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金竜ウロと風竜..


 金竜ウロが風竜の元へ来たあと。多くの竜の死骸が横たわり。その中心で覇竜ヘルカイトと火竜ボルケーノ、土竜グランドに腐竜が風竜に対して攻撃を仕掛けていた。それと知らない竜一頭。夢で見た竜が一頭。銀竜が一頭だ。


 私は見たことのない竜を見る。水掻きを持ち耳ヒレ、背ヒレ等。青い体の竜だ。膨大な水量を操り。氷の槍を打ち出していた。その氷の槍も風竜が用意したのか黒い鉄の槍とぶつかり合い。防がれている。


 そしてもう1体。鋼の光沢を身に纏った竜が槍を弾きながら悠々と飛んでいた。私は囁く。


「化け物同士の争い」


 地面は抉れ、木々は薙ぎ倒され。この一体で破壊の限りを尽くされている。そしてこの破壊の嵐の理由は「強く目障りだからだけ」という軽い理由だ。共闘しているようで隙あらば攻撃を加えているのを見ると全員が目障りなようだ。ヘルカイトにくっついているナスティを見ると隙あらばじゃれているようにも見えた。この時から彼女はもうぞっこんだった。


「ウロ……遅かったな」


「ボロス………ええ」


 銀竜が金竜を護ろうと前に出る。膨大な鉄の槍の雨をその鱗で弾いていく。地面には幾つもの槍が刺さりそれが原因なのか……地面には絶命している竜が横たわっていた。


 金竜ウロがボロスの横について囁いた。


「ボロス……先に言うわ。長い時間が私たちに理性を生み出す。その先に緩やかな滅びがある。覚えておいて」


「ウロ……それが答えなのか?」


「そうよ……答えよ。私たちは亜人になれる」


「亜人?」


「ええ。きっと……楽しい楽しい生活が待ってるんでしょうね……羨ましい」


「ウロ!? お前………まるでお前が居ないような言い方だが?」


 金竜はその問いに答えず激戦の中を飛ぶ。咆哮をあげながら。しかし、戦いは終わらない。私には風竜があまりの数に詠唱が出来てない事がわかり。戦いにくそうにしているのがわかった。


 風竜の魔術は確かに風の魔術だが。私が知る人よりも少し考え方が違うのか。嵐を操り、黒い鉄のような物質を操るだけしか出来てない事がわかった。風で空壁を作ってブレスを止めているが。それを攻撃に転用しようとはしていない。


 知識で魔術を使わず。感覚で使っているのが目に焼き付いた。それは荒い。


「ネフィアさん………手伝って貰ってもいいですか?」


「……いいですよ。力を貸したことは言わないでね」


「はい……女神ネフィアさま」


「名前を言うのも禁止で女神でもない」


 私は彼女の頭の中で叫ぶ。


「なら、英魔王よ」








 ネフィアさんの声が響く。ネフィアさんはただ、蘇った風竜を倒すために調べに来ただけだった。弱い今の彼ではなく。老齢の強くなった彼に挑むために。


 勇ましく手加減せずに。白い大きな翼で挑もうとしている。未来を救うために。そして私は喜ぶ。勝たなくていいと。


「私の体はきっと……あなたが去ったとき。滅ぶでしょう。でも……最後に金色の花を咲かせてみせましょう」


「ロマンチストね。あなた」


「きっと、私の作られた時の言語の比重はそういうのが多かったのでしょうね」


「ふふ。私も好きよ。そういうの……でも……」


「ずっと私の中で過ごそうと思ってないですか?」


「えっと……」


「ダメです。私はもう死んでいる竜。未来に置いてきた人が居るでしょう?」


「……ええ。でもボロスはどうするの?」


「彼は強い竜です。どんな答えを出すかを見届けられませんが……これ以上の奇跡は贅沢です」


 私はもう一度咆哮をあげる。


「風竜に話がある道を開けよ!!」


 全く誰も話を聞かない。


「……声が届きませんね」


「………もう一度……今度は咆哮だけを」


「わかりました。すぅ……」


「音伝え」


 金竜は再度咆哮をあげた。その咆哮は竜たちの戦いを止めるほど大きくなり竜たちが一斉に五月蝿いと罵り魔法とブレスを吐いていく。


 バシュン!!


 金竜ウロ前に銀竜が立ちはだかり。翼を広げて全ての攻撃を受け鱗と血が飛び散る。金竜ウロは自分の声量とそのボロスの受け止めるために前に来たことに驚いた。


「ボロス!?」


「ウロ……大丈夫だな。さぁ……奴等の手は止まったぞ」


「ええ、ウロ……最後の通知を」


「わかった……風竜メイルシュトローム」


 金竜ウロの声は皆に届く。他の竜もその魔法に驚きながら黙ってしまう。新しい物に気になってしまう子供のように。


「なんだ、金竜。俺らの邪魔をするか?」


「あなただけ隠居しない。考えを改めませんか? 他の竜と同じように距離をとりませんか?」


「なに? 距離を取れと」


「ええ、長い時間をかけて。のんびりしませんか?」


「…………ふん」


「金竜ウロ!! 後ろだ!!」


 風竜メイルシュトロームが咆哮をあげる。背後に大きな魔方陣が生まれ大きい黒い槍が産み出された。それを放たれる。金竜の周りに光となって飛んでいた私は念じた。力を貸してあげたいと。だから、少し私の翼を貸してあげよう。


 バサッ!!


 金竜の鱗が剥がれ落ちる。柔らかそうな白金の羽毛のような翼が新しく生え。鱗も全て落ち、白く輝き光沢のある鱗が生え揃った。髪飾りのように尖った頭の鱗に手甲とまるで文明人のような防具を着ているような姿になる。


 そして、ゆっくりと迫った黒槍が背中の鱗に追突するが傷をつけるだけで弾かれる。


「……な、なに!?」


「「最後の忠告はした。皆とともに未来には行かせない」」


「だ、だれだお前は!!」


「「我が名は金竜ウロなり。風竜メイルシュトローム。お前は竜を殺しすぎた」」


 竜、全員が言葉を失う。そして風竜は焦り出した。目の前の竜の異様な姿に。


 私は……ネフィアはウロの感情が手に取るようにわかる。滅びる未来を見たが故の苦悩と己の生まれた理由に苦悩し……銀竜ボロスに救われたこと。銀竜ボロスを残して先に逝くこと。新しい未来の糸口を見つけ……その幸せそうな場に私がもう入れず寂しいこと。そして……今は目の前の皆のためにコイツだけは抑えようとする勇気が溢れた。


「ククク!! 金竜!! お前は力を隠していたな!! お前は今、だれよりも強い!!」


 ウロは剣を産み出す。緑色の大剣に柄から木の根のように拳から腕に絡みつき。直接魔力が流れ出る。

 

 私はネフィア様の事がわかる……ああ……こんなにも。苦労をしていたのか。こんなにこの人は弱かった。多くの人との出会いが流れてくる。色んな亜人、人間、竜が彼女の友であり親友であり家族なのだろう。羨ましく思いそして……感謝する。


 私たちは目の前の餓鬼に剣を向けた。多くの竜が遠くに離れ私たちを見つめる。


「「風竜……覚悟はいい?」」


 重なった声で重なった魂で。私たちは未来を掴む。


「覚悟か……ククク。お前を倒せば俺が最強だと言える」


 風竜の周りに多くの竜巻と私の周り360度、上下、左右が魔方陣に囲まれる。風竜が右手に魔力をため。左手に黒い槍を装備する。


「ウロ!!」


 ボロスの声が聞こえ。私はそのボロスの顔を見て微笑む。


「「言伝て……頼みましたよ」」


「ウロ!? どうするつもりだ!!」


「「未来に託すんです。こいつはどうやっても……理性を手にはしないでしょう」」


 私は翼をはためき金の鱗が飛び散り。魔力によって燃え上がり、魔方陣の黒槍が同時に打ち出される。

 

黒い槍の雨(死ね金竜)


「「金翼の爆炎(じゅうによくのツバサ)」」


 私たちと風竜が叫んだ。己が正しいと信じて。













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