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嫌われ者始めました〜転生リーマンの領地運営物語〜  作者: くま太郎


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修学旅行編1

 キミテには大きなイベントがいくつかある。その中でも人気が高いのが修学旅行イベントだ。なぜなら、ここで誰のルートになるかが決定するのだ。

 ちなみに場所はヒロインの好感度で変わる。アニエスやベルは自領で、マリーナ達は属性にちなんだ場所になるのだ。


「そう言えばそろそろ修学旅行の時期なんだけど、まだ行き先が発表されていないんだよね」

 カリナがポツリと呟く。今日は久し振りに登校している……新人公爵はかなりハードなのです。


「まじで?修学旅行って再来月じゃなかったけ?」

 カリナは俺と違い毎日登校している。そのカリナも知らないんだから、まじで決まっていないんだろうか?

 ちなみにゲーム上では、貴族の子弟が多く通う学校だから安全に配慮して秘密にしているっていう設定にしていた……好感度調整の猶予期間ってやつです。


「予定ではね。あな……あんたは修学旅行に行けそうなの?」

 貴方と言い掛けて言い直すカリナ。新婚旅行に行けていないから、修学旅行には一緒に行きたい。

 しかし様々な企画に携わった者からすると、現実感が薄すぎる。今から学年分の生徒を受け入られる観光地なんてあるのだろうか?

(シロー君の好感度でいったら、ベルかヴァネッサだよな。アーシックは受け入れ不可能だろうし、イジワールになるのか)

 次点でマリーナなんだけど、マリーナは日本に転生してしまった。

 アニエスには谷がいるし、凛にはドンガ、ユリアはアインがいる。どう考えてもヒロインルートにはいかない。


「ジョージ・アコーギ君今すぐ校長室に来て下さい」

 予定を調整すればと言おうとしたら、呼び出しをくらってしまった……登校日数がアウトで退学とか言われるんじゃないよね。


「頑張って調整してみるよ……その前に校長室に行ってきます」

 いざとなったら、金と権力で交渉しよう。


 ◇

 おボーブル帰りたい。絶対無茶振りされるに決まっている。

 校長室に行ったら、ホートーがいました。しかも礼服着てやんの。


「ジョージ君……いや、アコーギ公爵にお願いがあります。ボーブルで修学旅行生を受け入れてもらえませんか?」

 ……薄々勘付いていたよ。自領で修学旅行って、つまらな過ぎるだろ!


「お言葉ですが、話が急過ぎて返事をしかねます。なにより泊まれる場所がないんですよ」

 ホテルはあるけど、その期間は各国騎士団の研修が入っていた筈。先週ホートーがいきなり言い出したんだけど、空きがあって助かった。


「安心しろ。前に言った騎士団の研修は嘘だ。あまり早く言うと、お前はあの手この手で妨害するだろ」

 大口の宿泊客で喜んでたら、そんなおちか。既に前金をもらっているから断り辛いぞ。

 でもなんとかしないと、まずい。修学旅行生なんて受け入れたら、確実に俺の仕事が増えてしまう。


「しかし、なぜうちなのですか?ルラキ湖のあるウォーテック領、イグニス荒野のあるイジワール領。どちらも観光地として有名ですよ」

 頑張れ、俺。ボーブルなんて、隅の隅まで把握している。なにより俺の場合、旅行じゃなく視察しごとになってしまう。


「急な話なのは重々承知しております。しかし、学校も魔王軍との戦いの所為で、修学旅行の準備が出来なかったんですよ。中止も考えましたが、楽しみにしている生徒が多くて……」

 そう言うと校長は深い溜め息をついた。哀愁の漂う初老の男性からの嘆願。断わり辛いです。


「なにより生徒や父兄のアンケートでボーブルがトップだったんだよ。それにお前のところは、戦力が過剰だから安全だろ。これが日程表だ」

 ホートーが渡してきた紙には、工業ギルドの見学や多目的商店でのショッピングが書かれていた。

 たしかにボーブルにはドラゴンショーや地曳網体験等、様々な観光地がある。

 全部に金が落ちるのか。お土産屋、作っちゃうかな……いや、はっきり言わないと駄目だ。

(これはまじか!)

 日程表の他にもう一枚紙があったのだ。

 それはなんと俺とカリナをランドルに招待するという内容。これは新婚旅行代わりになる。思いっきりカリナとイチャイチャ出来るじゃないか!


「お受けします。急いで各機関と調整をはかりますね」

 毎年修学旅行生が来たら、かなりの儲けになる。是が非でも成功させないと。


 ◇

 そこからの俺は凄かった。関係部門に素早く指示をだした……までは良かったんだよね。


「お前は馬鹿か!金と旅行に目が眩んで、仕事を増やしやがって」

 ボルフ先生は俺が公爵になった時に、ボーブルの防衛大臣になってもらった。防衛大臣さん、激おこです。

 高校に通っているのは、貴族や大商人の子弟が多い。当然、厳重な警備が必要となる。

 イコール、防衛大臣のお仕事が増えるのです。


「良いじゃないですか!仕事々々で、夫婦らしい事なにも出来ていないんですよ!俺はカリナとイチャイチャしたいんです!」

 これが俺の一番の本音だ。公爵様は。癒しが欲しいんです。


「イチャイチャだ!?お前、例の約束忘れたんじゃないだろうな?」

 約束、それはカリナが高校を卒業するまで、子供を作らないって事。カリナは獣人で庶民の出だ。社交界で肩身が狭い思いをしない為には、高卒は必須条件らしい。


「忘れてませんよ!…結婚したのに、未だに手が恋人なんですよ」

 まだキスから先に進めていないんだぞ。生殺し過ぎる。


「ランドルか。女房も行きたがっていたな……お前とお妃様(かりなさま)が行くんなら、当然護衛が必要だ。分かるよな、ジョージ」

 あのカリナは様付けで、当主は呼び捨てなんですか?せっかく夫婦水入らずの時間を楽しめると思ったのに。


「分かりました。その際は護衛をお願いします」

 ランドルに行ったら防衛大臣同士の懇談会をぶちこんでやる。


 ◇

 おじさん、泣いても許されると思うの。俺の執務室にはユリアと凛が突撃してきたのだ。


「ずるいっす。自分もアインとランドルに行きたいっす」

 外国への旅行となると、情報機関の協力は不可欠だ。当然、ユリアの耳に入るよね。


「ドンガは将来騎士団の隊長となる身でござる。今から外国の騎士団と交流を持つ事が必要だと思うのでござるよ」

 凛ちゃん、目が据わっているでござるよ……結果、さらに四名追加となりました。


当初は修学旅行でマリーナのジョージへの見方が変わる予定でした。

それと新作邪神騎士?絶対に人違いですを連載しています。良かったら見て下さい

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― 新着の感想 ―
[一言] 修学旅行、一大イベントですね。 その前にゲーム本編が終わるとは、ジョージも思ってもいなかったでしょうがw たまにはゆっくりしてほしくもあります。 そうじゃないと心が病みそうですからw
[良い点] お久しぶりです。 ジョージも素直に欲望を口に出せるようになったようでなによりです。 [気になる点] まだ増えそうな気がしなくもなく。 それと防衛大臣殿。どのみち断れなかったと思いますよ…
[良い点] お久しぶりです。 ときどき読み返してます。
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