら……事件があり旧王国派になりました。それと同時に騎士団長が変わり……騎士団長が誰かがわからない状態です」


 黒騎士団長は皆の顔を伺いながら。自分しか情報を持ってないことに気が付く。黒騎士団長は知っている。マクシミリアン元騎士団長は生きた女王であり。あれが………隠居せず表へ出て活動したならば帝国派なぞは全く相手にならないだろう。


 マクシミリアン領の真の領主なのだ。今まで、全く静かだったが目覚めてしまったらしい。このときになって黒騎士団長はあれをトキヤに会わせた事が間違いだったのを悔いる。「いや、それも魔王の運命力の結果」と納得していた。


「黒騎士団長………何を唸っている?」


「……上手く行かないものだな」


「黒騎士団長様が苦言を………西騎士団長。マクシミリアン騎士団にいったい何が?」


「旧王国の復活を目指すらしい。旧都を取り戻すと」


「………ふむ」


「戦力的に、今叩くよりも疲弊したときに叩こう。旧都はアンデットの巣窟。掃討は数年では無理だろう」


「採決!!」


 北騎士団長が号令を叫ぶ。皆が手をあげずに満場一致で決まる。


「マクシミリアン騎士団へはスパイを送り、疲弊後に攻めるとしよう。昔のあの戦争は腑抜けだった。今なら勝てるだろう」


「完全に制服すると言うことでいいですね。次は黒騎士団長どうぞ」


「俺からはない。知っている情報は書面で先に送った」


「では…………私ですね」


 北騎士団長が立ち上がる。そして、一枚の紙を見せつけた。


「皆もご存知ですが。北伐の命令が陛下直々に下りました」


 その紙は命令書であり王印が押されていた。しかし、皆は知っている。王は床に伏せている故にそれが偽装された物だと。だが誰も声高に非難はしない。各々の思惑のために。


「北伐遠征を行います。長らく、勇者等と言う暗殺者を送り込んで国を荒して茶を濁していましたが!! やっと準備が整いました!!」


 北騎士団は元々魔国防衛を主とした任務だ。故に、昔から北伐を願いとして士気を高めて来た。北騎士団長もその洗脳に近い教育を受けている。北は討つべき場所と。


「陛下の大陸制覇の夢を叶えようではありませんか‼」


「御託はいらん」


「……そうですか。では今回、会議の議題は北伐についてでよろしいですか?」


「最初からそのつもりだ」


「まぁそうだな」


「ああ」


「………」


 各々がわかっていたという反応をする。東、南の驚異は去り。西にも「驚異はあるが大丈夫だろう」と考えている。ならば長く……目指していた北への攻勢を騎士団長たちは決める。


「では、採決。北伐を行う」


 北騎士団長の声で黒騎士団長が手を上げる。


「黒騎士団長……なんだね」


「時期早々なのではと考える。今、我々は魔国の情報が少ない。不確定な状態で戦っても勝てはしない。それにマクシミリアンが怪しい」


「不確定ではない。何人も草を忍ばして情報を得ている」


「同じくな。最近の冒険者を雇い入れたな」


「魔国に通じている冒険者ですね。東騎士団長」


「北騎士団長そうだ。冒険者に情報を売って貰っている」


「黒騎士団長……少し。臆病ですね」


「ククク、仮面の下臆病な顔をしているのだろうか?」


「………問題ない。わかった……異議はない」


 黒騎士団長は仮面の下で感情を表に出さないが、非常に焦りを感じるのだった。帝国は一度も魔国を攻めたことは無いのだから。どんなことが起きるかわからないと。


 スッ


 隣の南騎士団長が机の下で何かを手渡す。それは一通の手紙だった。


「………」


 黒騎士団長はそれを手に取り、ローブに隠す。今、この瞬間にこんなことをする理由が想像できないが「後で話そうと言うのだろう」と黒騎士団長は察する。


 北騎士団長と東騎士団長がどっちが魔王の首を手に入れるかでにらみ合いを見ながら黒騎士団長はタバコに火をつけるのだった。















 













 

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