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商業都市ネフィア~二人の愛の形~..


 俺は捜索する衛兵を何とかかわしながら。唯一無二の教会に向かった。教会に近付くと人々が立って談笑をしながら、ネフィアを一目見ようと集まっていた。流石に、人だかりを隠れることはできず。諦めて堂々と顔を出した。


「あ、あなた様は!?」


「ネフィアはここか?」


 一人のオークに声をかけて聞く。もちろんお待ちですと返答が帰ってきた。人だかりが俺を見る。


「はぁ。すまない。退いてくれ」


 サァー


 人だかりが波のように引き、教会の入口までの道が出来上がる。


「どうも」


 ジロジロと見られながら進み。教会の開かれた門に足を踏み入れた。そして………教会の中心でネフィアを見た。


 皆がネフィアの周りで座り、子供たちが集まって囲み彼女を尊敬した目で見ていた。翼を畳んだ天使がそこで子供たちに物語を聞かせているかのように質問に答える。


「勇者は強かったですか?」


「強かったです。でも、皆が頑張って戦ってくれたから………私は倒せたのですよ。そう、削ってくれてたんですね力を」


「スゴい!!………女王さま!! どうやったら強くなれますか?」


「お母さんとお父さんの言うことをしっかり聞けば強くなれますよ」


「女王さまは天使なんですか?」


「婬魔です」


「でも………白い翼が!!」


「皆にも翼はあります。私のはお飾りです。心の中にねある。みんなが今後の英魔国内を盛り上げる天使になるのです」


「いいなぁ~綺麗!!」


 色んな種族の子供たちがキラキラとした目でネフィアを見ていた。大人たちはそんな光景を後ろで見ながら手を合わせる。恐れ多いことで今までの魔王とは違い。全く怖くないのか………無邪気な子供たちに翼を触らせていた。


「…………ふぅ。ネフィア」


「えっ!?」


 子供たちと遊んでいる彼女に対して言葉を風で送る。ネフィアは振り返って俺を見つめた。


「と、トキヤさん?」


「トキヤ公爵だ!!」


「すげぇ!! 本物だよ!!」


「ヤバイ!! かっちょええ!!」


「ちょっと、遊んでる所ごめんな」


 俺は子供たちの頭を撫でながらネフィアの前へ歩いていく。


「と、トキヤさん?」


「なんで疑問なんだよ」


「だって………」


 ネフィアがオロオロとし出す。しかし、翼はパタパタとして感情がうかがい知れた。


「騒ぎは嫌いな方だって思って………出てこないかと………」


「ああ、騒ぎは嫌いだ」


「でしたら? どうして?」


「泣いたらしいじゃないか………ネフィア」


「あっ……えっと………」


「騒ぎは嫌いだが。それよりもお前の事がな………ふぅ」


 亜人の子供たちが目を輝かせる。大人のこういう物は好きらしい。目に焼き付けとけよ。これが大人だ。


「俺は大好きらしい」


「トキヤさん!!」


 ぎゅっ!!


 ネフィアが俺の胸に飛び込む。そして、人がみているのにも関わらず。俺の頬にキスをする。子供たちは何人か赤くなり。何人かは恥ずかしいのか顔をそらす。ちょっと………子供には刺激が強い。口にしなかったのは流石に恥ずかしかったのだろう。


「私!! やったんです!! 勇者を倒せました!!」


「知ってる。今ここに居るもんな」


「はい!!………あっ……と、トキヤさんそれ?」


 ネフィアが俺の頭についている物に触れた。


「角?」


「まぁ、角だな」


 小さな角にネフィアはクリクリと触る。


「悪魔になったんですか?」


「悪魔になったかもな。まぁこれ削るよ。ドアに当たる」


「………トキヤさんも。頑張たんですね」


 胸の中顔を埋めて。ネフィアは優しく微笑んだ。腕の中の彼女は本当に美しい。悪魔になっても手に入れたいと思えるだろう。だから、彼女の手を掴んだ。


「お前ら………大人のキス。知りたくないか?」


「と、トキヤさ……!?」


 恥ずかしがる彼女の唇を上から奪う。慌てた大人たちによって子供たちが連れられる。「見てはいけません」と言われながら。


「酷い。我慢してたのに。周りは………純粋な子ばかりですよ」


「いつか大人になる。お前のようにな」


「………もう………私の事が好きなんだから………」


「ああ、大好きさ」


 教会の中心で。二人だけの世界に浸る中で………皆が空気を読み目を剃らすのだった。ざまぁみやげれてめぇら。







 宿屋にネフィアとトキヤは帰ってくる。あの後、トキヤはネフィアを姫様抱っこして教会を出た。教会の前には人々が跪き。祈りを捧げるなかを堂々として抜け出して来た。追いかける人はいない。空気を読んでいる以上に。二人の邪魔だけはしてはならないと思われているようだ。


「有名になりすぎたのも問題だが。皆が関係を知って気を使ってくるのもなんかな~」


「私は悪い気はしないよ。トキヤとの仲が認められてるのは嬉しい。嬉しいでしょ?」


「………黙秘」


「それは、肯定だね………こっち見なよ」


 トキヤが背を向けて壁を見つめる。ネフィアは照れている顔を見たいと思い彼の前にピョコっと顔を出す。


ドンッ!!


 晒したネフィアにトキヤが迫った。壁に押し付ける。


「可愛いなお前は」


「……きょ、今日は積極的だね」


「嫉妬してる。皆がお前を慕うだろう………それにな」


「と、トキヤ!?」


 ネフィアは真面目に恥ずかしげもなく心の想いを吐露するトキヤにドキドキする。昔のトキヤを思い出して。出会った時も本心をずっと言っていた。いつからか………少し隠すようになったのに。


 ネフィアは顔を見れずに横を向け両手を胸に当てる。勇者を前にするよりも緊張し鼓動が早くなる。


 勇敢だった筈のネフィアは一瞬で乙女のように恥ずかしがる。


「あ、あの………ひゃぅ!?」


 トキヤの大きな手がネフィアの頬を撫でる。耳や、髪を。優しく。


「女王になっても………勇ましい事をしても………変わらず俺の前では女なんだな」


「んっ………だって………私は…………」


「なんだい?」


「トキヤに………女にされちゃったから………」


 トキヤは胸に込み上げる物がある。目の前の頬を赤くしてモジモジしているのがとても愛らしく。自分にしか見せない姿になんとも悶えそうになる。魔族の王とは誰も思えないその姿に………顎をあげさせる。


「目を閉じろ」


 トキヤは命令口調で強くいい放つ。ネフィアは目を閉じ待つ。ゆっくりを………ふれあう柔らかい感触。舌を絡めあう。深い愛。


「ん………んっ……………んあ……はぁ……はぁ………」


 ネフィアが甘い吐息を漏らす。目は閉じたままにトキヤに抱き付く。鎧を脱いでいたネフィアの女の子特有の柔らかさにトキヤは懐かしむ。


「ネフィア。柔らかいな」


「………トキヤは堅いね。いつも男の人ってなんでこんなにもいい匂いなの?」


 トキヤはたまらず。抱き締めてしまう。強く強く。


「あぅ………強く締めすぎ。でも………うれしい。トキヤぁ~………うぅん……旦那さま」


 ネフィアは頬を刷り寄せる。甘えるように。


「好き、好き、好き」


「………」


「もう、たまらないぐらい好き」


 ネフィアが感情をとにかく吐き出す。


「ああ。全く。これだからなぁ…………」


「だって………」


 トキヤは悪い笑みを浮かべる。小動物みたいにピコピコと尻尾があれば振っていそうなネフィアにイタズラ心が芽生える。苛めたいと。童心に戻っている気がしていた。


「実は………俺は最低な事をしてるんだ。お前に」


「えっ? な、なにを?」


「売春婦ならこの前、買った」


「!?」


 ネフィアがトキヤから離れる。驚いた表情で。


「えっと……本当に?」


「本当に」


「…………………そっか」


 ネフィアがしおらしく。目を伏せた。今のネフィアは弱く見えてのトキヤの告白だった。


「………嫌か?」


「嫌に決まってます。浮気です………酷いです………信じてたのに」


「嫌いになるか?」


「き、嫌い………なれない。なれない。嫌です。トキヤさん!! お願いです………もうそんな事しないで。ワガママですけど。お願いです」


「………まぁ抱いてはいないけどな」


「えっ? では、どうして?」


「情報を買っただけだ。あとは………まぁ確認だな」


 ネフィアが戸惑っているのをささっと楽しんだトキヤは何もしていないことを喋る。


「なにをです? 怪しい」


 安心したが少しまだ疑いの表情を見せるネフィア。


「他の女に興味が出るかどうかの………残念。お前以外はどうも無理らしい」


「ん? それってどういう事?」


「こういうことだ」


 ネフィアを抱き締めて。もう一度唇を奪う。今度は………逃がさないように。






 ベットの上でトキヤはネフィアを抱く。ネフィアは嬉しそうにトキヤを見つめる。


「トキヤ、まだ起きてる?」


「どうした?」


「少し……お話ししよ」


 トキヤは腕の中の彼女の頭を撫でた。目を細めて身を委ねる彼女。


「トキヤ………私、天使みたいだよね」


「ああ。だな」


「トキヤは悪魔みたいだいね」


「悪魔でもいいだろう別に」


「ううん。そういう事じゃなくって………天使と悪魔が愛し合うなんてロマンチックじゃない?」


「………」


「黒と白。こう、ギャップて言うのかな? 本来は敵同士なのに引かれあってとか。スゴく恋愛物語みたいで好き」


「ネフィア………」


「なーに? トキヤも好き?」


「それさぁ………最初っから俺は勇者でお前は魔王で同じと思うが?」


「ふふふ。トキヤは鈍いなぁ~」


「鈍い? あっもしかして………お前!!」


「だから、好きって言ったの」


「遠回しな………告白だな」


「………いつもありがとう。あの日からずっと感謝してるよ」


 ネフィアがトキヤ手を掴み。豊かな胸の谷間に当てる。


「ずっと………ずっと………これからも………一緒に居てね。私、頑張るから………ね?」


「居るさ、ずっとな。護ると言っただろ?」


「もう、強くなちゃったけど………でもお願いします。騎士さま旦那さま。あなた……おやすみ」


「おやすみ。ネフィア」


 トキヤは頷き。抱き締めながらまた、おでこにキスをするのだった。















 









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