プロローグ
周りが白い壁に囲まれ、中心に石碑のある部屋で石碑を読んで呆然としていると。
『君が10人目君か。』
「誰だ?」
声を発しながら周りを見渡すが、人影はもちろん気配さえもない。
『探しても声だけを届けてるから誰もいないよ。』
こちらの行動を、把握しているらしい。
「なら、ここは何処で、あんたは誰だ?」
『ここは神前の間で、僕は一応神様になるかな。』
「はぁい?」
ハッキリ言って、ゲームやラノベ等は好きなので、異世界転移や転生といった話にも耐性はあったのだが、実際にあるとは思ってはなく、神様だと言われていそうですかとはいくはずもなく。
「何かの企画か、イベントですか?それなら、一応なんて付けないで、神様っていいきった方がいいですよ。」
自分がここにいる理由にはならないが、普通に考えて実現可能なものとして考えれば妥当だと思う。
『石碑に書いてある通りで、企画とかではないよ。ほら。』
「えっ、これって?」
不意に、体が動かなくなると同時に体が浮かび上がったのだ。
1mほど浮かび上がったところで止まると。
『体は動くから仕掛けがあるか確認してみるといいよ。』
そう言われ、手を動かそうとすると、浮かび上がる際には動かせなかった手が動いた。
ならばと、頭の上や体、足の下等も確認するが、見えない何かで持ち上げたり、吊るしたりはないようだったが。
「あれ?」
吊るしたりでは無いが、集中して手をみると手の周りに、うっすらと薄い白いモヤが見えて来たのだ。
「何だ?この白いモヤは?」
『あれ?僅かに見えたんだ。へぇー、拡張者だったんだ。』
「拡張者?」
『言い方や表現は、色々だからあくまでも僕や知り合い内での呼び方なんだけど、簡単に言えば 身体的な能力の何かが、通常の限界よりも拡張している者の事だよ。』
「具体的には?」
『君の例で言うなら、視覚の拡張だね。通常の視覚情報の限界って確か10%くらいだったかな。君は、その限界が10%以上なんだよ。何処までかは分からないけどさ。君の居た世界で言うなら、霊視とか透視の類いだよ。』
「霊視や透視の類い。」
『そうだね。もっと具体的には、今の感じだと君の世界では霊視、これからの世界では魔眼とか、魔力視覚なんて言われてよ。』
「霊視、魔眼、魔力視覚。」
『まぁ、多少珍しいけど、拡張者それなりにいるから、普通よりちょと見えるものが、多いくらいに考えるといいよ。』
そんなアドバイスをされながらも、考えていたのは拡張者、霊視、魔力視覚等の事でちょとした推測が浮かび上がったのだ。
「質問なんですが?」
『何かな』
「もしかして、超能力とかも拡張者だったり、幽霊とかも魔力とかだったり。」
『認識としては合ってるよ。まぁ、本来とは違う方向の話で、時間がなくなって来たから簡単になるけど、脳波系や発電系が拡張したり、聴力や触覚が拡張したりすればと考えれば、それで色々と推測出来る能力があるんじゃないかな。』
確かに、推測だけなら色々考えられた。
脳波や発電が体内以上に色々出来る拡張なら、脳波のやり取りでのテレパシーや念力、発電なら発火能力、念写の類いならどちらでも可能性で言えば、どちらもありそうだと考えればきりがないだろう。
『幽霊も、魔力体や精神体の類いだね。あとは、魔力集中地での影響とかもあるかな。』
「なるほど」
ある意味、オカルトやSFの謎があっさりと答えを聞けたのは、なんだかんだゲームやラノベが好きな者としては幻想は壊れたが、現実感が得られた出来事だったのだが。
「でも、そんな世界の真理みたいな内容を、簡単に話していいのか?」
既に、色々ありすぎて言葉や態度等は、神様に対するものではない。
もとから、神様に対するものではなかったのだが。
『本来の主旨とは違うけど。まぁ、その内容でも構わないと判断したから、問題はないよ。10人目君。』
「そうだ。その10人目君って?」
『それを話すよ。石碑に書いてあるように、一定の周期で君達みたいな、条件を満たす人を送ってるんだけど、その際に適当に10人を選んで、その10人の質問に、5回だけ答えてるんだよ。ただし、制限時間20分で、答える内容も一定範囲内ならって感じだけどね。君は、今回の10人目って事だよ。』
理由は分かったが、そうなると気になるのは。
「残りの質問の回数と時間を聞いたら、質問に入るの?」
『説明した後なら、相手をしてるのが面倒な場合や嫌な場合は入れたりしてるよ。ちなみに、君の場合は拡張者は君自信に関わる事だったし、その流れからの質問でもあったから、本来なら2回した事になるけど、今回は一回分にしてあげるから、残り4回と15分くらいだよ。』
「15分くらいって、なんかアバウトな気が。」
『まぁ、建前と最低のルールだから気に入ったり、興味を持てば、思考強化や感覚強化でもすれば、体感時間は長くなるから時間内に出来るからさ。』
「そうですか。」
それしか言葉がなかった。
神だけあって、ルールがあっても、ルール内で色々と抜け穴的な事が出来るようだ。
とりあえず、今は興味を持たれたり、気に入られたりは判断出来ないが、嫌われてはいないようなので、出来るだけ今後を考えての内容の質問として。
「世界の一般的な知識や情報を、浅く広く短く教えてくれないかな。」
『いい質問だね。』
姿は見えないが、神様の声は楽しげな感じだった。
『まず、世界の常識だけど、色々抜けてる日本みたいな感じだね。今までにかなりの日本人が送られて、色々していったからさ。ただ、環境や常識が違うから、日本と同じとは考えない方がいいよ。次に、君達や世界の人にとっても重要な大神殿、世界に7つ有るけど、1つは特殊だから、世界的には6大神殿って言われてて、その大神殿でのみ、昇格や祝福付与が可能だよ。一般人は、祝福付与ではなく祝福だけどね。逆にあたる罪人に関しては、一般的な罪人の刻印の基準は、殺人や一定以上の悪事の累積だと思われてる。だから、罪人の刻印持ちは誰であっても罰せられる。住んでいる人類は、魔人族、妖精族、獣人族の3種族、君達日本人は魔人族に入るよ。種族間で対立はしてないけど、国々や一部の集まりなどでは、対立があるかな。お金は角銅、銅貨、角銀、銀貨、金貨、魔金貨、魔晶貨で金貨までは10枚で1つは上り、金貨から上は100枚ごとに上がっていくよ。言葉は日本語、文字はひらがなが一般的な共通言語、これも日本人が色々した結果だね。同様に、ラノベやゲームでお馴染みの冒険者ギルドなんかも、日本人が作ってるよ。次に、魔法にあたるもので魔術がある。人によっての向き不向きはあるけど、真面目に修行すれば、一部の例外を除けば何かしらの魔術は使えるようになるよ。化物は、魔獣、魔物、魔瘴の3つに別けられてる。魔獣は、一定以上魔力を持った獣又は魔力によって変異した獣、魔物は植物や物体が魔力によって変異した物、魔瘴は魔力等の集合体での擬似生物って感じだね。ちなみに、ゲームみたいに倒せば、お金やアイテムとはならないから、魔獣や魔物なら素材を剥ぐ必要があるし、魔瘴なら魔力の集合体だから倒せば、飛散して核だけが残るよ。たいがいの日本人は、魔瘴が倒す抵抗は少ない感じだよ。まぁ、多少の差違はあるにしても、日本人を送り始めてから、それなりの年月があるから、ラノベやゲームの世界に日本が混じった感じだね。ただ、知識チートとかは大概失敗してるよ。世界が違うのに、似てるから同じだと思って行動したり、にわかの知識で上手くつくれなかったりね。さわりなら、このくらいかな。』
細かくは、まだまだあるのだろうが、俺がいった浅く広く短くの為と時間を考慮してだろう。
知識チート云々の失敗は、多分同じに見えても、世界が違うのだから成分や特性等が地球と違っているからではないかと考えられた。
「祝福付与と祝福の違いとメリットとデメリットは?」
『どちらも同じだよ。
ただ、君達転移者は、自分で祝福をある程度選択出来るけど、一般人は選択が出来ないから、言い分けてる。
メリットは、ものや種類にもよるけど、本来なら不可能な事を、可能にする可能性が得られる事かな。
デメリットは、器を考えないで複数付与した場合のコストは莫大なものになる事かな。』
コスト、新しい世界でのいわば命のタイムリミットに直接関係するだけに、重要で確実な情報が欲しい。
「コストに関しての具体例を数個か、法則があるなら教えて欲しい。」
『そうだな、基本法則は格×祝福数だけど、この他に器が存在してて、格が上がれば増えるけど、器を越える祝福は、基本法則に器のオーバー分の数が10倍でかかるよ。例なら格が2で祝福が2、器が1と2の場合は、器が2なら2×2で4だけど、器が1なら2×1×10で20になる。』
「器オーバーはコスト10倍!」
『そうだよ。オマケで器は格が5上がって1上がる感じで、祝福にも格が存在するのがあるから、格が存在するのは、格分の器を使うから気をつけなよ。』
これは、オマケも含めてかなり重要かつ、これからの生活の上で知らなければ危険だった情報だ。
多分、知らないで祝福を大量GETで、チートや無双とか考えて実行していたら、コスト不足で死んでいただろうと考えられた。
『さて、残り一回だね。
残り時間も僅かだよ。』
質問や確認したい事は、まだまだある山ほどあるが、残り1つで聞くのは、この先で聞く機会がない可能性のある疑問。
「どんな理由でこんな事をしてるんですか?」
干渉も強制もない、ただの異世界転移をする理由が知りたかった。
『うーん』
「・・・駄目ですか?」
『いや、構わないんだけど、面向きの理由は、救済って事になってるけど。』
「面向き?」
『ああ、でもぶっちゃけ、本当の理由は。』
「理由は?」
『再利用と実験、そして娯楽かな。』
「再利用に実験に娯楽?」
『それ以上は!今は言えない。知りたいなら、再びこの場所に来てごらん。そうしたら、答えてあげるよ。』
「ここにですか?」
『頑張りなよ。』
その言葉が最後聞こえると、意識が途切れていった。