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都市ヘルカイト⑪ 呪いのお便り..

 ある日、苦しむ呪いを受けた。きっと誰かの嫌がらせだろう。紙に呪いの内容を紙に書き夫のトキヤに見せる。「呪い二文字しか言えない」と。


「そっか、またあの呪いか。静かになっていいな」


 断固抗議する。私は煩くない。


「じゃべってばっかだろ。お前」


「むぅ」


「いや、むくれてもなぁ………かわいいだけだぞ?」


 私は怒った。褒めてくれてありがとう。でも怒った。


「よし、静かでよかった。愛を叫ばないのは平和だ」


「んん!!」


 「うがぁ~~!! 噛み付くぞ‼ いいのか!!」と叫びたいのに全く声が出ない。


「いつも噛んでる癖に」


 「甘噛みじゃない!! 本噛み!! がおぉ~」と思うが声は本当に出ない。


「あ~はいはい」


 私は「ちくせう…………!! いいこと思い付いた!!」と手を叩く。


「あっお前、何か良からぬ事を思いついたな………まぁ大したことじゃ………」


 心の中で「覚悟せよ、勇者トキヤ!!我は元魔王!!受けてみよ‼」を叫びながら、大きく手を広げる。


「すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすき」


「うるせぇえええ!! 1回でいい!! わかった、俺が悪かった!! 耳元で叫ぶな‼」


 用意した神に「すき」を殴り書いていく。嫌がらせのように。


「紙いっぱいに書くのかよ!? 裏面にも!?」


 我は魔王。すきすき攻撃で勇者を困らせるのだ。


「歴史上。お前以上に勇者に対して『すき』と書く、『すき』を言う魔王は出てこないだろうなぁ」


 頭の中で「我、もう魔王じゃないけどね」と思いながら頷く。


「まぁそうだな。どうする? 治すか?」


 紙に「大丈夫、困らない」と書く。


「本当か?」


「本当本当」


「そっか~」


「そうだよ~晩飯なにがいい?」


「鯖味噌」


「変わったの好きだねよね。私も好き、見た目へんだけどね。ドロッとして。でも味噌便利」


「ネフィア…………」


「はーい」


「治ってる」


「!?」


「ほら、しゃべって」


「この世で一番、大好きです‼ あっ!! 本当だ!!」


「もっと違う言葉を選ぼうね?」


「大好きより愛してるの方が良かったかぁ……失敗失敗。ごめんね?」


「そこじゃない、そこじゃない」


「わかってるわかってる。この世で一番が未来永劫でしょ? もう~好きなんだから~」


「わかってないじゃないか!?………まぁ治ったかいいか」


 ホッと彼が安心した表情をする。そういえば………好意は私の方が重いのだろうか?


「トキヤ………」


「ん?」


「未来永劫愛してるの私だけ? 私だけなの?………トキヤはその…………」


 スカートの裾を掴む。


「そこまで…………じゃ………ないよね…………やっぱり。私の方が想い強いよね? ひとりよがりでごめ」


「……………ネフィア!!」


「ひゃい!! い、いきなり叫ばないでビックリする!!」


ガシッ!!


 肩を掴まれた。


「な、なに?」


「最初、出会って倒さずに助けたのは誰だ‼」


「トキヤ?」


「魔王城までしっかり護って来たのは!!」


「トキヤです」


「その指に嵌まっている指輪は誰が贈った!!」


「トキヤから」


「姿形が俺の好みの女にさせたのは誰だ‼」


「もちろん、トキヤさんの趣味」


「お前の夫の名前は?」


「トキヤ~」


「ここまでしたのは理由を考えればわかるだろう……一度しか言わないぞ」


「う、うん」


「未来永劫、この世で一番好きであり愛している」


「………耳真っ赤」


「バーカ恥ずかしいんだよ。面と向かって言うのはな………なんで相思相愛の方がはずかしくなるんだよ。昔は普通に言えたのに」


「………も、もう1回お願いします」


「恥ずかしいんだけど……一度しか言わない言ったぞ」


「お願い」


「………未来永劫、んぐ!?」


「んん!!」


 私は背伸びして彼に首に抱きつきながら唇を合わせる。


「…………もう一度聞くんじゃ無かったのか?」


「ごめん。待てなくてフライングしちゃった………」


「…………」


「…………」


「トキヤ」


「なんだい?」


「もう1回しよ?」


「何度でも」






 ある日の昼前。絨毯でトキヤが昼寝をしている。どうしよう。


「ごはん。起こしにきたけど………イタズラしちゃおっか?」


 脳内で悪魔が囁く。やれと。


「やっぱだめかな?」


 脳内で天使が囁く。やれと。


「でも、トキヤが少し喜びそうなことしてみようかな? ついでに起こす事で」


 脳内で天使と悪魔が満場一致でやることに。寝ているトキヤさんの顔まで移動する。長いスカートを履いているのでフワッと浮かせて座り込み太股で顔を挟める状態でスカートを被せた。


「ふふふ、男なら憧れる行為だぞー」


「すぅ…すぅ…」


「ああ、でも寝顔が見れないスカートで………よし!! 挟もう!!」


 柔らかい太股で顔を挟み起こす。たまらんはず。


「んん……………んんんん!?」


「起きた? ご飯だよ?」


「なんだ、これ!? 柔らかい………太股………スカートの中か!?」


「正解。そうだよ~憧れるでしょ?」


「まぁ………こう!! 高鳴るけどさ‼ 普通におこしてく

れ。心臓に悪い!!」


「いや………だって………太股触れてるところ気持ちいいもん」


「婬魔め、これがいいのか?」


 トキヤがスカートの中の太股を擦る。ピクッとつい反応してしまう。堅くてごつっとした手の感触だが何故だろう。マッサージのような気持ちよさがある。


「い、婬魔だよ………気持ちいいの………これ」


「……………まぁ、ご飯たべようか」


「……はーい。あの終わったら……」


「終わったら?」


「色んなところ触れて貰ってもいい?」


「わかった。食べたらな」


「はい!!」


 元気よく返事をした。





 お薬をいただいた。


「ん? トキヤこれなに?」


「えーと一時的に記憶を深く思い出す薬。昔を思い出すにはちょうどいいしな」


「へぇ~どうしてそれを?」


「お前が男の時を忘れてしまってるからな思い出させてやろうと思って。今を忘れて一時的に昔に戻る感じだな」


「いらない!! 絶対飲まない!!」


「まぁ気休め。俺も記憶が曖昧になるとき飲んでるから」


「薬に頼っちゃダメだよ?」


「中身に言ってくれ記憶がごっちゃになるから整理だよ。あれは誰の記憶だったかなぁ~って」


「…………ちょっと飲んでみようかな?」


「水に一滴垂らすだけでいいからな?」


「え?」


 トキヤが余所見しているときに瓶の中身を全部飲んじゃった。


「全部、飲んじゃった!! あわわ!!」


「ネフィア吐くんだ!!」


「ちょ!! 頭が痛い!!」


「ネフィア!?」


「……………」


「んん?」


「馴れ馴れしいぞ。勇者………離れろ」


「大丈夫だな。気絶しないならなんとか大丈夫だな。頭は大丈夫か?」


「ああん? お前、敵の心配………うれしい」


「?」


「あっ!! 違う!! べ、べつに嬉しくなどない!!」


「記憶戻ってない???」


「そんなことより近い、離れろ‼」


「わかった…………あの。手を離して貰わないと」


 服の袖を掴み離そうとしない。我。


「は、離れん!?」


「はいはい、寂しいんですね~」


「ああ!! くっつくな抱き締めるな!!」


「お前だって手を回してる」


「あぐぅ………か、体が勝手に………お前のこと……あうぅ………すき……くぅ~」


「めっちゃ可愛い。昔のツンとした感じもいいな」


「お、男に可愛いって………言うな………」


「可愛い可愛い」


「な、殴られたいか!?」


「殴って貰ってどうぞ」


「………トキヤ」


「!?」


「いつも護ってくれてありがとう………ああ。そっか………結ばれたんだ。勇者と………なーんだ」


「ネフィア?」


「はい。トキヤ。ネフィアはここですよ」


「薬切れたのか!?」


「ああ、ううん~残ってるけど。昔の私がすぐ私になっちゃった」


「…………本当に。意外なことばっかするなお前は」


「うん!! トキヤ~キスして~」


「今が一番可愛いよ」


「うれしい!! 努力の結果だよ‼」


 なんにしても大好きである。

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