鬼さんどちら?
久し振りの更新です そして200話目 打ち切られても続けてます
やっとだ。やっと会えた。異世界に来て初めて同類に会う事が出来た。
「分かります。嫌ですよね。女いないと飲み会で不機嫌になる奴って」
安倍曇天さんと話をしたら、滅茶苦茶話が盛り上がった。
理由、その一 年齢が近い。曇天さんは三十六歳、そして独身のモテない君。転生前の俺と似ている。
理由その二 曇天さんもコミュニケーションが苦手な陰キャ。そして仕事人間。
俺は元来パソコンがパートナーの陰の者。
思えば転生してから、知り合った人達の殆どが美形、もしくは優れた才能を持った人ばかり。そして基本陽キャ。
ジョージの仲間であるドンガ・ヴェルデ・ヘゥーボも優れた才能を持っていた。
でも、俺は容姿も才能も凡人である前世のまま。強いままじゃなく、そのまま二周目スタート。
同じ日本人の谷もいるけど、あいつは、医者で美形。運動神経も良くて、歌も上手いという反則なスペックの持ち主。
「分かります。そういう奴等って、盛り上げる為だけに、無茶振りしてくるんですよね。陰陽師なら式神喚んでみろとか。そんなの準備しないと無理だっての。すぐ召喚出来る式神に来てもらうと『しょぼ』とか言うし。式神にも用事あるから気軽によべないっての」
曇天さんが苦虫を嚙み潰したような顔で愚痴る。
いる。そういう奴。俺も青森生まれなら津軽弁喋ってみろとか言われたし。
断ると空気読めないとか言ってくるんだよな。
曇天さんの信頼を得る為とは言え、新婚の奥の前で、前世の合コンネタは不味いと思う。
カリナをチラ見すると、案の定ご機嫌斜めになっていた。
「それで良い感じになると、いつの間にか消えているんですよね。何回、彼女持ちの幹事と帰った事か。友達の彼女から『榕木さんと一緒なら安心ね』なんて、変な信頼されるし」
まあ、毎回彼女持ちの奴等と二次会行ってたけどね。
再びカリナをチラ見……なんか憐みの目で見られているんですけど!
カリナだけじゃない。先生達やドンガ達まで、悲しそうな目で俺を見ている。
「うわ、本当にハルカさんの手紙に書いていた通りじゃん」
カリナがポツリと呟く。晴香の手紙……あの丈治取扱説明書の事か。
ちなみに、未だに取扱説明書を見せてもらえていない。もう十分カリナオリジナルのマニュアルが出来ている筈なんだけど。
「ちなみになんて書いていたんだ?」
当然だけど、晴香と付き合っていた時は浮気はしていない。それでも、何が書かれているか気になってしまう。
晴香と付き合っていた頃は、きちんと一次会で帰っていた。
飲み会の前後にはきちんとライソしていたし。
「丈治は女の人とお酒を飲んでも、周りを盛り上げる事に集中して、美味しい想いしようって発想がないの。でも、飲んだ帰りにコンビニ弁当やスイーツを買ってくるから気を付けてって」
はい、結果はお腹に出ました。飲んだ後って、無性に食べたくなるんだよね。きちんとゴミに捨てていたのに、バレていたのか。
「いや、女の人と話せないからってムスッとしていたら、飲み会の空気悪くなるだろ。何より俺は人見知りだ。プライベートで、初対面の女性と二人で話すなんてある意味罰ゲームだぞ」
初対面の女性とは適切な距離をときちんととる。俺は愛想笑いだって分かる人間だ。ちなみに飲み会で一番好きな時間は乾杯で、二番目は解散して一人になった時だ。
ほろ酔いで夜道を一人でぶらぶらするのが好きです。
「異国の貴族様だから、私の苦手な人種かと思ったらお仲間でしたか。権力を使わず赤心を持って接する……それで陰陽師に何を聞きたいんですか?」
曇天さんの雰囲気が一変する。今俺の目の前にいるのは、人付き合いの苦手な陰キャではない。プロの陰陽師だ。
「鬼についてご教授をお願いします」
今回の一番の目的は、ドンガと凛の結婚を、ワノ国の民に認めてもらう事。
その為には凛の兄である風太郎さんの人気を高める必要がある。
でも、厄介なのは寒源ではなく背後にいる鬼。俺達がオリゾンに帰った後も、寒源をたぶらかして反乱を企む危険性がある。
「鬼ですか?じょーじ様は、鬼について、どこまで知識をお持ちですか?」
鬼に対する知識か。エルフやドワーフと同じく、この世界の鬼も俺がいた世界の鬼が基になっている筈。
「背が高く、力も強い。頭には牛に似た二本の角を持つ。肌の色は赤と青が多いと聞きます。粗野で狂暴な者もいれば、人に力を貸してくれる優しい者もいる」
俺の知識は日本人なら誰でも知っているレベル。姿を丑寅の方角に由来するとか、隠ぬが訛ったって話も知っている。
でも、プロの陰陽師相手にうろ覚えの知識を披露するのは危険だ。
「概ね合っています。それで鬼の何を知りたいのですか?」
上手いな。無駄に知識を披露せず、こちらの要望だけを確認してくる。
「鬼の数と生息地域。寒源に協力している鬼は、全体の何割なのか。それと角の役割を教えて下さい」
鬼族全部と敵対するのは悪手だ。理想は寒源サイドの鬼を孤立させる事。
龍と狐は俺達の味方になっているから、分断をしやすいと思う。
(鞭は手に入れた。後は鬼への飴が必要だな)
出来れば鬼とは戦わずに問題を解決したい。戦闘より作戦。作戦より賄賂とおべっか、それが俺の流儀だ……リアル鬼にも豆って効くのかな?
「鬼が住んでいるのはねの国と聞いています。総人口は七千人から一万人程度との事」
江戸時代の小藩位の人数か。
(寒源は神社に鬼を匿っている。匿える人数は限られている筈、って事は寒源の味方は少数派なのか?)
鬼の事情は妖狐にでも、聞いてみよう。
「根の国って、どこにあるんですか?」
まさか地下とか言わないよな?鬼は夜行性だったら、光の魔石で目潰し出来るのに。
「寝の国はエンドから見て東南の方角にある島の事ですよ」
曇天さんが地図を見せてくれた。そこには俺のいた日本には存在しなかった大きな島が書かれていた。
ねって、そっちの寝?鬼なのに丑寅じゃなく辰巳の方角に住んでるの?気候は温暖で住みやすく、いくらでも眠れるから寝の国というそうだ。
「お、鬼の角って何か意味あるんですかね?」
鬼の角って用途が謎なんだよな。武器に使うには、短いし。首への負担も大きいと思う。
「あれで闇の魔力を吸収していると聞きます」
つまり鬼は他の魔物と同じマナを吸収する役割を持っていると。
温暖な島で闇のマナを集める……なんか違和感あるんだけど。
◇
……返せ。俺の鬼に対するイメージを返せ。
妖狐に寝の国に連れて行ってもらったら、そこはまさに南国の楽園。
「妖狐ちゃん、ハッピイにしてる?とりあえず踊ろうぜ」
そこにいたには陽キャな人達……もとい鬼達。赤い肌は赤銅色って事らしい。
果物は豊富だから畑作の必要もなし。その日暮らしで、食っちゃ寝生活が基本らしい。
そして俺の考え通り、寒源についているのは、極一部の好戦的な鬼だけ……。
これならなんとかなる。
今の連載は俺、ヒーローなんだけどが主です 良かったら読んで下さい




