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14 四使相応、その東

「――わかりやすい方」


 ガラスの向こうに目をむけ、東香月はつぶやいた。


「なにか?」


 運転手兼警護役である木暮こぐれが不審げにたずねてくる。

 それにこたえず、校舎へ向かう少女の姿に目をとどめる。


――われらが守るは血が定め。


 遠い背中に語りかける。

 遠い過去にむすんだ宿縁しゅくえんに縛られ、その代償としての富。名声。地位の約束。

 知るものである我らは定めと受けいれよう。

 知らぬものである彼女は、理不尽な搾取さくしゅになにをおもうのか。


 憤り。

 嘆き。

 無関心。


 いかにせよ、たどりつく先は透徹とうてつ

 あきらめ、と言いかえてもよい。

 ままなるようでいて、ままならぬ身。


 えにしの糸は、もがけばもがくほど身にからみ、ときへた年月を吸って重く、限られた生を縛りつける。

 あがいたあげく、(あの子)のように散ってしまう。


 それならば――

 なにも望まぬが道理。

 ながされるまま、水のながれにたゆとうままに――


 少女が校舎へと消えるまで見おくった彼女は、いつもとかわらぬ口調で命じる。


「出して」

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