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金竜の夢..


 私は夢に入ると言うよりも落ちるというイメージで過去に遡る。長く色んな人に引っ張られて夢という記憶の中を私は歩くことが出来るようになった。


 能力発現のきっかけはあの人の夢を見たいからだった。そう、マナの夢に顔を出したのだから。


「まぁ……今でも見せてはくれないので、夢に渡る努力はしてるんですけど……マナには会えない……」


 暗い、水の底のような場所にゆっくりと沈んでいく。命綱はない。気を付けないと戻ってこれないほど深く深く落ちていく。


 私のイメージなのか……過去は下へ。未来は上にあり。水面下のような暗さと深さがある。


 前は何もない空間だったが今は海のような場所で深く潜っていく。多くの記憶が海となって過去に沈殿しているのだ。それが積み重なって今がある。


「深い……」


 何百年前の夢に繋がろうとしているのだ。深くて当たり前であり……そして。


「未来……変わってしまうかも」


 関わった瞬間に未来は変わる。記憶消去……これは夢だったで終わればいいが終わらない場合は何かしら遠因になるだろう。


「……………まぁでも何事も悩むより行動あるのみ」


 私は長く長く落ちながら。物思いに耽る。


「とにかく百聞は1見にしかずと言うし。見てみましょう」


 私はイメージする。風竜に関わった人たちを。その人たちの記憶の海に入ればあとは……読むだけでいい。


 フワッスタッ!!


 目的の階層についたようで私はそこで、一つ光を見つける。誰の記憶かを知らないがその小さな光まで歩き出す。


 光に触れる瞬間……暗がりの世界が暗転する。風が私の髪を靡かせ。あまりの明るさに目を閉じていた。


「うっ……眩しい………」


 ゆっくりと目を開けるとそこは断崖絶壁の丘の上だった。目の前に広がる森と空。翼を持つものが飛んでいた。大自然が広がり。マナの魔力も濃く。全てが野性味溢れた世界だった。


 まだ人や亜人が隠れ住み。集まらずに細々と生活している世界だった。全く動けないほど危ない世界だ。


「これが……過去」


 ブワッ!!

 

「つっ!?」


 断崖絶壁の下から1匹の竜が飛び出し、私は後ろに吹き飛ばされた。


「な、なに!?」


 ズンッ


 一匹の竜。銀色の竜が丘で咆哮をあげ。私と眼があった。


「ウロ!? 起きたのか!!」


「えっ?」


 私は自分の頬を爪で引っ掻く。痛いことは痛い。細かく夢の中でも私自身をイメージ出来ているためだ。


「見えるのですか? どう見えますか?」


「……ウロどうした?」


「ウロ?」


「起きないから不安だった」


 銀竜が頭を垂れる。


「……」


 私は周りをみた。少し物が小さく見える。小さな石を拾うと鱗と鋭そうな爪があり、まるで自分の体のように使うが考えてみれば……私は竜じゃないか。


「……ん!!」


「どうした!?」


 頭痛がする私は………思い出す。


「………なんでもない。まだ本調子じゃない」


 魔力陣が足元に出して私は竜人の姿になる。裸ではあるが、手などは私自身に近く。身動きも取りやすい。元々竜は裸だし、気にしはしない。


「なっ!? ウロ!! また痩せ我慢か!! いい加減にしろよ!! 動いちゃだめだ!!」


「私は………すまない。ああ。思い出した」


 ウロ……金竜ウロだ。


「金竜ウロ。ボロス………私は……いいえ。なんでもない」


「ウロ!?」


「………ふぁあああ。寝てる間に何か変なの入ったみたいね」


 私は……頭を押さえる。幻視なのだろうか。私たち竜が大きく数を減らし、矮小な人間が覇権を争う世界を夢見た気がした。しかし、そのあまりのリアルな未来に。私は……夢とは断ずる事が出来なかった。


 また、未来を幻視したのだろう。滅び行く我らの未来を。私は竜の神として見たのだろう。


「ボロス……少し。未来が見えた」


「いつもの君だ……だが……もう手遅れな未来だろう? 興味ない」


「うむ……ちょっと違う気が」


「……あの奇病にかからないだけ。ありがたく思うよ」


「そうね……ありがたいわ」


 残念だけど……私はもう……病に伏せている。ゆっくりと力を失いつつある。だけど黙っている。竜に感染する『作った人間が復活出来るようにするための時限爆弾』の感染症を。


「風が強い。ここに風竜が来てしまう」


「そうね………ごめん。寝すぎたわ」


 風竜は破壊のかぎりを尽くしている。破壊し、我々を従僕させようとしては敵対は殺して行っていた。竜は粗暴であり集まらない。いや、集まりにくい。


「予言により……私が『滅び』があることを言ってしまったために………皆が狂ってしまった」


「いいや!! ウロは悪くない!! ずっとずっと前から言っていたのを今になって騒ぐのがダメなんだ!!」


「……私が弱くて強く言わなかったから」


 私には不思議な力があった。未来を夢みる力だ。竜たちが感染し死んでいく病。まるで世界が私たちにだけ感染するように作ったような病気。名前はない。しかし、おそれがなにかを詳しく知っている。私は監視者でもある。


 この病気の第一段階:吐き気が少しだけ。


 この病気の第二段階:竜に対して高い殺意。噛みつき。そして………感染。


 この病気の第三段階:鱗の内側から剥がれていく。もしくは血が吹き出たあと激痛。


 この病気の最終段階:第三段階飛ばしての死。狂い。暴れまわり絶命。


 私はたぶん……第一段階。今はそう思っている。


「ウロ。果実食べるかい?」


「うん。食べる」


「じゃぁ。食べに行こう。獲物は逃げ去ってしまった」


 風竜のせいだろう。風竜は本当に手段が荒い。私は翼を広げて丘を飛び立つ。果実を求め。匂いを嗅ぎながら。








「あなたは誰?」


 暗闇の中で私は目が覚める。これは夢だろうか。夢だろう。最近よくみる。「何も見たくない」と願った私の夢。そんな中で小さな光りが見える。


「……見えますか? 聞こえますか?」


「見えません。聞こえます」


「同じですね。見えませんが聞こえます」


「聞こえますのでもう一度。あなたは誰ですか?」


「……他言無用でお願いします。ネフィアといいます」


「ネフィア……知らないお名前です。私は金竜ウロ……あなたはなんの竜ですか?」


「竜ではないです。あなた方が言う小さき者たちの一種族です」


「小さき者………あの小さき者ですか?」


「ええ」


「……小さき者ですよね………」


「どうしました?」


「光りが強くて眩しいです」


 目の前の光玉が輝く。直視できない程に。


「少し光を抑える事は出来ないですか?」


「ごめんなさい。夢を用意し操ってるのはあなた………あなたが眩しいと思うから見えないです」


「………眩しいですね」


「……私の何が眩しいのでしょうね?」


 私は金竜ウロは……本能で告げる。


 私に……舞い降りたのだ。聖なる者が。






 













 

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