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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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新規プロジェクト発動?

いつもより短いです

 俺の夏休みは宿題との格闘から始まった。難易度的には余裕だけれど、とにかく量が多い。しかし、へこたれる訳にはいかないのだ。ボーブルの税収も安定してきて経済的にも余裕が出てきた。そして長期休暇だから時間にも余裕がある。夏休みで新規事業を幾つか立ち上げる予定なのだ。

 何より可愛い可愛いアミがボーブルに遊びに来てくれる。アミの為だけに開発している道具もあるのだ。アミが遊びに来るのは一週間後、アラン達との国外バケーションには同行せず、ボーブルに来てくれるのだ。

 お兄様、大感激です。これは国外バケーション以上の夏休みプランをアミに提供しなくてはならない。夏祭りにはアミ好みの出店を呼んであるし、海水浴にも連れて行く予定だ。領主権限で、その日のビーチは関係者以外利用禁止にした。アミの水着姿はお兄様(おれ)が守る。

 結果、パソコンをフル活用した事により、残った課題は自由研究(新規事業の結果報告を予定)のみ。 

 今回の事業は食料事情の改善がメインである。領主権限で俺が食いたい物を作らせるのだ。

 作りたい物は山程ある。醤油・味噌・砂糖・胡椒・ソース・米・ポン酢・納豆等々…問題は俺の知識の浅さである。例えば砂糖を作ろうと甜菜(てんさい)の栽培を始めたが肝心

の抽出方法が分からないのだ。醤油や味噌には麹菌が必要なの知ってるが、菌の入手方法なんて分かる訳がない。

 

『ミケ、君に決め…』『やめーい、ツナギを着た配管工と電気ネズミは洒落にならんぞ…それで今回は何の用や』

    

「いや、そろそろ故郷の味が食いたいんだよ。調味料の作り方とかをパソコンにインストールできないか?」

 日本から物を持ち込むのには規制が掛かるかも知れないが、食い物の知識なら大丈夫だと思う。出来れば調味料とかを作る道具の情報も欲しい。


「まあ、襲撃事件も無事解決したみたいやし、領地経営もうまい事やっとるからなんとかしたる」


「流石はミケ様。これで昆虫料理とは、おさらばだ」


 調べた所、オリゾンで昆虫食は割りとポピュラーな物らしい。むしろ魚料理より昆虫食の方がメジャーらしい。中でも、マリーナが出してくれたシュリンプホッパーは捕まえるのが難しくお目出度い日に食べられる事が多いそうだ。日本で言えば自分で鯛を釣って来て料理してくれた様な感じになるだろう。無理な物は無理です。

 ミケのお陰で、色んな調味料の作り方が分かった…砂糖を作るのに遠心分離機や真空状態を作り出す必要があるのは想像もしていなかったけど。しかしこれでアミ夏休みエンジョイプロジェクトがパワーアップ出来る。

 砂糖の大量生産の指示を出しつつ、出汁昆布・豆腐・干物を作成する予定。昆布は漁師に取ってもらい砂浜で乾燥、ニガリは塩を作る際に出てくるので大丈夫だと思う。干し魚はアミ夏休みエンジョイプロジェクトで地曳き網を行い、どんな魚介類が採れるか調べてから始めたい。


________________


 完成した砂糖は、俺からしたら雑味が強く物足りない物だった。しかし、爺ちゃんを始めとしてたオリゾン生まれの人達にとっては十分に衝撃的だったらしい。


「まさかオリゾンで砂糖を作れるとはの」

 なんでもこの世界で砂糖を作れる国は限られており、原料から製造方法まで秘中の秘とされるとの事。当然、値段も高く王侯貴族や豪商でなければ食えないとの事。甜菜は家畜の餌にしか使われていなかったらしい。


「生きてるうちに砂糖を食えるなんて思いませんでしたよ」

 ちなみにボルフ先生は、試作の砂糖をわざと残して恋人へのお土産にしたそうだ。


「大っぴらな大量生産は止めた方が良いぞ。砂糖貿易は巨額の富を生んでいる。そしてこの砂糖も巨額の富を持たらす」

 砂糖の値段は貿易商が決めているらしい。何しろ海にも魔物が住んでいるから海外貿易は文字通り命懸けの仕事になる。でかい船を持ち高位の魔術師を何人も雇って初めて航海が可能になるそうだ。オリゾンで漁業が発展しなかった理由がここにある。魔物が少ないボーブルには漁師がいるけど、輸送の問題もあり需要も多くないらしい。


「貿易商を敵に回すと、砂糖製造を取り上げられる危険性がありますね。最悪、領地ごと召し上げもあります」

 サンダ先生が危惧するの当然で、貿易商の権力と財力はかなりの物らしく爵位の低い貴族では太刀打ち出来ないそうだ。王族に頼んでボーブルの領主を変える位、朝飯前らしい。

 そして一番危険なのは現アコーギ領の領主アラン。ボーブルはアコーギ領の一地方に過ぎず、アランの命には逆らえない。


「ヴェルデ商会に一枚噛んでもらって砂糖の出所を不明にしてもらいます。あそこも砂糖の販売をしているから怪しまれないでしょう。そしてその売り上げで騎士団や軍備の強化を計ります」

 そして時期を見計らって爺ちゃんを通じて、王族に砂糖を献上しよう。うまくいけば俺の夢も叶えられるかもしれない。

_______________

 

 アミが来る前日、ワクワクしながら仕事をこなしていると、ドアがノックされた。

 

「リリル・ハンマー様がお見えです」

 リリルには夏休みの宿題を一教科だけ丸写しさせる代わりに、ある道具を急ぎで作ってもらっていたのだ。

 

「言われた通りにー作ったけどー、これは何に使うのー。氷を削る道具なんて聞いた事ないよー」

 そう、俺がリリルに頼んでいたのは、かき氷機械。アミのおやつの為だけに、かき氷機を作らせたのだ。砂糖作りの前は蜂蜜を使う予定だったけど急遽変更した。


「味のリサーチは必要だよな…ちょっと、待ってろ」

 異世界でかき氷が受ける保証はない。本番(アミ)の前に、リリルで試す…リリルの意見を聞いておきたい。

 城の井戸から汲んだ水を魔法で氷らせ、かき氷機にセット。シロップはジャム作りの要領で作成した。ちなみにオリゾンではジャムを作るのにも蜂蜜を使うそうだ…養蜂も考えよう。


「その赤い液体はーなーに?嘘っ、氷に掛けるのー?」

 赤い液体、お約束の苺かき氷である。


「苺のジャムを薄めた物だよ…くーっ、うめえ。こりゃ、練乳小豆も試さないとな。食べてみろ。でも一気に食べると、頭が痛くなるから気をつけろよ」


「美味しいー。このジャムどうやって作ったのー」

 リリルの反応を見る限り外れではないだろう。


「そのうち教えるよ」

 砂糖をたっぷり使ったなんて言ったら、緊張して味を楽しめないと思う。 

 明日はいよいよアミが来る。お兄様今からワクテカです。

 

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