表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/199

ジョージへの新たな課題

 人種差別をするつもりはないが、この切なさはなんだろう‥‥異世界人の勝手なイメージを押し付けられたら、堪ったもんじゃないのは分かっているんだけど。 

 地球と異世界レコルトの一番の違いは人種の多さだと思う。中でも人数が一番多いのが猿人。

 猿人の中で他人種を差別する人は、自分達を真人や元人と自称し他の人種を亜人や獣人と呼びさげすさむ。猿人の種族特性は特にない、むしろ種族特性がないのが猿人の強みだと言われている。逆を言えば大きな弱点がないのだ。人数の多さに加え猿人は内政、軍事、商売等様々な仕事で重要なポストを確保し、あらゆるジャンルで主流を担っている。

 でも、俺の周囲にも猿人種以外の人が多い。

 まずオークのサンダ先生。この世界のオークは見た目まんまゲームに出てくるオークなんだけども、知能が高く総じて真面目である。オークの鼻は政治の腐敗臭も嗅ぎ分けるなんてことわざもある位だ。

 ゲームやラノベと変わらないのがエルフとドワーフ。エルフの見た目は男女共に美しい。ヘゥーボもグリグリ眼鏡を外せば、美少年で薄い本では大人気だった。ドワーフの男性は髭が濃くがっちりしてるが、女性はロリ体型だったりする。

 熊人も男女でかなり見た目が違う。女性の熊人は熊耳が生えてる位だが、男の熊人はまんま熊である。ドンガはつぶら瞳の持ち主で女性ユーザーからの人気が高く、ぬいぐるみが作れたりした。ちなみにギガリさんは片目に傷があるグリズリーと言った感じでかなり迫力がある。

 狼人は男女共に精悍な顔付きをしており、狼耳がある以外見た目は猿人と大差はない。敏捷性と嗅覚に優れており、狼から進化した為か上下関係に厳しかったりする。修練中にボルフ先生に逆らおう物なら、ボッコボコにされてしまう。ちなみに俺がプライベートで頭の上がらないベスト5は爺ちゃん、ボルフ先生、サンダ先生、母さん、アミである。

 他にモフモフの尻尾と小柄な体型が特徴の栗鼠人、東方のワノ国から来たと言う狸人なんかがいる。


「はい、湯ドーフお待ち…それで、コニーの親父さんは雇うのかい?」

 俺が今いるのは、獅子人カリナの店。常連の誼で一次面接の会場に使わせてもらっている。一次と言う名目で面接官はサンダ先生にしてもらい、俺は離れた場所から人物鑑定をして合否を決めるって仕組みだ。合格ならお茶をだし、不合格なら食事を運んでもらう。怪しい奴には外で待機しているアサシンギルドの方々の追跡調査となる。

 今、サンダ先生が面接しているのはセリュー・ラパン。兎人で俺のクラスメイトコニー・ラパンの父親だ。

 兎人は愛らしい顔立ちをしている人が多く、キミテでも萌えキャラとして人気が高かった。でも、セリューさんは兎耳ヘアバンドをつけた生真面目な中年サラリーマンにしか見ない。更にセリューさんは、痩せ型で黒縁眼鏡に着古してヨレヨレになったスーツを着ているので、萌えない所か切なくなる兎耳である。


「能力的にも人物的にも申し分ない‥‥後は応募して来た理由だな」

 問題は誰にゴルド公爵領から逃げて来たって勘づかれたかだ。貴族が一人の兎人に何時までも拘るとは思えないが、出来るだけ厄介な火種とは関わりたくない。


「あたいとしては、採用して上げて欲しいね‥‥貴族に追われるのは他人事じゃないし」

 いつも元気で明るいカリナが、深い溜め息をついた。ボルフ先生の話によると、カリナの一家も故郷から逃げて来たそうだ。何でもカリナのお姉さんが絶世の美女らしく、領主に目を付けられたのが原因らしい。


「純情狸小僧からも頼まれてるしな‥‥望みが薄いのに一途と言うか、何と言うか」 

 ヴェルデはラパンの事を好きだが、ラパンはどう見ても同族で幼馴染のピーターに思いを寄せている。


「仕事は大人顔負けの癖に男女の仲は疎いんだね。ラパンは最近ピーターと距離を置いてるよ」

 カリナの話だと、ピーターの杓子定規な思考に付いて行けなくなったそうだ。でも、ラパンがヴェルデに振り向いてくれる可能性は極わずかだと思う。


「そうか、ありがとよ。セリューさんにお茶を頼む」

 ギリアム商会はうちの大口の取り引き先で、繋がりの薄いゴルド公爵とは比べ様がない存在だ。


「毎度あり!!」

 カリナの威勢の良い声を聞きながら、昆布出汁が染みた湯豆腐を口に運ぶ‥‥醤油かポン酢が欲しいっす。塩で代用してるが、どこか物足りない。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 セリューさんを含めギリアム商会から紹介された人達のお陰で、何とか独立に向けて目処がたった。

 そんな中、ボーブルの領主様は一人寂しく残業中である。俺を慰めてくれるのは、秋の夜長に鳴く虫達だけである。

 新しい部署の人事や予算案をチェックしてると、どこからともなく寂しげなギターの音が聞こえてきた。


「ねえ、君は今どこで何をしてるの 夜露で体を濡らしてないかな?寒さに震えてないかな? 儂の中の君は、あの日のまま笑顔だけど 今の君はどこで何をしてるの? 君を思うと、儂の胸は切なさで張り裂けそうになるよ‥‥どや、新曲゛ロンリーないキャットちゃん゛は?」

 窓を開けてみると、そこにいたのはどや顔の三毛猫ミケ


「無駄にうまいのがムカつく‥‥それで久し振りに来たのは、新曲を披露する為か?」


「冗談は顔だけにしい‥‥グルウベ様からお達しがあったんや。よく耳の穴かっぽじって聞け。二、三年後に新しい魔王が現れるそうや。魔王の名前はゴライアス‥‥どうやらお前の言うてた事はホンマやったみたいやな」

 魔王ゴライアス。ラスボスだけあって、その強さは圧倒的だ。最初は鎧を着た武人だが、ある程度ダメージを与えると邪龍形態に姿を変える。


「分かってるんなら神様サイドで、何とか出来るだろ?もしくは前倒しで勇者にお告げを与えて今から強くすりゃ良いじゃねえか」


「儂等、神使は基本人間界に直接手を出すのはアウトなんや。それに魔王軍のまの字もないのに勇者にお告げをしたらどうなるか分かるやろ?」

 ゲームと同じ展開になるなら、勇者はまだ村人Aにしか過ぎない。平和な時代に“神様からお告げをもらって勇者になりました”なんて言ったら、痛い子扱いされてしまう。=勇者の信用は地に墜ちると。


「それならマリーナ達勇者の子孫がいるだろ。彼奴等、半端じゃなく強いし」

 日本の陸上選手が“トップアスリートになれるのは生まれ持った才能で決まる“みたいな事を言ってたが、マリーナ達を見てると納得してしまう。努力や知恵では、どうしようもない圧倒的な才能の差があるのだ。高校球児で言えばマリーナ達はオ○エ選手や清○や選手レベルで、俺は努力しても精々ムードメーカーの伝令役にしかなれない。


「大丈夫や。お前も魔物を倒せば、強くなれるんやで。正確には魔物から魔石を取り出す際に出る余剰魔力を吸収すると強くなるんや‥‥才能ある連中と比べたら時間は倍掛かるがの」

 魔物の相手は命掛けだ。ゲームと違って、バックアタックや集団での攻撃を普通にしてくる。


「‥‥立場上、魔物との戦闘は避けられないか」

 貴族や騎士が平時でも威張れるのは、いざって時に命懸けで戦うからだ。ましてや俺は神使持ち、嫌でも注目が集まる。俺が隠しても、ミケが契約をしてるって言えば誤魔化し様がない。


「せや。これは極秘事項なんやけど、特別やぞ。今から実戦経験を積んで、魔王や六魔枢を倒せる様になってみい」

 平日は学校、放課後は部活代わりに戦闘。土曜日は丸々戦いに当てて、日曜日は領主業。長期休暇はバカンス代わりに経験値稼ぎ‥‥灰色の青春が決定しました。


「弱い魔物を何百匹も倒したり、他人が虫の息まで弱らせた強い魔物にとどめをさすのは駄目なのか?」

 ゴブリンの余剰魔力も積み重ねれば膨大になるし、強い冒険者に金を渡して経験値だけを手に入れても良い筈。


「無理や。ある程度強くなれば弱い魔物は近づいて来んし、下手に追い詰めたら集団で襲って来るんやで。強い魔物にトドメだけさして魔石を取り出しても、体の限界を超えた余剰魔力を吸収すると最悪死ぬんやで」

 やっぱり現実でチートは出来ないらしい。


「もしかして俺がケイオスに勝てたのって‥‥」


「ケイオスが魔物と戦ってなかったからやな。もし、経験を積んでたらお前がズタボロにされとるわ」

 ちなみケイオスは下っ端からやり直しになったそうだ。普通なら首になってるんだろうが、ライテック家の縁戚を放逐したら風評被害がでかいそうだ。むしろ育てて、度量の大きさを示した方が得になるらしい。

 そしてケイオスは俺を逆恨みしてると思う。つまり魔物との戦闘を積んで強くならないとやばいと‥‥俺、過労でダウンするんじゃないかな。

実名の扱いって難しいですよね。本人はないだろうけど両選手の知り合いが見てたら面白いかと‥有名人御本人や知人が読者様とかないか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ