元魔王さまの保険体育..
使用人になって数日がたった日の朝。自分は下半身に違和感を覚える。そして衝撃の事件が起きる。
「ンギギギギ!?」
腹痛。とにかく下半身が痛みだしたのだ。お腹の奥。腸とは別の場所の痛み。男の時についていた場所より少し上の場所が凄く痛む。痛みを出す場所が脈を打っているのがわかるほど熱く鼓動した。
「痛い!!」
ベトッ
下半身に水気が気になり、布団を足で退ける。真っ赤に染め上がっており。大量の血に驚き、血の気が引き体温が下がる。
「えっ………うそ………血!?」
なんかの病気だろうか、下半身から溢れている。あまりの量に怖くなってくる。まるで、刺されたかのように血がで続ける。黒く赤い液体が。
「ネフィア!! 朝よ!! 起きなさい!!」
「エルミアぁ…………」
「あっ………それ」
「どうしよう!! 病気だ………こんなに血を出して気分も………痛みもある………怖い」
「…………ぷぅクスクス」
「な、なぜ笑うんだ!! あふ………目眩が」
頭を押さえながらエルミアを睨み付ける。彼女は口元を押さえて笑っていた。こっちはそれどころじゃないのに。
「あのですね。ネフィアちゃん」
「な、なんだ。早く医者を紹介………」
「それは生理現象です」
「せいりげんしょう?」
「安心して、死ぬことはない。風呂と生理用品を用意します。本当に男だったんですよねぇ?」
「今も!! 男だと何度も何度も!! あう………叫んだら目眩がする」
「全然説得力無いね。だって、ネフィアちゃんって…………お、も、た、いからね!!」
「重たい?」
いったいなにが重たいのだろうか?
「さぁ、風呂で綺麗にしなさい。説明してあげるから」
*
わざわざ自分のためだけに風呂を沸かしてくれた。血濡れた下半身を洗い。股の………昔にあるものが着いていたところに穴が出来上がりそこから血が出ていたようだ。出たあとは、エルミアがベルトのような物と布を用意し、着ける。ちょうど穴を押さえる物らしく。「せいりようひん」と言うらしい。
「では、部屋に来てちょうだい」
言われるまま部屋に行き。部屋に行くと黒い板が用意されていた。それに文字で「生理現象」と書かれている。
「なんだ? それ?」
「黒板。意思伝達に欠かせないすばらしい物よ。見たこと無い?」
「無い」
「これは、こうやって文字を書いてスッと消せるの」
「うわぁ!! すごい!!」
自分はその素晴らしい情報伝達方法に驚く。目眩はいただいた薬で引いており。口を大きく開けて驚きを表現した。
「ふふ、でしょ~昔には無かったの」
生理現象の文字を消す。
「では、女性の体について教えましょう」
「ええぇ……いらない」
「又、血が吹き出るし……原因知っとかないと嫌じゃない? 知らないのに血が出るなんて」
「………確かに」
気味が悪いもんな。安心してるのは「死ぬことはない」と言ってくれたからだ。
「では、これが女性にあります」
黒板に逆三角形の絵が描かれる。
「男の下半身についてる。あれって何か知ってる?」
「男の勲章………余にはもうない………」
「あ、あなた知識がない!? どうやって子供が出来るか知らないの?」
「お腹が大きくなる? 卵?」
余が読んでいた物語や本にはコウノトリや卵で生むと書かれていた。
「まぁ、えっと。どうしよう………先ずはこの絵から説明するわ」
絵に丸と棒を描く。言葉も書いていく。
「これが、卵巣、これが子宮、これが膣ね。今、あなたの体に在るものね」
「あるのか。ふむ」
「男性にはなくて女性にはあります。そして、卵巣は卵を作るところ。子宮が子供を作り育てるところ、膣が男を受け入れるところよ。ここにあるの」
エルミアが自分のお腹を触る。自分の中にそんなものがあることに驚きだった。そして、悲しくもある。女性の物らしいからこそ男の余にあってはならないのにあるのだ。
「悲しいが……それと血は何が関係があるんだ?」
「ネフィアちゃん。子宮はね。水袋みたいなベットで生まれた子供を抱くの。水ではなく血を使ってね。そして、ずっと使うと古くなるでしょ? だから捨てちゃうの新しいベットを作るために」
「へぇ………そうなんだぁ、うわぁ……うわぁ……」
気付いてしまった。なかなか、ショックが大きい。子供を抱くための物がお腹にあるなんて考えもしなかった。そして禁断の質問をする。
「もしかして、余は子供が出来る?」
「もちろん。生理現象は子供が何時でも出来るように準備をする行為。孕むことが出来る大人の女性の特徴よ」
「あ、ああ………あ……」
膝をついて、両手を床につける。完全に女性っと言われて絶望する。孕むと言うことの恐怖を覚えた。エルミアの夢で見たことをすれば自ずと出来てしまうらしい。
「生理現象は1月に1回ありますから。一生付き合ってくしかないですね。体と」
「1月に1回………これが………一生」
「あなたは特に症状が重たいから大変ね。人によってはケロッとしてるわ」
頭に追い討ちをかけられた気分だ。こんなのが一月毎にあるなんて嫌すぎる。
「だから、トキヤ殿に説明して調子が悪い日もあることを理解してもらわないと」
「いやだぁ………あいつに知られたくない……」
プライドがズタズタになるのは避けたい。
「はぁ………お腹にこんなのがああ、嫌だぁ………」
「まぁ、今はそう言うけど出来たら嬉しいよ」
「絶対!! 作らんからな!! 絶対絶対!! 作らない!!」
男に絶対戻ってやるんだ。お腹に出来る前に。