都市ヘルカイト⑮オブジェクトXX-U-2609「炎翼の魔女神」..
オブジェクトXX-11-1「ゲート」
丸い硬質な不明金属から出来ている。表からは景色が見えるが裏からでは景色が見える事がない。金属等実験に関して、ゲートが不使用になる事象が起きてしまう場合の損失が多いため実験は不許可とする。また、ゲートから多量の放射能汚染と異質の汚染物質により作業員は対防曝用作業服を着込み作業し、使用しないときは異世界の生き物の流入を防ぐため閉じておくこととする。マニュアルを良く読み作業を行うこと。
19XX年、[削除済み]博士が開発した扉。異世界へと続く道であり支部11号研究所の深部に設置された。我ら運営はこれを維持管理し、異世界の情報を求め。最強の種を作ることが11号研究所の目的である。
オブジェクトXX-11-5230 "遺体番号1"
第11回目による。ゲート先調査隊により持ち帰られた異世界の遺体と思われる。損傷が激しい。解剖結果、人間とは類似点が見つかるも他に見られない器官が多く。皮膚は鋼のように硬く硬質することがわかった。成分は全て人間と同じだが、未発見の成分も含み。これを保有する。
19XX年。オブジェクトXX-11-5230 "遺体番号1"から遺伝子を抽出。100人の協力者によって50人ほどのオブジェクトXX-11-114514が作られた。この個体は防護服を着ずゲートを潜れる。強力な脚力を持ち。人間の遥かに越える生き物である。強化人間と呼称し教育を実施。ゲート内の遠征部隊を作製。いくつものオブジェクトを収集する。
オブジェクトXX-11-132790"ドラゴン"の収容違反により原発炉が臨界を越えたが強化人間の作業により収容違反は射殺。原子炉を廃炉とした。強化人間の有用性を裏付け。量産体制を行うことが議会で決まった。しかし、遺伝子の損傷等によりオリジナルほどの生体は生まれていない。
オブジェクトXX-11-162999"白翼の鳥人"
強化人間の一人が群れからはぐれた鳥人を収容。鳥人のアルビノ種であり喋ることが出来る。言語もわからないが、[削除済み]博士や収容した強化人間の一人が会話が可能。実験は博士の一任で強化人間が行う。銀色の懐中時計等、光り物が好きな模様。博士は強化人間と彼女に渡したとする。喜びの感情はある模様。
オブジェクトXX-U-2609 "炎翼の魔女神"
強化人間のひとりが接触し。収容した人間のような亞人。あまりの美しい彼女を写真で納めようとしてもピンぼけし、残すことが出来ない。10人、彼女を見て絵を書かせた場合。10人とも姿形が違う。上は70才の女性から下は10才の少年の姿を確認できた。[削除済み]博士は彼女の真の姿を確認出来、ある強化人間も同じように見えている模様。二人の絵の共通点が多く。紫の瞳、炎の翼、金色の長い髪そして白い鎧を着た西洋のような女性が描かれる。東方のモンゴロイドの人種が描く絵に良く似た特徴が伺えた。何故か彼女はこの世界の知識を有している。
20XX年、大規模収容違反により支部11研究所の破棄を決定する。[削除済み]博士等、管理能力欠如とし[削除済み]する。
20XX年、大規模収容違反発生。発生確認が出来たのは5日後であり多数のオブジェクトが紛失した。紛失リストは別紙を参照。当時の録音データ等からもゲートからの侵入者によって事件が発生した模様。カメラ鑑識によると大小違いはあれど過去、西洋傭兵が使用していた両手武器に類似する。銃弾は効かずサイコキネシスによって被害を大きくした。オリジナル強化人間部隊到着後、数人を除き全滅。強化人間の裏切りが発生。
20XX年オブジェクトXX-11-1 "ゲート"消失。大規模収容違反によって消失した。監視カメラ映像として残されており上級職員のみ閲覧が可能である。映像内容を翻訳、言葉で内容を表示する。
「ここから帰れます。さぁ皆さん!! 早く!!」
「リューク!! リュークも!!」
「………いや。俺は行けない。ゲートを閉じなくてはいけない」
「リューク!?」
「シエル。君は美しい。だから、こんな所じゃなくて君だけの空を飛ぶんだ」
「いや!! リュークと一緒に!!」
「頼む。シエル………君みたいな者をこれ以上出すわけにはいかない」
「いや。いや!!………リューク!! 私!! 私を拾ってくれたリュークが!!」
「シエル、君は僕の空だ。だからその綺麗な翼で飛んでいくべきだ。ありがとう。恋して良かったよ!! さぁ!! 行くんだ!! 君が最後だよ!!」
「私も残る!!」
「ダメだ!! 殺される!!」
「いや……いや………」
「お二人さん。愛してる?」
「ネフィアさん………もちろんです!! だからネフィアさんも早く!!」
「シエル!! 足で彼を掴みゲートへ入りなさい!! 私がなんとかしてあげる!!」
「はい!!」
「なっ!? やめるんだシエル!!」
「リューク。ゲートを壊せばいいのよね」
「そ、そうです!! しかし!!」
「私の目の前で悲愛は認めない!!」
カメラはこの後の衝撃で破壊され映像はここまでとなっている。事件調査班の報告によると膨大な熱量がこの空間に発生し全て液状化。溶けていたと報告されている。ゲートは消失が確認された。
20XX年「削除済み」博士捜索。11号研究所の事件は全て[削除済み]博士の手引きがあった模様。データの削除。ゲートへの道の隔壁開放。外部操作を行った形跡がある。エージェントに[削除済み]を依頼。捜索は難航。知り合いである研究者が連絡を取り話を録音したのが最後で消息は不明。閲覧は禁止とする。
「博士、何故。11号研究所で違反行為を?」
「違反行為を? していないよ。ただ普通にしただけだ」
「あなたのせいで11号研究所は使い物にならなくなった。運営はこれを重く見て君を削除するだろう。ゲートを用意し多大な貢献を行ってきたが今回は故意であり。許される物ではない」
「許されるべきではない。許されない………そう許されないのは運営側の方さ」
「……何が言いたい?」
「異界から拉致を行う行為。君は家族の拉致を許せるのかい?」
「…………致し方のない犠牲」
「そうか。11号研究所は壊して正解だ。運営側のデータもほとんど抹消した」
「何故!? そこまでのことを!!」
「………それを調べるのが研究者だよ。今回は長い出張だった。君にも今後、会うことはない」
「博士、ヒントを」
「君は頭がいい。ああ、もう演じることもいいか。答えに近いのを持ち、確認で聞く癖だったか?」
「ええ、長い付き合いです」
「じゃぁ………そうだな。これでわかるか?」
「もったいぶらずにどうぞ」
「シエルは『僕の空』だ。家族を迎えに来ただけさ」
「シエルとは博士のお気に入りの? 余計わからなくなりました………博士? 博士? バルムンク博士!!」
録音はここで止まっている。[削除済み]博士が切ったのだろうと予想。[削除済み]博士の個人情報は不可解な物が多いため別紙に纏める。研究者の閲覧禁止の論文もあるが答えを知る者は見つかっていない。11号研究所は閉鎖された。




