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ドロクロンラブ

作者: シマリス

一日千秋の思いで、待ち焦がれた今夜。


そう、クリスマスイブの夜。


ボクはコートの襟を立ててマフラーを首に巻いて寒さをしのいでいた。


粉雪が舞い、なんともロマンチックな夜となった。


ボクは、この街一番の繁華な広場の中央に立っていた。


大きなクリスマスツリーの電光が夜空にキラキラと輝く。


ボクはソワソワと腕時計に目をやる。


『あと、10分、8時の待ち合わせ……』


『彼女はどんなオシャレなファションで来るんだろう~♪』


ふと目を横にやると、一組のカップルが楽しそうに話しをしていた。


男が女性の肩に手をやり、優しく抱き寄せた。


その後、二人はツリーの影に隠れた。


仲の良い、なんとも羨ましい光景だ。


しばらくして、先ほどのキレイな女性がツリーの影から彼を連れて出て来た。


そこへ宅配便の小型車に乗ったアンドロイドがやって来た。


アンドロイドは何やら、男にタブレットらしきものを手渡した。


男は頭の後部に手をやりメモリーチップを取り出した。


『120000メモリアル、確かに受領致しました。』


アンドロイドは、男に挨拶をして、彼女を宅配便の車に乗せた。


その後、何処へともなく走り去っていった。


あの男と一緒にいたのは、今、(ちまた)で流行りのレンタル.ドローン彼女だった。


かくゆうボクも、また同じようにレンタルドローン彼女を待っている。


『こんばんわ~♪』


ボクがよそ見をしている間に、目の前にとてもキュートで可愛らしい女の子が立っていた。


『望月.希美(もちづき.のぞみ)です。』


『今夜は、楽しい夜にしましょう♪』


『よろしく、お願いします~☆』


彼女はボクにペコリと頭を下げて腕を組んできた。


『ボクは星野.(ほしの.さとし)。』


『よろしくー!』


彼女の屈託のない満面の笑顔はまるで、天から降りてきた天使(エンジェル)だった。


『少し、繁華街を歩こうか~♪』


こんなに気持ちが高揚したのは、何年ぶりだろう…


これが、生きてるという実感なのかも知れないとボクは思った。


寒さのせいか、二人とも頬が真っ赤に染まった。


『変なことを聞くけど……君は本当(マジ)でドローンなのかな?』


ボクの質問に笑って彼女は答えた。


『聖君が、そう思うならそう、本当のヒューマンだと思うならそれも当たってるよ~♪』


ボクは、彼女の答えに困惑した。


どこから、どう見ても、本当の人にしか見えない……


今度は彼女がボクに質問してきた。


『聖君は……本当の(ヒューマン)なの?』


ボクは頭に手をやり、照れくさそうにかて答えた。


『希美ちゃんがボクを本当(マジ)で人だと思ったらそうだよ。』


彼女はボクの正面に立ち、前屈みになってボクの瞳を覗いた。


『ん~わかんない(笑)』


ボクと彼女の他愛のない会話、それでも


こうしてクリスマスイブの夜に並んで歩けることが何よりも嬉しかった。


ふと宝石店のウインドーガラスの前に目をやると


先ほどの男が、しゃがんで野球帽子を被り、キャンディーを加えてしゃがんでいた。


スーツ姿の紳士、立派な成人した大の男だった彼は


どうやら、先ほどのレンタルドローン彼女の支払いに


限度ギリギリのブレインメモリアルを支払ったらしい。


そのために、一気に小学生程度の頭脳に遡及(そきゅう)した。


人だかりが、彼を囲んで口々に何やら話していた。


『可哀想に……ブレインプアが、また一人増えた。』


『ブレイン保護者に連絡した方がよくないか!』


『行政は何をやっているんだ!』


『このままでは、この街はブレインプアで溢れ変えるぞ。』


そこへパトロール中のブレインバスターの車が止まった。


中から現れたのは、まだ幼稚園児程度の女の子だが


周りを黒ずくめの屈強なガードマンが、固めていた。


『このオジチャンをブレイン保護施設へ移送します。』


『シリアルナンバーをスキャンせよ!』


『署長!了解しました!』


幼稚園児の指示に従う大人達。


ボクは何がどうなっているのか分からず希美に(たず)ねた。


『希美ちゃん、あの幼稚園児は、なぜ、あんなに偉い人になっているの?』


希美は幼稚園児の首の辺りを指差した。


『青いバーコド状の光が5本見えますか?』


『ブレインアップデートされた最高級知能の持ち主です。』


『彼女は五歳ですが(ブレイン)は500年ほどの学習能力値です。』


『これが、いま社会問題視されている脳格差(ブレインハザード)です。』


ボクは唖然として、ドローン彼女の希美を連れて、その場を離れた。


ボクと彼女は、それから色んなショツプを見てまわり


可愛らしい縫いぐるみも彼女のために買ってあげた。


二人でオシャレなレストランに入り食事をして楽しく時間も忘れるぐらい話した。


やがて彼女のハンドバッグのアラームが鳴った。


『聖君、今夜はとても楽しい夜でした。』


『ありがとうございました~♪』


彼女はペコリとおじぎをして席を立った。


ボクも会計を済ませて彼女と一緒に外へ出た。


そこには、既に例の宅急便アンドロイドが、待機していた。


アンドロイドは業務マニアルに従いタブレットを差し出してきた。


『レンタルドローンのお支払いはカードになさいますか?』


『それともブレインメモリアルでお支払いされますか?』


ボクはカードシリアルナンバーをタブレット入力した。


宅配便アンドロイドがボクを見て話し掛けた。


『お客様、わずかに、残高が不足しております。』


『お客様は、大学卒でいらっしいますので、ブレインメモリアルをお使いになれます。』


『いかがなさいますか?』


ボクは、やむなく、ブレインメモリアルでの支払いを了解した。


脳内チップを外しタブレットへセットアップした。


数分後、ブレインチップが返却された。


『確かに受領いたしました。ありがとうございます。』


宅配便アンドロイドは、おじぎをして、ドローン彼女を乗せて、いずことなく姿を消した。


ボクはご主人の代理として、楽しいひとときを共有化するクローンの一人。


病弱でベットで寝たきりの老人であるボクは君というアバターを持ててとても、うれしいよ。


ドローンな彼女に恋をしたクローンな

アバターをもつ老人の物語り。



終わり。



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