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先代の勇者、魔王との対話..


 俺たちは4人の勇者はある貴族が支援してくれている。その貴族さまはインペリウム家といい。なんと先代の魔王を倒した勇者がいる家らしい。俺たちはその貴族様から買い与えられた家に住み。日々鍛練に勤しんでいた。


 そんな日々で、ある一人の男の使者が出向く。深いローブを身につけ現れたその人はなんと元勇者でありトキヤと言う。姿は黒髪の青年であり。「そこそこイケメンかなぁ~」と思う。


 そんな彼がテーブルに座り俺たちに話を始めた。


「帝国が思った以上に苦戦している。そろそろ頃合いだ。魔国魔王城へ向かって貰いたい。旅資金だ」


 テーブルに4人分の金袋が置かれ、中々重そうな袋に唾を飲み込む。


「多くないか?」


「少ない方だ」


 これで少ないのかと驚きながら手に取る。ズシッとした重さに俺は眉を潜めた。ひのきの棒とかのレベルじゃない。


「相手はそれほど強い。気をつけろ」


「わ、わかりました」


 これだけの金額を貰えると言うことはそういうことだろう。皆が緊張した顔をする。


「行かない選択はないが………近々旅立って貰う。1日でも早く平和が欲しいからな」


「もちろんです」


「ええ、もちろん」


「そのための俺らだな」


「気を引き締めていきましょう」


 そう。俺たちには使命がある。1日でも早く平和を取り戻さないといけない。


「トキヤさんはご一緒に?」


「いいや、俺は君達をサポートするために後方勤務だ。使者としても役目がある。それに………君達は俺よりも強い」


 彼がローブを取る。話には聞いていたが片腕がない。そう右腕がないのである。新しい魔王と戦った結果腕を失ったとも聞いている。噂ではあるが。


「腕を失った自分では足手まといだからな」


 そしてすぐさまにローブで腕がないことを隠した。俺たちは息を飲む。


 そう、不安が出てくるのだ。腕を失う。死んでしまうかもしれない。そんな不安がよぎる。


「おっと、不安がっているな。大丈夫だ。これを渡そう」


 彼は懐から4枚の羽根を取り出した。綺麗な純白の羽根が硝子に封じ込められている。


「神器。国宝以上の価値がある4つ。効果は一度だけ死を回避し、帝国に戻ってくる強制転移だ」


「そんな高価なものをいいのですか? 一度きりですし………」


「女神が与えてくださったのだ。ありがたく使うべきだ。そして………使い終わったら俺の所へ持ってくるといい再使用が出来るようになる」


「そ、それって!!」


「そう。何度でも死を乗り越えられる。おれの能力はこれを再使用が出来る能力なんだ」


 「そんなのチートじゃないか!?」と言う声を俺は喉に引っ込めてその羽根を受け取る。


「何度も挑める訳か」


「これなら………勇気でるかも」


「そうですね。敵を知りもう一度挑めれば勝ちに繋がるでしょう」


「俺、ちょっとズルい気がしてきた」


「ふん………戦いにズルいも糞もないぞ」


 トキヤに鼻で笑われる。しかし俺らはそれを聞いたお陰で安心したのか口々に喋りだし。不安も無くなった。


 チート能力ばっかだから何とかなりそうだ。





 トキヤは情報や地図を置いて帰っていく。インペリウム家の姫が帰らないと五月蝿いらしい。


「ふむ。帰ったか………でっ!! どうする!!」


「行くに決まってるね」


「はい。行きましょう!!」


「俺も近々行くべきだと思う。こんなにも良くしてもらっているのは期待してるからだと思うから」


 俺の能力も分かり。ある程度何が出来るかとかも確認できている。期は熟したと言えるだろう。


「準備が必要だな。4日設けよう。私たちは心の準備も必要だ。外は恐ろしい」


「わかったよ~」


「ええ、そうしましょう」


「俺も賛成」


「では………ちょっと席を外してくれ」


「ええ、外して」


「すいません。女子会です」


 そう言って彼女らは俺を玄関へ押し出し外へ出す。鬼気迫る勢いで俺を掴んでほおって投げた。


「すまん。デリケートな話なんだ」


「わ、わかった。こえぇよ」


「ごめんね…………」


「まぁ~女だけの秘密会議ね。どこかで暇を潰してよ」


「……お、おう」


 俺は渋々立ち上がり埃を払う。玄関は鍵を閉められ溜め息を吐きながらその場を後にした。こう考えると男友達が欲しいと思う。


「まぁいいや。ちょっと先に買い出しに行くか!!」


 俺は気にせず。歩き出す。異世界の空気を堪能するために。



 


「兄ちゃん気前がいいね」


「道具は必要だからね」


 出店で俺は魔力を回復できる飲み物。ポーションを数本買い込み袋にいれる。割れないように硝子瓶ではなく皮の小さな水筒みたいな物で魔法使い御用達の回復材であり重宝する。俺みたいな色んな魔法を駆使する人間にはちょうどいい。


「何処か遠くへ?」


「魔国へ」


「そりゃ~遠いなぁ~おまけでこれつけてやるよ」


 店主が気前よくもう一本いただける。


「気をつけな。近ごろ怪しいからな」


 怪しいとはきっと魔国の動きの事だろう。俺は静かに頷いた。


「偵察任務だよ」


「ああ、そうか………そりゃ!! 頑張ってくれ」


「ありがとう。頑張るぜ」


 俺は店を去る。大通りはいつも通り人がごった返していた。その中で俺は時が止まるのを感じる。


 シャァン


 俺はローブを着た教会で見た姫を見つける。たまたま、ローブの中の髪が見えたのだ。金色の髪が。人混みの中でゆっくりと歩み。リンゴをかじっていた。片手で男らしく。満面の笑みで。


「………」


 気になる。気になって仕方がない。だから俺は………スマホを取り出した。


「スパイウェア」


 スマホから一匹。影の蜘蛛が這い出る。そして彼女の影に潜ませた。


 スパイウェアは昔、よくあったウィルスソフトだ。それを魔法として相手の情報と何かを操れるようにイメージした魔法。うまくいけばサーチさんのよう情報を得ることが出来る。奪うと言う手段で。


 スパイウェアが姫の位置を把握しスマホに方向と距離を示す。ゆっくり尾行し………あの、初めて見た場所。教会へつく。


「…………?」


 教会の手前で止まり。そして一瞬だけ翼を見た。純白の翼を。輝ける翼を。たった一瞬、刹那に等しい一瞬。


 しかし俺はそれを………スマホで捉えた。スパイウェアが彼女を把握して画像だけを寄越したのだ。しかし、情報はそれだけだった。何故なら。


「弾かれた?」


 その一瞬で影が無くなり蜘蛛が逃げるように這い出て俺に向かってくるからだ。ジャンプしスマホに入っていく。情報が開示されたが不明しか表示されない。時間をかければ分かるだろうが解析時間がすごく長い。旅の合間にバックグラウンドで解析出来るらしい。後でしよう。


「女性を尾行とはいい趣味ですね」


 金色の美少女が鋭い目付きで俺を見た。射ぬかれたような瞳に少し後すざる。蜘蛛が俺の方に帰ってきてしまったのでバレてしまったらしい。


「誰ですか?」


「ら、ライブラと言います。ええっと」


「タカナシ………東方の遠い島国の名前でタカナシと言います」


「タカナシ………小鳥遊!?」


 俺はあまりにもこの世界には似合わない名前で驚く。タカナシと言われて転生前を思い出していた。それ以上に見た目に反する名前でなんともいえない。

  

「て、転生者ですか?」


 恐る恐る。聞いてみる。バカな話だが反応があればもしかしたら勇者かもしれないと思ったのだ。スマホの中で捉えた画像の彼女はまだ雑にノイズが混じっているが美しい翼だけは判断できた。


「テンセイシャ? テンセイシャとはなんでしょうか?」


「あっ……いいえ。ははは。すいませんテンセイシャと言う女性に似ていたのです」


「そうだったのですか。それで………尾行を。ごめんなさい。そのテンセイシャではございません」


「そ、そうですね!! ははは」


 俺は誤魔化しながら頭を下げる。


「それはそうと………その。お茶でもしませんか?」


 昔の俺とは違い。女性になれていたのか、スラリとナンパの言葉が口から出たのだった。心を動かされそうなほどに魅惑な女性に声をかけた。


「いいですよ」


 俺はきっとモテ期が来たのだと確信した。







「ふぅ。誘われるとは思いもしませんでした」


「あっすいません」


「いいえ。これも何かの縁。この時は大切にしましょう」


「そうですね」


 俺はドキドキしている。目の前女性はローブを外し、ドレスをさらけ出し、さも当然のように寛いでいる。庭のようなそんな新鮮さをにじみながら酒場で紅茶をいただく。場不相応な女性だが。そんな事を気にせずに様になっている。この酒場の空気に彼女はなれていた。


 そして、彼女は何も語らない。あまりの沈黙に俺は一生懸命に話しかける。色んな事を勇者の使命とか色々。まるで気を引こうとしているように見えるが。「断じて違う」と心して話しかける。


「面白いですね。勇者ですか?」


「は、はい。その変なことですよね?」


 考えてみれば夢みたいな話だが。信託があったと誤魔化せばいいのかもしれない。


「いいえ。信じますよ。帝国には昔から多くの勇者がおり。団を作って向かっていき………帰ってきませんでしたから。大変ですね」


 ニッコリと大人な笑みを浮かべ。俺は鼓動が速くなる。やっぱり美人だし………こう。大人なエロさを感じる。若妻のような匂いも。同じ歳の匂いも。姉の匂いもする。いけない気持ちになる。


「そういえば………聖職者なんですか? 一度教会でお見えしましたから」


「聖職者と言えば聖職者です。他宗教の」


「他宗教?」


「ええ。こことは違った宗教です。ですから祈りをしに教会へ行くこともあります」


「他宗教なのに?」


「神に祈るのはどこでも一緒ですよ」


 彼女は「変なこと言ってますよね」といい。クスクスと笑う。その笑い方は手を押さえる女性らしい笑い方だった。そういえば………3人の女性を知っているがこんなにお上品できれいな女性らしい笑い方なんて出来ないと思う。育ちの違いを見せつけられている。


「一体どんな神なのですか?」


「破廉恥です」


「は、破廉恥!?」


「はい。愛の女神なのですが。愛とは白くも黒くもなります。美しく下品でもありますね」


 俺は紅茶を溢しそうになるほどに綺麗な唇から「破廉恥」と言う言葉が出てきて驚いた。


「ふふふ。私を何処かの姫様か何かと勘違いしてませんか? 顔に出てますよ。クスクス」


「す、すいません。勝手にこう………決めつけてしまって………」


「皆さんそんな感じですよ。私は魔法も剣も使える冒険者です。友人に会いに来たのです」


「そ、そうなんですか!?」


「冒険者ギルドの名簿に名前があります。まぁもう………廃業してますけど。だから、一人なんです」


 驚きの連続だった。目の前の姫様かと思ったが違い。冒険者の一人らしい。何処から見ても姫様にしか見えないがそうなのだろう。プレートを彼女は手にもって見せ胸元に戻す。なんでそんな場所に納めてるんだとドキッとした。


「まぁ剣は置いてきてます。帝国で荒事はもう、ないでしょうし。それで勇者様はいつ頃旅立つんですか?」


「えっと………4日後?」


「頑張って下さいね。どちらから行かれるのか知りませんが………きっと砂漠からでしょうね」


 砂漠とはスパルタ砂漠の事だ。スパルタ国と言う帝国傘下の国がある。噂では屈強な男たちが居る国で。スゴく強い者が多いのだとか。


「そこから。魔国へ行き、長い旅です」


「覚悟はしております」


「そうですか。あなたの旅路に陽の導きがあらんことを」


「あ、ありがとうございます!!」


「ふふ。こちらこそお茶お誘い。ありがとうございます。それでは、失礼しますね」 


「はい。またどこかで会いましょう。あっ……いいえ。一ついいですか?」


「はい?」


「その、彼氏とかいらっしゃいますか?」


「彼氏はいません」


「では………その………」


「?」


 モテ期を盾に「一緒に冒険しませんか」と誘おうとして飲み込む。彼女は勇者じゃない。死んでしまうかもしれない。だから…………誘おうとするのは良くない。


「今度、また会ったときお茶でもどうですか?」


「また会ったときですか…………生きていればいいでしょう」


 彼女は悲しそうな顔をする。その意味はきっとこれからの旅を案じての事だろう。


「は、はい。絶対帰ってきます。絶対に」


「信じましょう。では、さようなら」


 彼女はローブを深くかぶり。店員に一つ二つ何かを伝えて店を出た。俺は椅子にもたれ掛かりため息を吐く。


 高瀬の花だ。誰よりも高潔で誰よりも美しく芯の通っている雰囲気もする。男として「落としてみたい」と思うほどに。勇者なんだ。フラグは立っている筈。頑張っていこう。ああいうキャラはのちのちアフタールートのサービスキャラだ。行ける行ける。


「あっ会計お願いします」


 古風なメイドにお金を渡そうとする。すると笑顔でメイドは応える。


「お会計は今さっきの冒険者からいただいていますよ」


「え!?」


「女ではなく同じ冒険者としてだそうです」


 格好いい。俺はそう思い、「戦う姿を見てみたい」とも思うのだった。






 教会の中で私はある人物をまつ。


「お待たせしました姫様」


「姫様………ヒヤヒヤしましたよ」


 人間の男二人が大剣を携えて現れる。もちろん聖職者らしく祈りを捧げてこちらに来た。信仰は深い二人だと思う。人間の女神に祈っているのは面白いけど。


「音奪い…………聞かれてないわ。情報は集まったかしら?」


「集まった情報は8人に手渡し、各自バラバラで向かっております」


 4組に分けた理由はもちろん。確実な伝達のためだ。


「そう、わかった。あなた方二人が最後ね………重要な物です送り届けてください。トキヤに」


 蝋で封をした手紙を手渡す。私の偽名を書く。勇者はわかる。小鳥遊と言う名前と漢字が。


「わかりました。内容は秘匿ですか?」


「勇者の能力と容姿、どういった性格かを書いてる。あとは…………黒騎士団長とのこの前の会談結果も」


「!?」


「重要でしょ?」


「…………姫様。危ない綱渡りはお止めください」


「心臓が持ちません」


「4日後に出発らしいです」


「わかりました」


 二人が立ち上がって教会を後にした。私も立ち上がって女神像の前に立つ。人間の女神像の前に。


「エメリア」


「なーに。ネフィア」


 声をかけると背後から声がする。振り向かずに話をする。


「本当に寝ているんですね。女神ヴィナスは」


「4人召喚と勇者一人の腕を再生。そして………一人の女性を祝福したんです。力を使い果たしてしまったようですね。元々帝国は皇帝を神に近い存在洗脳もあって信仰は低めなんですよ。まるで何処かの王が『女神に立ち向かう予定』があったような動きでバレて負けたようですが」


「神の居ぬ間に洗濯と言ったものだが。ちょっとな」


「姉が休むほど力を使うのはあなたを恐れていると言うことです。ネフィア」


「………恐ろしいですか? 私は?」


「恐ろしいですよ。だって女神の土地で好き勝手してるでしょ? それに英魔国内を無血統一です」


 「好き勝手とは失礼な」と言おうかと思ったが。違うことを考えてしまい。言葉を窮する。


「好き勝手ですか………人間の女神の方が好き勝手ですよ。勇者なんて作って、魔族を排斥、迫害、消そうとしてるんですから」


「出会ってどう思いましたか?」


「可愛そうな人形です。使命に縛られた機械のような……機械が形を持った状態に見えます」


「…………ですね。遠からずそうです」


 「勇者との約束は叶わなそうだな」と私は思うのだった。私の手で勇者を殺すのだから。













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