風竜王メイルシュトローム③緊急の救援要請..
僕は新しい国の首都に降り立つ。国なのか何なのかわからないが。正式名称が長いために今は皆は英魔国や英国と呼んでいる。その首都は昔からの帝国から遥か遠くの場所に位置した。イヴァリースと言う場所だ。花が咲き誇り、風で花びらが舞う地方で、今は治める人が変わったのか、行商も多く。石などや木々の運搬で賑わっている。花の野原は開発が進み数を減らしているらしい。だが、それも手があると聞いた。
そう……都市が大きくなろうとしている所だ。僕は空を速く飛んで先に首都に出向き。城の門から都市に入る。白地の生地に赤い太陽が描かれる太陽の旗があり、皆の顔は明るい。仕事で忙しいのかてんやわんやしているのが見える。
観察しながら人混みを進み。後でワンさんが飛んで来てネフィア姉さんを連れて来てくれる手筈を思い出す。自分がやるべきことは説得すること。協力を取り付けることだ。
少しばかり高い位置にネフィア姉さんは居るがきっと話を伺ったら快く手伝ってくれると思う。
門の前で衛兵に伺う。「エルダードラゴンである都市ヘルカイトの領主からの書状です」と言って見せた。
「都市ヘルカイトから……遠路はるばる来ていただいたが今はね。『誰一人通すな』と厳命が下っている。すまない帰ってくれ」
「えっ!? 都市ヘルカイトの領主のだよ!!」
「ダメだ!! すまない………本当に本当にダメなんだ。あと1月かいつかわからないがダメなんだ。もしかして女王陛下が居ないのかもわからない」
「そ、そんな!! 待って!! お願い!! いま凄く大変な事が起きようとしてるの!!」
「…………わかってる。なにかあるだろうからエルフ族長グレデンデ様を呼んでいる。しばし、待たれよ」
「………………わかった」
僕は「エルフ族長グレデンデさんが来るなら話は通じるだろう」と思う。数分後、衛兵に故郷の話をして待つ間。故郷のユグドラシルの乾燥させた瓶ずめの葉っぱをあげる。衛兵が驚いた表情をしながら瓶を開けて匂いを嗅いだ。吟味している。
「これは……」
「衛兵さん、体から匂いがしたからきっと好きなんだなって。どうぞ」
「あの都市のタバコだな……ありがとう。これは……凄く良いものだ」
「俺にも嗅がせろ……おおこれは………」
衛兵二人が笑顔になる。物を渡し、イメージを一応良くする方法だ。
「中々いいが、それでも通さないぞ?」
「いや………待ちますよ」
「しかし、タダで貰うのは………」
「お前ら、タダで貰えるものは貰っていいんだ。難しく考えるな。なぜならそれは寄付だからな。賄賂じゃなければいい」
「エルフ族長!!」
衛兵の後ろから、耳の尖り白い肌の男性が顔を出す。この英魔国の実力者であるエルフ族長グレデンデが顔を出したのだ。ゆったりした服を着て、衛兵二人の間に割り込んでくる。
「エルフ族長さん!! これを!!」
僕はヘルカイト兄貴からの書状を手渡す。エルフ族長はそれをその場で衛兵と一緒に見たあとに目を閉じて唸る。衛兵と一緒の理由は確実に受け取った証拠とする事だからだ。
「………すまんが姫様には会わせられない」
「な、なんで!!」
「……『帰れ』と言わないが。今夜、私の屋敷に来てくれ、重要な話がある。姫様に会わせるにはそれを聞いてからにしてもらいたい」
「ダメです!! 時間は一刻も争い!! また一つ都市が消えてしまう!!」
「人間の都市が消えようと我々の敵の力が削げるだけ………問題はない」
「なっ!? 多くの罪なき人が消えるんですよ!!」
「そう……消える。我々は英魔国。それだけは覚えておけ。帝国は我々の敵なんだ」
「!?」
エルフ族長が冷たい視線を向ける。僕は「そんな!?」と思い。服に掴みかかった。
「……ネフィア姉さんに話を聞いてもらう。暴れてもいいんだぞ」
「…………暴れた瞬間。君は姫様に会う資格は失うが?」
「うぐ……」
「……今夜まで待ってくれ。頼む、悪いようにはしない。首都の地図を見せてくれ。ここが私の家だ。フィアに事情を話して入れてもらってくれ。顔見知りだから大丈夫だ」
僕は渋々、エルフ族長の服を手放して話を聞くことにする。トボトボとその場を去る。ネフィア姉さんの立場が変わってしまった事を痛感しながら。
*
エルフ族長と別れたあと。屋敷に出向いた。そこで知り合いのフィアメイド長に案内された場所は綺麗な大きな豪邸だった。色んな種族の使用人が豪邸で住んでいるらしい。その客用の寝室に案内され、ご飯をいただいたあと。夜まで寝て待つことした。そして、体を揺さぶられて僕は起きる。
「起きなさい。デラスティ君」
「んあ………」
声の主はエルフ族長。あったときよりも柔らかい声音で話しかけてくる。
「お待たせしました。話し合いをしましょう。まず、姫様はここには居ません」
ベットからテーブル席につくエルフ族長は短く状況を説明した。僕は驚いた声をあげる。
「ど、どこに!?」
「わかりません。大体の場所は予測がつきます。2日か3日後で帰ってくるでしょう。姫様から報告がありました。姫様は忙しい身なのです。『勇者を倒しにいく』と言う使命で」
「勇者?」
「トキヤ殿のような強き方が魔王を倒そうとする人物です。3人か4人ほどですね。それを成長する前に刈り取り。身の安全を確保したあとに………伏せますが色々とやるのです」
「…………」
「遠路はるばる。姫様に助けを求めに来たのでしょうが不在です」
「……明日には出発したいです」
僕はベットから立ち上がり、テーブル席に座る。お酒を進められるが首を振り飲めないことを教えた。大人扱いにちょっとご機嫌が直る。
「明日出発ですか……一応。姫様には1日休養していただたいた後にこの書状をお渡しします」
「……本当に?」
僕は昼頃の言葉を思い出しながら口にした。「敵だから見捨てるべき」と言い放ったのは忘れてない。
「私の本心は姫様はまだ沢山の事をしていただきたい。そんな遠出をする暇はもうない。それに考えてみてください。姫様はなんですか? 我が国の新しい盟主ですよ? 危険な場所に送ることはもう流石に気が引けて出来ません。それは帝国に塩を送るような事です」
彼、エルフ族長は厳しい表情を見せる。一冊の本を手に取り眺めたあとに頭を抱える。
「しかし、姫様に戴いた占い師の書物にはメイルシュトロームも人間が滅ぶ危険因子であり。非常に危険と書かれている。見過ごす事はできない。だから、姫様に渡して姫様の自由に動いて貰います。結局、決めるのは姫様です」
「本当に……手渡してくれるんですか?」
「渡すだけです」
エルフ族長グレデンデが僕に対して語りかける。真意を話してくれているだけで僕には心を許している気がした。結局、あの場で姫様の不在は知らされていないのだろう。噂だけはあった。
「どうするかは『陽の神』のみぞ知るです」
「……わかった。ありがとう。渡すだけでも譲歩してくれたんですね」
「ええ、最悪の事態で来ないことも考えておいてください。もう姫様は自由ではないのですから。それに敵国内ですし、我々も身動きできません。すみません……何も出来ず」
「うん………」
僕はここへ来て。「君の慕う凄く優しいお姉さんのネフィアさんが遠い存在になってしまったんだよ?」と目の前で言われ……それを知り。凄く寂しい思いをするのだった。
「ネフィア姉さんのおやつのクッキー。もっとしっかり味わって食べれば良かったな」と顔を落とした。




