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不思議の国のネフィア⑥終幕、そしてネフィアの追記..


「うぅ………ん………」


 私は唸りながら目を開ける。目が潤んで涙を流していた横になっていた。


「起きたか?」


「………ここ」


 体を起こすと見られた寝室と椅子に座り礼の本を見ていたトキヤが立ち上がり、ベットの縁に座る。


「ビックリした。倒れてた………まぁ仕方ないさ。そういう本だったんだろう」


「………ただいま」


「おかえり」


 私は彼に飛び付いて抱き付く。そして………ワンワンと泣き始める。逢いたかった。逢いたかったよ。


「おい!? どうしたんだ? 泣きすぎじゃないか?」


「逢いたかった!! トキヤ~」


「お、おう………そっか。迎えに行って正解だったか」


 彼は優しく強く抱き締めて頭を撫でてくれる。


「ごめん………私、トキヤの事を忘れて………本は!?」


「本? 本はあそこのテーブルの上に」


 私はベットから這い出る。出たあと立とうとし転けてしまいそうになったがトキヤが支えてくれる。長い間動いてなかったから体が重い。


「………ネフィア大丈夫か?」


「うん………大丈夫。ちょっと悲しいだけ。夢で格好いいトキヤと別れちゃったの」


「そっか………」

 

 本を手に取り中を見る。1枚目に千家時也の似顔絵がある。始めにそう………初めて見たとき驚いて次のページを見たのだ。そして次のページは白紙だった。


「何も書いていないが。今さっきまで………書かれてたんだ。ネフィア………お前の遊んでる話がな」


「私が居なくなったから………」


「そうだろうな………登場人物。主人公がいない物語はない。白紙はそういうことだろう」


「…………トキヤ………お願いがあるの」


 私は一つだけ。トキヤにお願いをした。





 黒い世界で俺は座る。消えずに遺志が残っているため不思議に思っていた。他の皆は意識が混濁し闇のなかで悶えているだろう。


「トキヤが深淵を歩く事が出来るからか? 全くいい能力模倣したよ」


 まぁ………ゆっくりと長い眠りにつけばいいと思った。 次に落ちてくる人を助ければいいと。


 目を閉じて横になる。「誰か来るまで寝ていよう」とそう思った瞬間。


 草の匂いと花の匂いが鼻腔を擽り、目を閉じていても眩しさを感じた。慌てて目を開ける。


「な、なんだ………風がある?」


 穏やかな風を感じながら、目の前の光景に驚きを隠せない。


 自分は桜並木の脇にある芝生で寝転がっていた。空を見上げると太陽が昇り春の始まりの暖かさをもたらす。


「甘いな、やっぱり…………でも……それがネフィアだ」


 それが愛した女神の良さなのだ。





 私はトキヤに頼んだ羽根ペンで白紙の表紙と白紙のページに自分の炎を混ぜ、書き込んだ。イメージをそのままに。表題、ワンダーランド。内容は桜の綺麗な転成者の故郷日本。転生した、迷える魂に救済あれ。




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