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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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ジョージの里帰り 嵌められたジョージ?

 馬車に乗って里帰り中なんだけども、テンションが低空飛行だ。書類をチェックしていても、知らず知らずのうちに溜め息が洩れてしまう。俺の溜め息を聞いたボルフ先生が呆れ顔で口を開いた。


「久し振りの里帰りだってのに、随分と大きな溜め息を吐くんだな…どこで誰が見てるか分からねえんだ気を付けろ」

 確かに、久し振りに敬愛する父上に会う世継ぎが、溜め息を連発しているのは不味い。

 だから俺は本領では、父親(アラン)を敬愛してやまない素直で誠実な跡継ぎジョージ君を演じる必要がある。

‘’お父様、お父様にお会い出来てジョージは幸せです。お父様に会えないの寂しかったですけれど、お父様の期待に応えるた為にジョージは一生懸命努力しました‘’

 想像しただけで気持ちが悪くなる。


「分かってはいるんですけども、今回の出費を考えると溜め息しかでませんよ」

 家臣団の宿泊費に出張費、アランやアデリーヌへのお土産代、ボーブル城へのお土産代等々…アランが第三夫人と第四夫人をめとった事もあり、全部合計したら物凄い金額だった。


「まあ、魔石が高く売れたから、良いじゃないですか。しかし、アラン様はジョージ様にどんな御用事があるんですかね?」

 サンダ先生の言う通り、今回の経費は実験用に育てていた巨大魔石を売って賄ったのだ。混じり気がなく澄んだ色をした巨大魔石は好事家に高値で売れた。

 本当なら、その金でマシンカ(ゴーレム)を作りたかったのに…マシンカなので、あくまでオリジナルだと言い張ってやる。


「さてね、お偉いさんの考える事は、庶民には分かりませんよ」

 この間呼ばれたパーティなんて新しい服のお披露目だった。しかも掛かった値段が全身合わせて400万ストーン。パーティ代も合わせたら、とんでもない金額だと思う。


「まっ、行けば分かるさ。そういやゴブリンの一件はどうなった?」


「50匹のゴブリンに印を付けてたんですけど、ボーブルで見つかったのはその内3匹なんすよ。しかも全部熊の腹の中から見つかってますからね」

 自然界の中でも弱者に位置付けられているゴブリンが、ボーブルまで辿り着ける確率は思ったより低いらしい。


「しかし番いのゴブリンが住み着いたら、あっという間に増えますよ。ボーブル全体を囲う塀なんて不可能ですし」

 

「一応、格安で出来る対策は考えてますよ。うまくいけばボーブルの新しい輸出品になるかと」

 ただ、俺の評価が一部でがた落ちする危険性がある。でも、うまくいけばボーブルの公衆衛生を飛躍的に良くする事が出来ると思う。


 嫌だ、もうお家(ボーブル)帰りたい。一応俺はアコーギ領の正嫡である。城に着くと盛大な出迎えを受けた。

 無駄に爽やかなイケメンの父アラン、相変わらずごてゴテゴテと派手な祖母アデリーヌ、文句なしに可愛い妹アミ、今日も色っぽい義母ルミアさん…ここまでは良い。問題は初見の第三夫人と第四夫人だ。


(目が死んでんじゃん。それに首に嵌めらているのは…)

 第三夫人も第四夫人も、もの凄い美人なんだけど二人共目が死んでいて、まるでお人形さんみたいだ。

 でも一番の問題は首に嵌められている真っ黒な首輪。


(まさかな。アランは、もてるし…一応鑑定っと)

 

鑑定結果 隷属の首輪・効果 主として登録した人間に逆らえなくなる[ルーナ商会製]

 

(一番駄目なパターンだろ‼奴隷ってなんだよ?そりゃ、目も死ぬって…しかもルーナ商会から買ったのかよ)

 余りのお約束に唖然としてしまった。なんとか気を取り直して、アランに頭を下げる。


「お父様、この度はお招きありがとうございます。ジョージ、久し振りにお父様にお会いでき感激で体が震えています」

 正確には余りにもおぞましい展開で体の震えが止まらないんだけど。


「うむ、元気そうで何よりだ。ボーブルは目覚ましい発展を遂げているそうで俺も鼻が高い…時にジョージ、領主の役割はなんだと思う?」


「はっ、領民の安寧と領地の発展だと思っております」

 領主や騎士だけでは、何も出来ない。民や兵がいてこそ、領地が成り立つ。


「優しさだけでは領地を治められぬぞ。俺がお前位の年の頃は戦いに明け暮れていた」

 確かアランは今年で38歳、中年お約束の俺の頃はが出る年なんだろう。つうかオリゾンでここ何十年の間戦争はなかった筈。


「お父様の教え通り、武の鍛練は欠かしておりません」

 尤も、俺の武の師匠はアサシンのボルフ先生と傭兵のギガリさん。騎士として修練したアランとは真逆の戦い方だろう。

 騎士としての戦い方は正面から正々堂々と戦うのが好まれている。一方の俺は遠距離から弓と魔法、近接では相手の隙を突いたり、格闘を織り込んだりとなんでもござれの戦法だ。勝てば官軍、俺はオリゾンにもこの言葉を広めようと思っている。


「なら、その証を見せてみよ。ケイオス・ライテイ出て来い」


「ハッ、アラン様」

 出てきたの二十歳位の爽やか系のイケメン。金色の髪を肩まで伸ばしており、体型は細マッチョ。絶対にモテる、こいつがモテなきゃおかしい。


「ジョージ、お前はここにいるケイオスと模擬戦をしてもらう。ケイオスはアコーギ騎士団の若手の中でNo.1の実力を持っている」

 おいおい、中坊を大学生と戦わせるのかよ。そしてケイオス、何故俺を睨む。大人気ないぞ。


「はい、ケイオス殿の胸を借りたいと思います」


「もしケイオスに負ければマリーナとの婚約は白紙に戻す。良いな‼」

 マジ?これはわざと負けて婚約を白紙にしてもらおう。


「アラン様それはお可哀想かと…アコーギ騎士団で鍛えれらた私と薄汚い獣人と遊んでるジョージ様とでは実力に差がありすぎます」

 …このお馬鹿は何を言ってるんだろう。俺の悪口は良い。中学生が大学生より弱くて当たり前なんだし。


「お父様、私は残念でなりません。誇り高きアコーギ騎士団では礼儀を教えていないんですね…おい、そこの餓鬼。世の中の厳しさってやつを教えてやんよ」


「アラン様にすがり無理矢理マリーナと婚約したお坊ちゃまが何を仰ってるんですか?ここに誓う、私はマリーナ・ライテックをジョージ・アコーギの魔の手から救い出してみせます」

 おいおい、俺正嫡。お前、騎士団のペーペー。立場を分かってるのか?…分かって挑発してると考えるのが妥当か。 

 その証拠にアランはケイオスの非礼を咎めていない。もし、俺が負けたら難癖を付けてボーブルを取り上げるつもりかもしれない。もしくはケイオスをアミの婚約者にする可能性もある。

 もし俺が勝てば、俺の息子には武の実力もあるって、自慢しまくるつもりだろう。

________________


「ジョージ、あの餓鬼それなりに強いらしいぞ」

 ボルフ先生に調べてもらったら、ケイオスのライテイ家はライテック家に近しい家柄で、ケイオスとマリーナは従兄妹だそうだ。そしてケイオスはリーゼン・ライテルを弟の様に可愛いがっていたらしい。

 つまりケイオスにとって俺は領主の権力を盾にし宗家のマリーナを無理矢理婚約者にした上に、弟分のリーゼンは国外追放にした憎い奴なんだろう。


「まさか模擬戦の為に呼ばれたとは思いませんでしたよ…サンダ先生、オリゾンで奴隷を持つ事は、どう思われていますか?」

 あの小僧より、アランがルーナ商会から奴隷を買った方が重要案件である。


「国民感情的にはあまり好かれていませんね。貴族でも積極的に奴隷を購入する推進派、奴隷を愛でる愛玩派、奴隷を嫌う反対派に分かれてますし」


「力は、どこが強いんですか?」

 奴隷制度は吐き気がする位に嫌いだけど、表立って主流派とケンカするのは得策に思えない。


「一番力が強いのは推進派です。それに拮抗しているのが、反対派。反対派にローレン様やギリアム商会が属しています」


「それじゃうちも反対派だな。でも積極的に反対せず日和見で行きます。何しろ、本領の領主様が奴隷を奥さんにしてますし」

 でも、あの死んだ目でよく下が元気になるよな。俺なら罪悪感からインポになっちまうぞ。

関東在住の方がいましたら活動報告を見て下さい

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