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第二十四話(中)

 王宮へと戻る馬車の中、まるで沈み込むような柔らかさをもつ座席に身体を預ける。

 王族専用の為か、広くゆったりと作られ随所に美しい意匠が施されている室内に少々居心地の悪さを感じる。

 目の前にはティア、そして歩くのが面倒だとごねたじぃやが座っている。

 フローレシアのおおらかな風土で育った馬は、これこそがフローレシアの国風であるといわんばかりにだらだらと歩みを進めていた。

 なかなか変わらない景色、だが特別用事の無い俺達はそれすらも楽しみながら先ほど相棒によって伝えられたカタリ像の材質について話をしている。


「タングステンですか……」

「だってさー、知ってる?」

『知ってる?』


 相棒が告げたその言葉をそのままティアに告げる。

 タングステン。何か聞いたことのある金属名だが、実際それがどのようなものであるかは俺もよく知らない。

 あの後相棒に詳しく説明を求めた俺だが、どうにもあまり説明をしたくないらしい相棒はその答えをはぐらかすばかりで俺が求めるような答えを返してはくれなかった。

 ガタンと馬車が小石を跳ね上げ揺れる。

 その振動を合図に俯きながら何かを思案していた様子のティアは、その美しい表情に翳りを見せ困惑を隠さずじぃやに視線を向ける。


「私がそんな事知るわけないじゃないですか……じぃや?」

「ほっほっほ。じぃやも知りませんな。初めて聞く素材ですぞ」


 ティアと同様、じぃやもその金属について何も知らなかったようだ。

 長く伸びきった髭をゆっくりと撫でながら虚空を見つめ静かに答える。

 つまり、この場ではその答えについて知る人間はいなくなったと判断できた。


「カタリ様、タングステンとはどの様な材質でしょうか?」

「いや、俺に聞かれても知らないよ? だって相棒が勝手にやったんだし」


 しびれを切らしたであろうティアが咎める様に尋ねてくる。

 どうやら、いい加減答えを教えろって事らしい。

 だが、俺はそれに答えるすべを持ち合わせていない。

 相棒が答える気がないのであれば俺にそれを知る方法は残されていないし、そもそも俺にとってそこまで興味が沸き立つ事柄でもない。

 だが、ティアにとってはそれは全く違う話らしい。


「むぅ! またそれだー! 相棒なんて無いんですよ! 全てはかわいそうなカタリ様が作り出した脳内お友達なんですよ!?」

「これこれ、姫様。あまり勇者殿に本当の事を突きつけてはいけませんぞ? ここは相手の話を一旦聞きつつも、ゆっくりとその間違いを指摘してやるのが正しい方法ですじゃ」

「違ぇよ! 本当に相棒が作ったんだよ! 相棒はちゃんといるんだよ!」

『いるんだよー!』


 明らかに信じていない様子の二人に俺もイライラしてくる。

 わりとどんなことでも受け入れる度量がある二人だが、なぜ頑なにここまで俺の発言を否定するのかが理解できなかった。

 本当なら証拠を突きつけて二人の鼻を明かしたい所だが、どうやった所で俺が二人に嘘をついていると判断されて終わってしまいそうなところが悔しい。


「ほっほっほ。可哀想に……」

「おいたわしやカタリ様」

「憐れむんじゃねぇよ! とにかくいるの! 証明はできないけど、俺の能力は人格を持っているの!」


 根気よく説明する。むしろ今の俺には説明しかできる事は無い。

 胡散臭げにこちらを見る二人に一生懸命説明するが、どうにも話が進展する様子はなかった。


「まったく。最近なんだか一人で誰かと話してると思ったら正体はその能力――相棒さんだったのですね! ストレスで頭がおかしくなったのかと心配していたのですよ!」

「なんでこっそり監視してるんだよ。プライバシーの侵害だろ?」

「監視される方が悪いというのがフローレシアでの基本的考えです!」

「捻くれた考えだなオイ!」


 監視するこっちの身にもなって欲しい。そう言いたげな表情でこちらに言葉を返すティアにイラッとする。

 だが、それ以上に「まぁフローレシアだしそうだよね」と納得してしまう自分に苛立つ。

 俺はもう完全にフローレシアのふざけた空気に汚染されきってしまった様だ。


「とにかく、その……友達なら私や皆がいますから。私ももっとカタリ様に優しくする様に努めますから。えっと……一緒に治していきましょうね?」

「頭おかしいみたいな言い方するんじゃねぇよ! 俺は正気だよ! 本当にいるんだって!」

「大丈夫、皆カタリ様の味方ですよ……」


 ……埒が明かない。

 どうやら、ティアの中ではフローレシアの空気に馴染めず脳内妄想を楽しむかわいそうな子で決定しているらしい。

 仕方ない。彼女の説得は諦めよう。

 そもそもだ。相棒が身勝手な振る舞いをしなければこんな問題も発生しなかった。

 彼女には能力のサポートという形でいろいろとお世話になっているが、俺の能力なんだしあまり困らせる様な事はして欲しくない。

 とすれば、次に攻略を挑戦すべきはこの我儘ちゃんだ。


 そういうわけで相棒! 聞いていたと思うけどなんか理不尽に俺が痛い子扱いされるからこういうのマジでやめてくれないか!?


『やだー!』

「うぉぉぉいい! 我儘言うんじゃないよ! 俺と相棒の仲だろ!?」


 思わず叫んでしまう。

 俺の周りには我儘ちゃんだけだ。まったく話を聞くつもりがない。なんだかふてくされながらじたばた暴れる小さな女の子すら幻視できる。

 ああ、聞き分けのいい女の子が恋しい。具体的には宰相ちゃんとか……あ、でもあの子も最近ちょっと我儘になってきたな。


「……これがエア友達! なんということですか、私達がカタリ様をしっかりと見ていなかったから」

「ほっほっほ……」


 対面の座席で大げさに悲しみの表情を見せるティアはこの際無視する。

 もういい、頭のおかしい子認定は甘んじて受け入れよう。

 しかし、そうする事によって見えてくる事もあった。最低でもカタリ像だけはどうにかする必要がある。

 その撤去は相棒がなみなみならぬ執着を見せている事から不可能だとしても、なにか方法はあるはずだ。

 俺は一縷の望みをかけて心の中でいまだジタバタと暴れる相棒へと語りかける。


「なんとかしてくれよ、せめて俺の像はやめてくれよ! 精神的にもキツイよ!」

『カタリは我儘ー!!』

「我儘は相棒だよ!」

『むー!』


 しぶしぶと言った気持ちが伝わってくる。

 その瞬間。俺の魔力がごっそりと持っていかれる。

 不意の魔力消失に少々目眩を感じながら軽く頭を振っていると、驚き顔のティアと目が合う。


「あれ……?」

「ほっほっほ――ふむ? 馬車を止めよ!」


 困惑が馬車の中に広がる。

 俺が不意の魔力消失に戸惑いその原因を考えていると、じぃやとティアが難しい顔で窓の外……王都の街並みの一点を見つめている事に気がついた。


「ん? どうしたの?」

「……カタリ様。また何かしましたか?」


 振り返り静かに告げるティア。

 その鋭い言葉には、先ほどの様なふざけた雰囲気はどこにもなかった。


………

……


 馬車から降り立った場所は貴族街の一角だ。

 俺が道の拡張工事を行い、大量のカタリ像が設置された場所でもある。

 普段ならまがりなりにも貴族が住まう土地柄、静寂と平穏が保たれる場所ではあるが今や騒然とした雰囲気に包まれている。


 先行していた大臣団が一番近くにあるカタリ像に集まり何やら話こんでいる。

 俺を模したタングステン製のカタリ像。

 代わりにそこにあったのは、更に一回り巨大になった悪魔の像であった。


「悪魔……ですかな?」

「その様な造形ですな。はて、初めて見る意匠ですな」

「おや、フィレモア伯爵もご存知ないのですかな? 珍しい」


 不思議そうに像を観察する大臣団。同じような像がカタリ像の代わりに道に整然と並べられている。

 まるでゲームに出てくる闇の街だ。

 付近に住む貴族の子女も気になるのだろうか、慌てて追いすがる家来を引きずりながらまるで野次馬の様に集まってきている。

 だが、その様な一般の悪ガキ共と大して変わらない彼らも、ティアを視界に収めた途端ぎょっとしながら丁寧な礼を行いそそくさと屋敷に戻ってしまう。


「…………」


 ティアは何も語らない。

 周りの事など一切興味無いと言った様子でカタリ像の代わりに出来上がった悪魔像に手を這わせている。

 静かに目を瞑りながら何やら真剣な表情で考えこむ素振りをみせていた彼女であったが、やがて顔を上げてまっすぐ俺を見つめ質問を投げかける。


「カタリ様。さっきの言葉は本当でしょうか?」

「え? 相棒がいるって事? 本当だよ、今もカタリ像は恥ずかしいって言ったらなんとか別の物にしてくれたみたい」

「カタリ様が無駄に設置したカタリ像は相当な数があります。それを全部ですか?」

「全部だよ、流石にいきなり魔力がごっそり減って焦ったよ」


 戸惑いながらも答える。

 何が彼女をそこまで真剣にさせるかは分からなかったが、俺だって嘘を言っているわけではないのだ。それだけは信じてほしいと思う。

 同じく真剣な――自分ではそうだと思う表情で彼女を見つめ返す俺だが、ティアは何が気に入らなかったのか一瞬だけぷくーっと頬を膨らませるとプイッと顔を背けてしまう。


「じぃや」

「ほっほっほ。承りましたぞ、姫様」


 阿吽の呼吸というのだろうか? それとも理想的な主従?

 じぃやはティアの声をかけられただけでその意図を理解したらしく、スッと手のひらを空に掲げる。

 掲げた手のひらに淡い光が集る。やがてそれは拳大の球体になったかと思うと一瞬にして弾け、同時に膜のようなものが王都に広がっていった。

 ……探査系の魔法かな?


「ほっほっほ、間違いございませんな」


 沈黙が支配し、たっぷりと数分はたった頃にじぃやによって破られる。

 いつの間にか、静かにその様子を見守っていた大臣団が少々慌てた様子でなにやらこそこそと話し合いを始めた。


 ティアの表情が一層険しくなる。だがそれはどこか不安げに見えるものだった。

 俺がどうしようかとかける言葉を選んでいると、その前にティアがポツリと言葉を漏らす。その相手は変わらず穏やかな表情で髭を撫でるじぃやだ。


「……能力が人格を持つと言うのは?」

「ほっほっほ。姫様……能力の発動時に勇者殿から意思の揺らぎを感じませんでした。勇者殿の言ってる事は本当ですぞ?」

「…………ありえない」

「ほ! また外道公に小言を食らいますぞ?」


「えっと、どういう事? 相棒の事信じてくれたんじゃないの?」


 表情からは困惑が隠せないものの、ティアは俺の言っていた事をある程度理解してくれた様に思えた。

 事実、先ほどの様に俺をからかう雰囲気は無い。

 だが、代わって強い困惑が彼女からは見て取れた。俺の告げた言葉がそれほどおかしかったのだろうか?

 正直まだまだこの世界の常識には疎い俺だ、特に魔法関係に関して言えば素人どころか何も知らない赤子と言ってもおかしくはない。

 その事が何か致命的な勘違いを犯しているかもしれない。


「ダサ坊よ。能力が意思を持つ事など普通はありえないのですぞ」

「そうじゃ。魔法や固有能力とはあくまで使い手が成す事象。それそのものが意思を持つ等今までにも例が無い」

「例外としては能力の暴走による意図せぬ発動――だが、勇者殿の場合はそれも違うみたいですな」


 俺の不安を読み取ったのだろう、いつもなら我先にとからかってくる大臣団が珍しく真剣な表情で俺の疑問に答えてくれる。

「そもそも、国中に広がるほどの遠距離から自らが一度作り上げた物を一斉に操作する魔法など聞いた事もない」

 最後に告げられたその言葉がやけに心に残った。

 今この場を支配しているのは強烈な戸惑いだ。

 つまり、誰しもが予想しなかった謎がここに来て持ち上がってきている。

 俺の能力は一体何なのか? その答えは他でもない、俺が相棒と呼ぶ存在だけが知っているのだろう。

 本当、なんだろうな。


『秘密!!』


 秘密らしい。

 相変わらず答えてくれる気の無い相棒。悪い奴じゃあ無いとは思うんだけどなぁ。秘密主義には困ったものだ。


『女の子には謎が多い!』


 ……さいですか。

 何故かプンスカと怒られてしまう俺。きっと女の子の秘密を知ろうとする態度が彼女の機嫌を損ねたのだろう。

 どちらにしろ、彼女の事は信用しているのでいつか話してくれる事を待つことしかできない。

 勇者と言えども怒れる女の子には勝てないらしい。俺は何度目かになる相棒への事情聴取を諦めると、この話を終わりにするべくティアに説明する。


「まぁいろいろ謎は深まるばかりだけど……でも相棒も悪いやつじゃないし、問題ないと思うよ?」

「むー。とりあえず言いたいことは沢山ありますが、今はカタリ様の言うことを信じます。あとこの悪魔像を一体貰ってもいいでしょうか? 分析してみたいので」


 俺の顔をじぃっと見つめながら、探る様に尋ねてくるティア。

 分析か……ちらりと像を見上げる。

 陽光を浴びて鈍く光るそれは醜悪な意匠も相まって不気味だが、その正体が少しでも分かるのなら願ったりかなったりだ。

 だけど……かまわない? 相棒?


『沢山作るから好きなだけ持って行ってー!』


 好きなだけ持って行っていいのか……。

 別に分析されるのは問題ない、と。特に意味のない物なのか?

 いや、そんな風には思えないんだけど。

 とにかく相棒の許可もでている事だ、彼女の機嫌が変わらない内にティアに分析を頼むとしよう。


「沢山作るから好きなだけ持って行ってもいいんだって」

「沢山作らないでください! 景観がおかしい事になっているんですよ!」


 何故か怒られる俺。

 まぁ確かに気持ちは分かる。こんな物が町中にぽんぽんあってはたまったものじゃない。

 人の口に戸は立てられなぬ、とはよく言ったものだ。

 ゴシップと人の不幸が人生における最良のスパイスなフローレシアの住民だ、きっと数日もしない内にこの話は王国中、そして近隣国へも流れていくだろう。

 その事に……まぁ、少々だけだが申し訳ない気持ちを感じるのも事実だ。


「けど、俺じゃないんだけどなー」


 しかし、事実は変えようが無い。このままフローレシアの王都が悪魔像の林立する怪しげな邪教の国になってしまったとしても俺にはどうする事もできない。

 文句は相棒に言って欲しい。俺はあくまで保護者なのだ。


「人のせいにしない! ちゃんと言い聞かせて下さい!」

「相棒我儘ちゃんなんだよー」

「カタリ様が甘やかすからそうなるんです!」

『そうなるんだよ!』


 なぜか相棒にまで説教を受けてしまう。

 このままでは完全にお説教を受け続ける事になりそうだと判断した俺はニッコリとティアに微笑みかけるとそのまま踵を返しさっさと馬車に戻る。


「あっ! 逃げないで下さい!」


 知らぬ存ぜぬで通す。それがフローレシア流であり俺流だ。この場は逃げるに限る。


………

……


 再度馬車に揺られながら王宮を目指す。

 相変わらず席順は一緒で、俺の対面にティアとじぃやが座っている。

 俺は説教を聞くまいと極力彼女と視線を合わせぬようにしながら、窓から見える王都の街並みを楽しんでいる。だが、何やらブツブツとこの事態に対する回答を見つけんとするティアの呟きが耳に流れ込んでくる。


「能力……人格……勇者召喚儀式」

「ティア?」


 彼女から返事はない。

 ちらりと視線を向けるが真剣に考えこんでいるらしく俺の言葉も届いていないようだ。


「……そんな事がありえるのでしょうか? でも――なら、も、もしかして」

「…………?」


 呟きは小さく、何を言っているのかハッキリと聞き取れない。

 だが、ティアは自らが導き出す答えに強く動揺している事だけはわかった。

 やがて自ら思い巡らせていた考えが纏ったのだろう。

 はっとした表情で顔を上げると俺にまっすぐと視線を合わせて口を開く。


「あの……カタリ様?」


不意にポツリとティアが呟く。


「ん、何かな?」

「その、相棒さんは人格を持っているのですよね? えっと……それはどの様な人でしょうか?」


 窺うようにオズオズと尋ねられたその言葉を不思議に思いながら彼女の様子を再度観察する。

 ティアは少しだけ何かに期待する様な、何か大切な物を待ち焦がれる様な、……そんな不思議な表情をしている。


「ん? 小さな女の子だね」

『だねー!』


 何か思う所があるのだろうか?

 相棒と一緒に正直に答える。

 別に相棒も自らの人格? を伝えられる事に拒否感は無いらしい。今もカラカラと楽しそうに心の中で笑っている。


「……は?」


 だが、俺の言葉に何故かティアの表情が固まる。


「しかもボクっ娘」

『ボクっ娘だよー!』


 続けて伝える。ティアはボクっ娘は嫌いなのだろうか?

 彼女の中で何があったのか俺には到底分からないが、ティアは俯きながらプルプルと震えていたかと思うと唐突に――。


「この変態! 変態! 変態! ロリコン! ロリコン!」

「ちょ、ちょっと! どうしたのさ!?」


 突然カンカンに怒り出すティアさん。

 何がそこまで気に入らなかったのか。俺をロリコン扱いして罵倒してくる。

 そんな様子に俺も慌てるばかりだ。助けを求めるようにじぃやに目を向けるが、一瞬にして逸らされる。

 ……ひでぇ。


「カタリ様のアホー! バカー! スカポンタンー! この性犯罪者! 小さい女の子にしか欲情できない変態野郎!」

「お、おい! なんで俺がそこまで言われないといけないんだよ! なんで怒ってるか全然理解できないぞ!?」

「知らない、知らない、知らない! カタリ様なんて大っ嫌いです! べーっだ!」


 プイッと顔を背け、ブツブツと不機嫌そうに俺への文句を呟くティアさん。

 何が彼女の逆鱗に触れたのか理解できない俺は、そろりそろりと彼女に声をかけながら宥める。


「ほっほっほ……」


 じぃやはその様子を見ながら、小さく笑うばかりだ。


 結局、その後もティアの機嫌は直ることはなく、俺は王宮に戻るまで彼女のごきげんを取る事に苦心する事となる。

 最終的には彼女も落ち着きを取り戻し、逆に自らが勘違いしていたと謝罪してくれたのだがなぜそこまで怒ったのかは教えてくれなかった。


 何故彼女の逆鱗に触れたのか。おそらく自らの予想とは違う結果だったからだとは思うが……。

 彼女が何を想像し、何に期待していたのか。残念ながら俺には知る由もない。

 だが、そこにはなにか重要な事実が含まれている気がした。


 もっとも帰ってくるなりどこから聞きつけたのか、俺が「自分の能力すら幼女に仕立て上げる真性の変態である」と心底楽しそうに騒ぎ立てる大臣達への対処でその様な疑問もすぐに霧散してしまうのだった。

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