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都市ヘルカイト⑳⑨ 女子会..


 とある日。私の家に女友達が集まり出す。最初は遠い地からエルミア・マクシミリアンの女傑エルフが現れ、私は驚いて頭を下げて非礼を再度詫びたのが1時間前。聞けば湯治に来ていて。1年ほど長く滞在するらしい。金持ちである。


 そして、何故か今日はお客さんはこれでおさまらず。ドンドン増えた。気付けばテーブルを囲むように人が集まってしまい。椅子が足りないかとヒヤヒヤする。二人の家なのに椅子が多いのはバカだと思うと思ったが…………実は正解だったようだ。


「えっと………今日のおやつはシフォンケーキと紅茶をご用意させていただきました。えっとですね………こう………偶然が偶然を呼んで女子会を開くことになりましたので年長者から自己紹介をお願いします。お名前と種族。旦那自慢をどうぞ」


 それに慌てて反応するボルケーノ。


「だ、旦那!? いないわよそんなの」


 そのまま落ち着いている腐竜。


「誰から言うのかしら? 私かしら?」


 それに私は疑問に持つ。


「えっと………年長者はどっち?」


 私はある二人に聞いた。エルダードラゴンの二人は確定である。


「わ、私じゃないわよ!?」


「ボルケーノ姉さま~認めたら?」


 腐竜がニマニマして話をする。


「腐竜!!」


「潔く認めたら? 私が生まれたときには大人でしたよね?」


「くっ…………数百年」


「千年ちょっとね。嘘つかない」


「千年歳!! 火竜のエルダードラゴン!! 名をボルケーノ!! 旦那はいないわよ!!」


 それに私は答える。


「気になるのはいるよね。小さいワイバーンの子」


「黙りなさい‼」


「はい、次に私も数百年。少しで千年ですね。同じくエルダーでドラゴンゾンビ。旦那は領主ヘルカイトで勇ましい姿と好敵手として好きです。名を腐竜ナスティ」


 赤く燃えるような髪の切れ長のお姉さまと黒髪の麗人なお姉さまが言い争っている。細く細身の長身二人。ナスティとボルケーノ姉さんだ。その胸は平坦である。


 口調が荒いのはボルケーノ姉さん。彼女の隠居先ではそんなに口調がきつくなかった筈だった。ただしその胸は平坦ちょいあるぐらいかもしれない。着痩せするがやはり平坦である。元男なら仕方ないとも言えるが……元から女性である。


 腐竜ナスティもヘルカイトと結ばれてから女らしい言葉を使うようになっている。愛とは変える力を持つのだ。私と同じ感じでよく相談に乗っている。


「えっと次はエルミアお姉さまですね」


 私はエルフのお姉さまに問いかける。綺麗な金色の私と同じ髪を腰まで伸ばしている。耳が長く肌が白いエルフ族。人間に近い姿である。その胸は細身のエルフ族でありながら豊満であり、昔に沢山の男を相手した名残がある。


「エルミア・マクシミリアン。元マクシミリアン騎士団長だったが。孫が引き継ぎ隠居の身。歳による腰痛の湯治のためにきた。数百年歳の元ハイエルフ族。今は人間です。夫はマクシミリアン王でした」


 立ち上がりお辞儀をする。ピシッとしたお辞儀。そして腰に手を当てる。


「はぁ………もう歳ね。新人騎士の乗馬、乗竜の手解きでやっちゃったのよ」


 エルミアに同調するようにナスティが答える。


「歳は辛いですよね。私もヘルに抱き付くときに腰が痛くなるときがありますよ。ボルケーノもでしょ?」


 そのつぎにボルケーノがまだいける事を主張する。


「軟弱な!! 一緒にしないで!! まだ若い!!」


「あらあら………元気ですね。ボルケーノ姉さん」


「ナスティ、や、やめろ………そんな目で見るな。昔は気にしなかったが。あの子を育てたから歳を思い出すと辛いんだよ」


 理由は知っている。飛竜デラスティと言う子の育母だ。小さな子供が好きなんだ。年の差は千年。方や若い子。方やお婆ちゃんである。


「では、えっと次は………私」


 多分だけど次は私が一番歳上だ。異世界では未成年だが他のが若い気がする。ここは予想だ。


「ネフィア・ネロリリス。都市ヘルカイトの素敵なギルド長でこの子の父親ことトキヤの伴侶です。種族は婬魔と悪魔のハーフ。歳は伏せますね。数十歳ですし」


 歳は監禁されていた時期が長くて実はよくわかっていない。誕生日も。何もかも。


「では、次は………リディア?」


「はい!! ネフィアお姉さま!!」


 蜘蛛の大きい体の下半身に綺麗な上半身であり紫の髪を持つ女性だ。一番異形の姿。部屋が狭くなっている理由は半分彼女のからだが大きいからと言う。「エルダードラゴンに人になれる手段を聞けば良いのに」と思うが。「ランスロットは許さないだろうな」と思う。彼女の胸は誰よりも豊満である。


「私の名前はリディア。リディア・アラクネ・アフトクラトルです。私の素敵な旦那様はギルド長でお仕事頑張ってます!! 歳も数えたことありませんのでわかりません」


 そんな彼女にナスティが笑みを向ける。


「リディア。旦那は本当に働き者です。いつもありがとう………ヘルカイトがだらしなくてごめんなさい」


「い、いえ。そんな………へへ。ランスロット頑張ってるかぁ………へへ」


 旦那を誉められて紫の髪を弄り照れる姿は異形だがギャップのある可愛さだった。私は次を促す。


「次は………インフェちゃん!!」


 フヨフヨと浮いている幽霊に話を振った。幼女の姿でフワッとした髪の人形のような女の子だ。


「はい。都市インバスから来ました。生前は人間でした聖霊インフェです。お仕えしているご主人は教会の祖。古き血族の吸血鬼の一人。セレファ・ヴァンパイアさまです。女子会にお呼びいただきありがとうございます」


「幽霊ですけど怖がらないであげてくださいね?」


「一番怖がってたの出会った時のネフィアお姉さまですよね? 」


「はい。幽霊怖いです。トイレ一人で行けません」


 私暴露にエルミアが頭を撫でてくる。ナスティは「」そういう手があったか」とメモをとる。


「あら、かわいい」


「かわいいわねぇ………私もヘルに頼もうかなぁ~」


 それにボルケーノが腕を組んで思い出に浸り、リディアは手を叩いてやる気を見せる。


「私は逆にデラスティに起こされてついていくな。可愛いんだよねぇ」


「私も今度、ランスロットに言ってみます‼」


 私の怖がりを元に感心して嘘を言おうとする数人にちょっと呆れた。いきなり怖がっても鼻で笑われるだろう。ここにいるのは化物ばかりなのだから。


「あ、あの………私。ここに居ていいんでしょうか?」


 最後の萎縮した一人がボソボソと喋りだす。姿は私にそっくりな女の子で、違いと言えば泣きホクロがあるぐらいしか変わらない。その胸は豊満である。私より大きい。そんな子にエルミアが声をかける。


「気になってたの。あなたのこと。姿形一緒だから………もしかして。あの、舞踏会の時の子かしら?」


「あっ……はい。えっとネフィアと言います。姫様と同じ名前で恐れ多いのでフィアとお呼びください」


「彼女と同じ名前ね。種族は?」


「は、はい。婬魔です。エルフ族長がご主人様です」


 前は無言だったのだがおどおどじくもハッキリと受け答えが出来るようになっている。自信がついたのかもしれない。ただいま一人で修行中だ。


「全員自己紹介終わりましたね。では、お話と行きましょう‼ だれかありますか?」


 私は話を振るとエルミア、ナスティが手を上げる。


「お腹さわらせて欲しいわ」


「同じくね」


「いいですよ? どうぞ」


 私は立ち上がり上服を捲り上げて膨らんだお腹を見せる。大きく張ったお腹は妊婦である事の証明だ。それにインフェとリディアが関心する。


「うわぁ~大きいですね姫様」


「お姉さま大きいです。いいなぁ」


 私のお腹をみんな触っていく。こちょばゆい。さわったエルミア驚いた表情をする。ナスティも同じように触る。


「わ、私。驚いたのですがスベスベ!?」


「わかる!! 私たちより張りがあってスベスベです!? ボルケーノ!! 触ってみなさい!!」


「はぁあ?……そこまで言うなら。うわぁあああああああ!?」


 私はお腹の張りより肌の感想に年の差を感じた。私は慌てて次を促す。


「ええっと、まぁうん。はい、次!!」


 それにインフェが乗っかる。


「えっと………私、恋話がしたいです」


「いいですよね!! ネフィアお姉さんも好きですし」


「………わ、私も興味があります」


 インフェ、リディア、フィアが反応を示し、キャピキャピする。それに大人なラスティが囁く。


「女子会。世代がお婆ちゃん世代と若い世代で意見が近いらしい。ボルケーノはもちろん?」


「わ、私!! 違うし!!」


「やぁボルケーノ姉さん。慌ててるぞ」


 それにエルミアが染々する。


「ボルケーノ姉様。高齢なハイエルフの私が姉様は言う日が来るとは思ってなかったですね」


「や、やめろ!? 言うな!! 姉と言うな!! 若い!!」


「なお。飛竜デラスティには竜姉と言わせ。風呂で頭や体を洗ってあげるという。私、ネフィア・ネロリリスは見ちゃった」


「ネフィア。口を縫い合わせるぞ」


 ちょっと殺伐とした場に笑いが込み上げる。それに私は話をボルケーノに振る。


「恋話ですよね? デラスティ君とはどうなんですか?」


「デラスティとはそういう関係では……」


「拾ったワイバーンの赤子。育てて行くうちにああ、なんと男らしい少年に成長したのか………ボルケーノ好みに。あなた………少年の方が好きな変態さんでしょ?」


 皆が一斉にボルケーノを見つめる。大体は興味の目。女子会は攻め手が有利だ。


「皆のもの。例え親が子に恋情を抱くことなどないでしょう? 家族です!!」


「インフェ情報ですが。えっと………都市インバスで家族なら兄妹の夫婦がいます。それも結構、多いです」


「リディア情報ではアラクネは普通にあります。私は姉妹が嫌でしたけど」


「私のマクシミリアンの土地では禁止してないわ。一世代なら許されてる」


「フィアもエルフ族長主人様から『エルフ至上主義だったらしいのでそれはある』と聞いたことあります」


「………あれぇ?」


「観念しなさい。ボルケーノ。襲うわよデラスティ君が」


「や、やめろ。汚しちゃいけない!!」


「ボルケーノが汚れてますからね。知ってます」


「なっ!? 言うなよ!! 絶対言うな!!」


 何かを隠してるのかは私も知っている。


「ボルケーノさん昔のお子さんは?」


「あっ………いや………」


 狼狽える彼女にラスティは追い討ちをかける。


「火竜の祖、ボルケーノさんは経産婦です」


「経産婦手を上げて!! はい!!」


「はい」


 エルミアと私は手を上げた。


シーン


 沈黙、しかし皆がボルケーノだけを見る。


「ぐすん………はい」


 火竜が心が折れたのかゆっくり手をあげる。


「だって………魔物ですよ。やることはやりますよ………でも、かなしい」


「ボルケーノ………いっぱいいたね」


 ラスティは容赦ない。


「みんな滅んだけどね。まぁ勝手に巣立つから恩も糞もないわ。噛み殺した奴もいるし………でも!! 飛竜は違うの!! あの子は………えっと………慕ってくれるのすごく」


 その言葉にエルミアは笑顔で頷く。わかる気持ちがあるのだろう。


「姉様はその子はお気に入りなのですね」


「お気に入りよ………だって…………初めて寂しさを教えてくれた我が子ですもの」


「あっまああああああああい!!」


「「「「!?」」」」


 フワッとした白いドレスの女性が幸せそうに頬を撫でながら現れ一同が驚く。その登場したのはエメリアだ。エルミアじゃない。エメリアだ。


「女神様!?」


「女神様です!!」


「女神様!!………ありがとうございます!! ご主人様と親しくなれました。フィアは幸せ者です」


「ふふ、愛しいの子達………」


 混沌感が増して私は種族を思い出す。悪魔淫魔、淫魔、アラクネ、ドラゴン、ハイエルフ、聖霊と来て女神だ。すごーい。種族がいっぱい。混ぜ混ぜされてる。


「えっと、どちら様でしょうか?」


 エメリアは彼女を知らず。


「怪しいが、ネフィア絡みなら普通だな」


 ボルケーノは腕を組み。


「ええ、ネフィアなら」


 ナスティはそれに同意する。


「なんで破廉恥さんと仲間と思われないといけないんです……ネフィア・ネロリリスの名前が汚れてしまう」


「あなた、本当に愛の聖職者? 女神泣いちゃうよ?」


「他に女神様居ると思ってます。子供の発育に悪いです。エルミア様」


「ひどい………」


 エメリアが私と同意見らしい。


「一利ありますね。ネフィアの言い分も」


 これ、どうしよう。自己紹介させようかな。


「女神様、自己紹介」


「あっはい。教会やネフィアちゃんが信奉する愛の女神。エメリアです。つい、恋話に釣られてしまいました」


「ネフィア、凄いね。あなた………本当に女神とも知り合いなの?」


「驚かれてますけど。エルミアお姉様も私と友達なの凄いですからね」


「そうよねぇ。魔王でしたもんね。私もそうだわ」


「けどそっか。それも考えると多種多様な気がします」


「わ、私!! 居てもいいのでしょうか!? 奴隷ですよ私!!」


 フィアがそわさする。それにエメリアが頭を撫でる。


「いいです。等しく恋する乙女に歳や身分は関係ありませんから」


 凄く女神らしい暖かい抱擁と優しい声。もっと服も大人しかったら良かったのに。


「女神さま!! ありがとうございます」


 それにボルケーノが反応する。


「女神………気に入らないけど。まぁちょっとは信じてあげる」


「はい、うれしい。二人の信者が~」


「…………女神ねぇ。女神様………私の夫は? マクシミリアン王は?」


「冥界へ無事にお迎えが来ましたよ………次で会えるのは来世でしょうか……」


「そう………よかった。ありがとう」


 エルミアが顔を伏せて席を立つ。


「何処へ。エルミア姉様」


「ごめんなさい。思い出すことが多くて………外で風を浴びてきます。少し、雨が降りそうよ」


 エメリアが席を立つ。うれしいのだろうが悲しいのだろう。聞けば都市インバスでの奇跡を聞き「聖霊で出てくる」と考えたようだが。無理と知った時の落胆はどれ程だっただろうか。


「ねぇ、女神さま。マクシミリアンが滅んだので昔は神も見捨ててましたけど。入ることは出来るのかしら?」


「入るも入らぬも自由です。愛を持つなら」


「……わかりました」


 エルミアはリビングを出る。私はそのままフィアに質問した。


「では、気を取り直しまして。フィアちゃん。もしかしてエルフ族長の事好きなの?」


「どうして!? わかるんですか!?」


「分かりやすい」


「は、はい……助けていただいた恩もですが………こんなにも褒めてくださいますし……奴隷の扱いせず………そのぉ………姫様にも会わせていただきました。でも本当にどうして!?」


「ちょっとうーんって思うけど。姿が似てる以上に泣きホクロあるよね?」


「は、はい………姿、真似る筈が………」


「泣きホクロ。取って良いですか聞きなさい。もしダメっていうなら気があるわ。姿を変える種族ですから」


「は、はい!!」


 彼女は本当に嬉しそうだ。ナスティが顔を上げる。


「エルフ族長と言えば最近、教会を建てているね。新宗教の」


 リディアがその宗教に心あたりがあるようで話に入る。


「あっ!! ランスが言ってました!! 太陽を奉るって」


「私のエルフご主人様も言ってました!! 太陽を奉るが、私たちの教えと教会と競合させるって!!」


「女神エメリア様? 太陽を奉るって太陽の神がいるのでしょうか?」


「わかりません………ふふ。それは知りませんよ」


 女神は怪しく笑う。何かを知っている顔で微笑む。悪い笑みを持ち企んでいる。それがわかったがそれを話すことはないと本能が告げる。まぁ私には関係無いことだ。


「では、今度は何を話します?」


 女子会は続く。そして、若いグループと年寄りで話が本当に別れるのだった。




 


 

















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