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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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197/200

囮の天才?

 転生してきた時の目標の一つが、ワノ国に行き畳の上で寝る事だった。

 ワノ国最初の夜、俺は板の上で横になっています。

 横になっているけど、眠れません……だって、波の音がうるさいんだもん。

 そう、俺は今甲板で寝ている。波の音がダイレクトで聞こえてくるのだ。

(寝袋を持って来て正解だったな)

 囮役に任命された俺は一人甲板で寝る事になったのだ。そこで活躍したのが、前世でも愛用していた寝袋。

 正式名称、加齢臭の染み込んだ寝袋だ……なぜかオデットさんは寝袋に大量のハーブを詰め込みました。

 そんな臭くないと思うんだけど。

 妖狐来てくんなきゃ、毎晩船で寝なきゃ駄目なんだろうか?


「あれがじょーじか?なんで、甲板で寝ているんだ?」

 話声がしたので、薄目を開けてみたらでかい狐が俺を見下ろしていた。

 その数、三匹。大きさは2m位、尻尾の数は5~6本。多分、あれが妖狐なんだと思う。


「そばかす・地味顔。聞いていた話と合致しているんだが……貴族って、大名みたいな物だろ?殿様が甲板で寝るか?」

 うん。俺、公爵様だよ。たまに自分の境遇が疑わしくなるけど、世界を救った英雄でもあるんだぞ。

 やっている事は、下っ端の兵士と変わらないけどね。


「おりぞんから来た猿人で不細工なのは、じょーじ一人だった。俺達が頼まれたのは、じょーじの始末……こんな好機もうないぞ」

 そう言うと、妖狐達は俺目掛けて飛び掛かってくる。そして、俺の身体に攻撃が当たる寸前、思いっきり吹っ飛ばされた。

 一匹、曲がっちゃいけない方向に首が曲がっていたんだけど。


「しかし、お前の囮効果って凄いよな。毎回、確実に相手を釣るんだからよ」

 笑いながら、俺を見下ろすボルフ先生。囮役に定評がある貴族ってなんでしょうかね?

 寝ているのは、俺一人だけで、皆には船室で待機してもらっていたのだ。


「ジョージ様は、この国に招かれた方です。人間の事は関係ないとかおっしゃるかも知れませんが、キンウロコ様は、ワノ国の竜神様を通じて天狐様にもお声を掛けて下さりました。貴方達は、竜神様と天狐様に逆らうのですね?」

 流石はサンダ先生、事前に打ち合わせしておいただけに、的確に責めてくれる。痛みに呻いていた妖狐も、現状を知って顔を青くしている。


「この船はボーブル領領主であられるジョージ様の船。つまり領地と同じです。この船に攻撃を仕掛けたと言う事は、我が領に戦を仕掛けてと言う事。覚悟は出来ていますね」

 そう言って凄むオデットさん。でも、貴女に蹴られた妖狐は既に半死半生なんですが。

 策の為、殺さないで下さいって言ったけど、絶対に無事ではないと思う。


「あ……あいつ等、九尾組の先輩方が絶対に敵対するなって言っていた三人組だ」

 一匹の妖狐が、ボルフ先生達を見て震えだす。


「あの傭兵制度廃止になった悪鬼の三人?……それじゃ、あそこにいる女が鬼神の悪手屠おでと?」

 傭兵制度、九尾組?……もしかして、イグニス荒野にいたナインテールの事か。

 ボルフ先生達は、一対一でナインテールを倒したからな……そりゃ、噂にもなるか。

(そろそそ来る筈なんだけど)


「お、お前等、何してるんだ!り、竜神様、キンウロコ様、これは何かの間違いでございます。決して狐族の総意ではなく」

 神々しい狐がキンウロコ様と龍に言い訳している。

 なんで、こんな良いタイミングでキンウロコ様達が来てくれたのか?……答えは簡単。ミケを通じてチクっていたのです。


「東の竜よ。不味いぞ。あの船はミケ様がジョージ殿に下賜した物。何よりジョージ殿は。ミケ様と契約なされているのだぞ」

 キンウロコ様の話を聞いて竜が冷や汗を流す。天狐や妖狐に至っては、驚きのあまり、固まっている……もう、一押しだ。


「あー、リヤン様から頂いた鎧に足形がついている!これ、落ちるかな?」

 わざと大声で叫んでみる。案の上、頭上の空気は地獄になっていた。


「り、理梁様の鎧を汚しただと!西の竜よ。それは誠か!」

 竜神様、驚きのあまり噛んでいます。狐さん達に至っては、涙目になっていた。

 ごめん、これに関しては濡れ衣なんだよね。予め、丸く切った紙を鎧に張って置いたのだ。

 寝袋から、顔しか出していなかったから、気付かなかったよね。

 ちなみに寝袋はユリアに渡しました……良い子だから、指で摘まむのはやめましょう。


「誠じゃ。儂の鱗をリヤン様自ら鎧に仕立てたのだからな。付け加えると、ジョージ殿はポーチ様の覚えもあるのだぞ」

 覚えって言うか、復職のアシストした恩人なんだぞ。


「待って下さい。今回、私は我が部下ドンガと凛の結婚祝いで来ています。そんな中、事を荒立てる気はありません……妖狐の皆様にお伺いします。俺を脅す様に命じたのは鬼と寒源様ですね?」

 わざと脅すと言って、妖狐が食いつきやすい様にしておく。


「そ、そうなんですよ。私達は反対したんですが、鬼に脅されて」

 案の定、妖狐は食いついてきた。まあ、格上の竜神様や天狐様が睨んでいるしね。

 言っておく。俺は、虎の威を借る事に関しては狐以上だぞ。


「ですよね。つまり、ドンガと凛の結婚に反対ではないと?」

 俺は妖狐と敵対する気はない。妖狐も俺が憎い訳じゃなく、戦乱を起こしたいだけ。

 それも命あっての話だ。


「も、もちろんです。心の底からお祝いしますし、もう鬼族とは関わりません」

 これで寒源の戦力を削ぐ事が出来た。そして今なら、もう一歩詰める事出来る。


「私からお願いです。今晩の事は皆様の胸に仕舞っておいて下さい。妖狐の皆様にお願いがあるのですが……寒源と鬼が繋がっているって言う噂を流してもらえますか?天狐様は、鬼族から妖狐の皆様を守って頂けますか?」

 必死に頷く妖狐と天狐。下手したら、一族滅亡なんだから、かなり美味しい処遇だと思う。


「じょーじ殿だったな……我が国の者が迷惑を掛けた。詫びとして、何か願いを叶えてやろう」

 竜神様が、威厳たっぷりに話し掛けてきた。だったら、お帰り願えますか?プレッシャーで胃が痛いのです。


「勿体ない御言葉、ありがとうございます。それでしたら、ボーブルの魔石をもらっては頂けませんか?……誰か、魔石詰め合わせを持ってきてくれ。それと我が部下ドンガと凛の結婚を祝って頂けませんか?」

 実質、俺は得していない。でも、良いのだ。変に何かもらったら、お返しが大変だし。

 竜神が祝ったって事実は、ワノ国ではかなりの強みだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 龍の祝福ありとなればどこからも文句は出ませんからね ジョージはこれまでに神様からそんくらいの融通利かせてもらってもいいくらいの功績上げてるしな
[一言] 更新有難うございます(^^) 竜神に祝福された結婚ってそりゃ強いですよね
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