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第八話

 王宮の中庭、庭師によって丁寧に切りそろえられた草花を視界に収めながら、俺は宰相ちゃんとのお話に興じている。


「そっかぁ、宰相ちゃんもいろいろと苦労してるんだね……」

「毎日いたずら、されてます」


 結論から言うと。宰相ちゃんは俺の期待を裏切ったのだ。

 嬉しい事に良い意味で、だ。

 つまり、本当は何か隠された問題点があるのではないかという俺の危惧がまったくの杞憂であり、宰相ちゃんは完全無欠の良い子であるという事がお話をする過程で判明したのだ。

 ああ、今俺はかつて無い幸せを感じている。

 宰相ちゃんとずっと一緒にいたい。 そうして、ボケも突っ込みも、悪意もネタ振りも無い、ただただ普通の話を延々続けたい。

 しかしながら宰相ちゃんはその天使っぷりから、アホと言う単語が服を着て歩いている存在、大臣共から嫌がらせを受けているのだ。

 俺はその事に心底悲しみを感じながら、なんとか彼女が穏やかに日々を過ごせる方法はないかと模索する。


「ねぇ、大臣達に仕返しとかしないの? 姫なんてこの前笑いながらじぃやのオヤツに唐辛子を仕込んでいたよ?」


 あの時のじぃやは楽しかった。

 姫はアホの子なので基本的に手加減と言うものを知らない。あまりの辛さに尻尾を踏みつけられた猫の様に叫び慌てるじぃやに俺も笑いが絶えなかったのだが……。

 宰相ちゃんは違うらしい。


「いたずらは良くない、です」

「そっか、宰相ちゃんは優しい子なんだね」


 ああ、浄化される。

 生きててよかった。

 宰相ちゃん。君はいつまでも宰相ちゃんのままで居てくれ……。

 不思議そうに首を傾げる宰相ちゃんに優しく答える。


「なんだか初めて普通の感性を持った人に会ったから感動したよ。宰相ちゃんに会えてよかった」

「宰相ちゃんも勇者様に出会えて良かった、です」

「ねぇ、宰相ちゃん? また時間があったらこうやってお喋りしようよ? あと何か困った事があったら何でも言ってね。俺に出来る事はあんまり多くないかもしれないけど、それでも大臣や姫に注意する事位はできるからさ」

「はい、です」


 宰相ちゃんと友達になった。

 この日から、俺は宰相ちゃんの味方になろう。何があっても彼女を守ると誓おう。

 そしていつの日か、いつの日かあのアホの大臣共が吠え面をかく様を宰相ちゃんと一緒に大声で笑ってやろう。

 今日はその第一歩だ。輝かしき未来への始まりの時だ。

 俺は言い知れぬ多幸感を感じながら、善は急げと大臣達に文句を言いに行くことにする。


「じゃあ早速大臣と姫に注意しようか! 宰相ちゃんを困らせるなーって!」

「はい、です」


 自然と差し出した手、宰相ちゃんは小さな手で俺の手をしっかりと握りしめてくれる。

 なんだかこうしていると妹が小さかった時の事を思い出す。

 今でこそお転婆に育ってしまったが、アイツも昔はこうやって素直な時があったんだなぁ……。

 ……皆どうしてるかなぁ?

 過ぎ去った過去を思い出しながら、ゆっくりと宰相ちゃんと歩む。

 そして、ふとまだ重要な事を宰相ちゃんから教えてもらっていない事に気づいた。


「あっ! そういえばすっかり忘れてた!」


 コテンと首を傾げる宰相ちゃんに向き直る。


「今更だけど。宰相ちゃんの名前は何て言うの?」

「……宰相、言います」


 それは聞いたよ宰相ちゃん。


「いや、それは聞いたよ。俺が聞きたいのは宰相ちゃんの名前」

「……サイショーが名前です」

「は?」


 えっと、宰相ちゃんは本当の名前もサイショーって事?

 思わず零れた情けない声を察したのか、宰相ちゃんは続けて説明をしてくれる。


「本当の名前、ありました。でも『サイショーちゃんは宰相』というネタの為。気がついたら戸籍、書き換えられていました」

「…………」


 あまりの仕打ちに声が出ない。

 アホだアホだと思っていたが、ここまでとは思っていなかった。

 ネタの為だけに名前を変えるなんて、流石に冗談では済まされないことだ。


「……ひでぇ」


 俺はあまりに悲劇的なその心境に、思わず目眩を感じながらも、この心優しき少女の声に出ない叫びを聞き止める。


「だから、サイショーです」


 宰相ちゃんは、そう悲しげに答えた。


「さ、宰相ちゃんはそんな下らない事の為に名前変えられたの!?」


 コクコクと頷く宰相ちゃん。その愛らしいお耳は垂れ下がっており、彼女が悲しみの最中に居ることがありありとわかる。


「そ、それでいいの!? 名前が変わっちゃったんだよ! 本当の名前で呼ばれないんだよ!?」

「サイショー、で構わないです」


 ……いや、構わない筈がない。

 本当にそうなら、宰相ちゃんはここまで悲しい表情を見せる事は無いはずだ。

 「いつもいじめられている」……今では、宰相ちゃんが言ったその言葉がまったく違う意味を持って感じ取れる。


「流石に見過ごせない……」

「……?」


 宰相ちゃんは不思議そうな顔をしている。

 安心してくれ宰相ちゃん。君の敵は俺が取ってみせる。

 そして、必ず君の笑顔を取り戻してみせる!!


「オイ! そこで聞いてるんだろ! 出てこい! 今すぐだ!!」


 全力で上げる声。

 自分でもここまで大きな声が出るのかと驚く程だ。

 ……ややあって少し遠くから何やらガサガサと動く気配を感じる。


「早くしろ!!」


 俺はその方向に顔を向けると、溢れる怒りを隠しもせず再度声を荒げる。

 現れた彼らは、一切の反省が感じられなかった。

 いつもの様にふざけた様子で、いつもの様に自らの行いに反省等感じていない様子であった。


「カタリ様ー! お会いしとうございました!」

「なんだよダサ坊、命令するんじゃねぇよ」

「小さい子と一緒にいると犯罪臭が半端ないですな」

「完全に性的な視線で宰相ちゃん殿を見ておりますね」


 こちらに向けて飛び込まんばかりの勢いでやって来るティア。

 彼女に掌を向け、拒絶の反応を示す。

 普段ならなんらかの反応を見せてやる大臣達の言葉も無視する。

 今はそれどころではない、俺は聞かなければいけないことがあるのだ。

 そして、彼らに向け宰相ちゃんに行った暴挙について怒りの込めて問う。


「そんな話がしたいんじゃねぇよ! お前らどういうつもりだ!!」

「え? カタリ様。何を怒っているのですか!?」


 ティアはまったく分かっていない様子だ。

 その言葉に俺は落胆する。

 アホの子でいつも突拍子を無い事をする子だが、一線を超えないだけの分別はあると思っていた。

 だが、その思いはどうやら俺の勘違いだったようだ。

 ギリッ、と歯が鳴る音が聞こえた。

 知らずに力が入る。俺はその行き場の無い怒りを吐き散らすように、ティアに詰問する。


「宰相ちゃんの名前だ! ネタの為だけに人の名前を変えやがって! 本人が大人しいからってやっていい事の区別も付かないのか!?」

「えー、でも。宰相ちゃんも良いと言っておりますし……」

「ふざけるな!」

「ひゃぁっ!」


 ティアが驚きの声を上げ、少しばかりシュンとなる。

 ここに来てようやく俺が真剣に怒っている事を理解したらしい。

 これだけ言ってやっと理解できるのか……。

 俺は怒りの中に生まれた悲しみを感じながら、この問題の原因となる人物を探す。


「誰だ? こんな酷いことをした奴は!」


 静かな中庭に響き渡る俺の怒鳴り声。

 ティアと大臣達は一瞬互いに目配せしたかと思うと……。


「「「じぃやです!!」」」

「えっ! 儂!?」


 適当な人物に罪をなすりつけやがった。


「じぃや! 謝罪しなさい!」

「し、知りませんぞ!」

「明らかにスケープゴートにしただろうが! 平然と罪をなすりつけてるんじゃねぇよ!」


 ここに至ってもこの有り様だ。コイツラは自分の保身と快楽にしか興味がないのだ。

 俺は自らの欲望の為であれば平然と嘘をつき他人を陥れるコイツラの性根に強い苛立ちを覚える。


「そうですぞ皆様! 儂がやったのは戸籍を不正に書き換える事のみ! 他は皆様が主導した事ではありませぬかっ!!」

「てめぇも片棒担いでるんじゃねぇか!!」


 このアホも漏れずに原因だった。俺は喉が枯れんばかりに突っ込みを入れる。

 もう全員なのだ。この場には加害者しか居ないのだ。

 唯一の被害者、宰相ちゃんを除いて全てが加害者でありアホなのだ。

 俺は怒りに任せて更に怒鳴り散らそうと思うが、それを宥める様にティアが控えめに声をかけてくる。


「落ち着いて下さいカタリ様。恐らく狡猾な彼らの事、いくら追求しても尻尾を出す事は無いでしょう。それよりもこの件をどうするかが大切かと愚考いたします」

「む、うーん……」


 その言葉に少しだけ冷静になる。

 確かに俺も大人げ無かったかもしれない。辺り構わず怒鳴り散らすのは正しい行いではなかった。

 宰相ちゃんの教育にも悪いなと反省しつつ、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


「ってか姫もノリノリだったよな、あの時」

「確か言い出しっぺは姫だった筈……」

「相変わらず上手に演技しますなぁ」


 ティアを見つめる――視線を逸らされた。

 そのまま無言で非難の眼差しを向ける俺に何を感じたのか、彼女は一転真剣な表情でこちらを見据え大声で。


「過去に目を向けても、そこには停滞しかありません! 皆さん、どうか前を向いて歩んで下さい!!」


 弁明の言葉を叫ぶ。


「結局全員関係してるんじゃねぇか…‥」


 呆れて言葉が出ない。もう本当、手遅れだ。

 俺は深い溜息をつくと、取り敢えず宰相ちゃんの名誉だけは回復せねばと考えを巡らせる。

 すると、先ほどまで静かに事の成り行きを見守っていた被害者である宰相ちゃんが、控えめに俺の袖を引っ張ってくる。


「あの、あの」

「どうしたの宰相ちゃん」

「だ、大丈夫、です。だから……」


 そこには菩薩がいた……。

 この汚れきった世界に不幸にも舞い降りてしまった穢れ無き子、宰相ちゃんだ。

 俺はこんな時でも自分の事を顧みず事態を収めようとする彼女の献身性に感動する。

 だがダメなのだ宰相ちゃん。このままでは君が辛い目に合うだけなんだよ。

 俺は困った顔でオロオロとする彼女に向き直ると、視線を合わせるように屈み込み優しく語りかける。


「安心して、俺は宰相ちゃんの味方だから。もういじめられる事の無い様に言ってあげるから」


 そして不安そうに表情を曇らせる彼女を安心させる様に、その柔らかな髪をそっと撫でやる。

 あまりスキンシップはどうかなと思ったけど、宰相ちゃんもその表情を和らげ、気持ちよさそうに目を細めている事から自分の対応が間違いでは無かったと安心する。

 どうにも宰相ちゃんは守って上げたくなるオーラを出しまくっているんだよなぁ……。


「あー! いいなー!」


 宰相ちゃんの頭をナデナデして上げている事に羨ましさを感じたのか、ティアは途端にぶーたれている。


「幼児性愛者……」

「ガチだ……」

「ホモでロリコン?」


「うっさい! 黙れ! こんな小さな子を寄ってたかっていじめやがって!」


 大臣達の煽りを適当に流し、文句を言う。。

 コイツラはいつもこうなのだ、基本的に話を聞くことすら無駄だ。そして今は己の意見を押し通す事こそが重要なのだ。


「結局。カタリ様は宰相ちゃんをどうしたいのですか? (たぎ)る獣欲を年端もいかぬ幼い肢体(したい)に思い切りぶつけたいのですか?」


 ティアがどこかウキウキとした表情で尋ねてくる。

 どうやらこのアホの子は俺を完全にロリコンにしたいらしい。

 無邪気に尋ねられる質問にこれでもかと含まれる悪意がその証拠だ。

 大臣達もその言葉に乗っかり騒ぎ出す。


「ひくわー……」

「宰相ちゃん殿っていくつだっけ?」

「先月12歳のお誕生日会をしたではありませんか」

「完全にロリコンじゃねぇか!」


「……宰相ちゃんの名前を元に戻せ」


 最後通告。自らの意見を伝える。

 もうコイツラの下らない話に付き合うつもりは無い。

 今重要なのは宰相ちゃんの名前を元に戻すことだ、それ以外は何もない。


「っ! い、いいんです!」

「大丈夫、安心して宰相ちゃん。君は俺が守ってみせるから」


 またいじめられるとでも思っているのだろうか?

 慌てて俺の袖を引っ張りながら首を左右にふる宰相ちゃん。

 安心して宰相ちゃん。君がもう二度とイジメられないよう、俺がキツく言ってあげるからね。


「むぅ……。折角可愛い名前にしたのに……(いん)も踏んでて面白いのに」

「サイショーのどこが可愛いんだよ! しかも全然面白くないだろ!」


 サイショーと言う名前が可愛いとはこのアホの子が持つ美的感覚はどの様になっているのだろうか?

 俺は真剣にブーたれる姫をキツく睨むと、宰相ちゃんの悲しみを代弁するかの様に責める。


「仕方ありませんなー」

「まぁ、何が起こっても勇者殿が責任を取るでしょう」

「ロリコンにロリの責任を取らせたらどうなるか分かりませんがな!」


「俺は譲らないぞ、いい加減お前らのアホさ加減には飽き飽きだ!」


 煽る大臣共を無視する。

 こいつらの話に付き合っていてはいつまで経っても話が進まない。

 俺は宰相ちゃんの名前を元に戻す必要があるのだ。


「分かりました、私達も少し調子に乗っていたようですね」


 そんな俺の思いが伝わったのだろうか?

 ティアは先程とは打って変わって真面目な表情を見せると、己の過ちを反省してくれる。

 そして、遂に彼女の口から俺達の勝利を示す言葉が放たれた。


「フローレシア王国、継承代表者 ティアエリア・アンサ・フローレシアの名に置いて。只今より宰相ちゃんの名前を元に戻すことを宣言します」


「よかったな宰相ちゃん! これで名前が元通り――あれ?」


 喜び宰相ちゃんに向き直る俺。

 だがしかし、とうの宰相ちゃんはとても悲しげな表情を見せており。もたらされた勝利が望んでいないと言った表情であった。


「宰相ちゃん。貴方がこれほどまで苦しんでいたとは思いもしませんでした。どうかお許しを、今後は決して貴方を名前を疎かにする様な行いはしないと誓いましょう」

「あっ。あっ……」


 ティアの言葉に何かを返そうとするが声に出ない様子。

 俺がここにきて初めて嫌な予感を感じ取る。

 そう、このアホ共は俺の一手も二手も上を行くアホなのだ。

 もしかしたらとんでも無い爆弾を用意しているかもしれない。


「いえ、もう宰相ちゃんとは呼んではいけませんね……。本当に申し訳ございませんでした――」


 そして、姫の口よりその言葉がもたらされた。


「――デモニアさん」

「ああぅ……」


 デモニア……。

 うーん、聞く分には何かあるとは思えないのだが、まぁ女の子の名前としては固い気がするんだけど。

 ……いやまてよ。デモニア、デモニア、デーモニア、デーモニ……デーモン。

 まさか!?


「いやぁ、デモニア殿には悪いことをしましたな!」

「本当、デモニア殿には謝罪してもしたりませんぞ!」

「しかし、これからはちゃんと宰相殿の事をデモニア殿と呼ばねば成りませんなぁ!」

「改めて宜しくお願いいたしますぞ、デモニア・ラグ・シェルテル殿!」


「よ、宜しく…………です」

「以上、解散!!」

「オイ待て。ちょっと待て。待て! 走るな! 聞きたいことがある!」

「「「えーー!!」」」


 宰相ちゃんが気弱な事を良いことにさっさと撤収しようとするティア一同。

 俺は間髪入れず彼女達を呼び止めると、宰相ちゃんが何故これほどまでに落ち込んでいるかを質問する。


「嫌な予感がするけど、その……デモニアって名前はどういう意味だ?」


 控えめに聞いた俺に対し、ティアは少し考える素振りを見せたかと思うと、晴れやかな笑顔を見せてあっけらかんと答える。


「フローレシアの言葉で『悪魔ちゃん』って意味です!!」

「子供につける名前じゃねぇだろうが!!」


 とんでもねぇ奴らじゃねぇか!

 一昔前の命名騒動じゃねぇんだぞ!

 俺はノリと勢いで我が子にとんでも無い名前をつけるその国民性にドン引きする。

 ってかなんで自らの娘に悪魔ちゃんとかつけちゃうアホな親から宰相ちゃんみたいな天使が生まれたのだろうか?

 謎は尽きない。むしろ宰相ちゃんが悪魔だったらお前らは何なんだ? 大魔王か邪神じゃねぇか。

 俺は呆れ果てながらティアに語りかける。


「……ティア」

「何でしょうか!?」


 不思議そうに首を傾げるティア。

 俺は彼女が機嫌を崩してしまわないよう、努めて平静に、そして穏やかに語りかける。


「……やっぱりさっきの話は無しにしてくれない?」

「嫌です! カタリ様は宰相ちゃんにばっかり優しくしてずるいです!!」


 だが無理だった。

 ティアさんはご立腹らしい。愛らしい頬をぷくーっと膨らませながら腕をブンブン振り回して怒りを露わにしている。

 こうなったらもう無理だ、ティアさん激おこモードだ。しばらくはこれが続き話も聞いてくれない。

 俺は取り返しの付かない事をしてしまった事にようやく気づくと、膝から崩れ落ちる。


「くそっ! なんでこうなった? 俺が悪いのか!? お前らのアホさ加減に気が付かなかった俺が悪いのか!?」

「ああぅ…………サイショーが良かった、です」


 悲しげに呟く宰相ちゃん。俺の心が万力で締めつけられた様に痛む。

 取り敢えず謝る。どんな言葉を持ってしても償えないかもしれないが、誠心誠意込めて宰相ちゃんに謝罪する。


「宰相ちゃん、ごめん。マジでごめん」

「大丈夫、です。勇者様、悪くない、です」


「責任取れよー」

「全部勇者殿が悪うございますな!」

「格好つけた挙句空回りとかダサい男ですな本当!」


 ああ、やっぱり宰相ちゃんは天使だ。

 誰だ悪魔なんて名前をつけるアホは……。

 気丈に振る舞う宰相ちゃん、そんな彼女にに情けない表情を見せながら、俺は謝罪を続けるのであった。

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