金色の勇士現る?
策士策に溺れる……俺の現状を現すのに、こんなピッタリな言葉はないと思う。
俺の企てたドラゴンを大勢引き連れて登場作戦は、言ってしまえばはったりだ。
初手で強力な力を見せつけて、イニシアチブをとる。
でも、それは向こうが俺達の事を詳しく知らないから通じる事。
今の状況はネタばらしされた漫才師みたいなもんだ。しかも、向こうは、その俺に期待している訳で……はったりどころか、がっかり要因にしかならない。
「ジョージ殿、ワノ国の民が大勢おりますぞ。凄い歓迎ですな」
キンウロコ様の言う通り、眼下には物凄い人数の人が集まっていた。
そしてエアリーディング能力を使わないでも分かる。皆さん、めっちゃ期待しています。
(どうする?鎧をまとわないで登場する……駄目だ。キンウロコ様の面子を潰してしまう……待てよ)
「キンウロコ様、太陽を背にして降りてもらえますか?キンウロコ様の鱗が光を反射して、神々しく見えると思うんですよ」
そうお願いしながら、ゴールドジョージに変身する。ミケ、お前の策を利用させてもらうぜ。
「ほう、ワノ国の民が儂に釘付けになる。竜等の悔しがる顔が目に浮かびますわ」
頼む、上手くいってくれ。俺は期待って言葉が苦手なんだ。
「シャイニングボディ……カラーブラック」
俺のちゃっちい魔力では、鎧の色は変えられない。変わるのは鱗に覆われていない顔面だけ。
「誠に金色の戦士じゃ。しかも、竜と共に現れた。宣託は本当だったのか」
「光を浴びて輝いておられる……顔は見えない?」
逆光を反射して俺の身体は輝いている。しかも顔面は真っ黒。これなら個人を特定できまい。
「兄上、凛戻って参りました。これが拙者の自慢の仲間でござる」
凜が皆を紹介しているうちに、キンウロコ様から降りて素早く後方へ。アカダマさんの後ろで素早く変身を解除。
しれっと仲間に加わる。何しろ俺はこの使節団の代表。後方にいても違和感はない。
「う、噂には聞いておったが、見事な勇士ばかりだな。しかし、こんな大勢の竜と来るとは……」
噂通り、凛の兄貴は小悪党って感じの青年だった。しかも、ドラゴンを見て呆気に取られている。絶対に彼とは気が合うし、上手い酒を飲めると思う。
まあ、凛の兄貴だからイケメンなんだけどね。チンピラ系イケメンって感じです。
「拙者達を運んできてくれたどらごんも、アコーギ騎士団の一員でござる。じょーじ様、兄の風継風太郎ござる」
向こうは一国の後継ぎ、一方の俺はなんちゃって公爵。立場は歴然だ。当たり前だけど。最上級の敬語でいきます。
(凜と同じで俺でも分る日本語なんだな……うん?あいつは……)
俺が風太郎に挨拶しようとしていたら、一人のイケメンが近づいてきた。
風太郎がチンピラ風イケメンとすれば、こいつは正統派爽やかイケメン。
そして、俺はこいつの顔を見た事がある。遠視で見せてもらった鬼と組んでいた男で間違いない。
「初めまして、お目に掛かります。拙者、雪継寒源と申す者。以後、お見知りおき……」
「風継風太郎様、お目に掛かれて光栄至極存じます。私はジョージ・アコーギ、この度はオリゾンの代表としてやって参りました。この様な盛大なお出迎え、感謝に堪えません」
寒源をガン無視して、風太郎に挨拶する。だって、序列は風太郎の方が上なんだし。
あの時、誰も寒源を咎めなかった。多分、良くある事なんだと思う。
そして、人気も実力も寒源の方が上だと思う。
だからと言って、公式の場でマナー違反を犯す様な奴を重視する気はない。
「ああ、可愛い妹が世話になっているので、これ位当然だ。なによりどんが殿は拙者の義弟、きちんと出迎えねば我が国の恥になる」
実際に会って見ると、聞いた話とは違っていたって事はよくある。
凪さんから聞いた話だと、風太郎は嫌な小悪党って感じだった。でも、実際に会って見ると風太郎さんは、現状が見えている為政者だと思う。
◇
ボルフ先生、谷、アイン、ヘゥーボ(眼鏡なし)のイケメン四人組を連れて来て良かった。四人共、寒源に負けず劣らずのイケメンだ。
あの流れだと『不細工が寒源様も無視した』って、ワノ国の女性陣が怒ったと思う。しかし、女性陣は異国から来たイケメンに夢中。
侍はボルフ先生、サンダ先生、ドンガの体格が良い人間を注視している。でも、使節団で一番の実力者はメイドさんなんだぞ。
「み、皆様、長旅お疲れございましょう。近くに旅籠がございます。そちらで旅の疲れを癒して下さい」
何とか面目躍如を図ろうと、会話に乱入してくる寒源君。でも、それって部下ポジのセリフてだぞ。
(って、駕籠かよ。変な所で江戸時代と似ているんだな)
「お気遣いいただきありがとうございます。しかし、我が国は駕籠がございません。乗るのに、不慣れな者ばかりですので、こちらで準備した物を使ってもよろしいでしょうか?」
元日本人だから知っている。駕籠って慣れてないと、尻が痛くなるらしいんだよね。
だからフライングシップをボート状態にして、持ち込んだのだ。私物や贈り物も積んであるから、何人かはフライングシップに寝泊まりすると思う。
「わ、分かりました。何かあった時の為に、侍女を何人かつけさせてもらいます」
(色仕掛けをしようって魂胆か。でも、甘いな)
「お気遣いありがとうございます。でしたら侍女の方々は凪さんの指揮下に入って下さい。同じワノ国の人間ですので、話をもしやすいでしょう」
凪さんは本家でないけど、風継の血を引いている。侍女より立場が上なのだ。
「見知っている顔もありますね。同じワノ国の者として忠告しておきます。決して馬鹿な考えを起こさぬ様に……今回、同行されている女性陣は私以上の実力者ばかりですので」
うちの男性陣は一途だ。色仕掛けには乗らないと思う。でも、忠告は大事なのです。
多分俺が一番ターゲットにされると思うけど、無理だぞ。今回は嫁と母親が同行しているんだ。
何よりオデットさんの目が黒いうちは、馬鹿な事は出来ません。




