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睡眠欲その弍

「やはりおかしい気がする」



 おれは寝起き一番の朦朧とした意識でそう考えた。



 この一週間、食べるか寝るか風呂行くか、トイレに行くかしかしておらず、睡眠時間が毎日10時間は超える生活を送っていた。



 だがしかし、それほど睡眠をとっておきながら未だ眠くてどうしようもない。



「なんか変な病気ではなければいいんだけど…」



 家族はほとんど家にいる俺を知っているために今までの生活パターンを変えて過ごしているのだろうと考えたらしく、初めこそ、そんなに寝て大丈夫か?と心配してくる父やお兄ちゃん大丈夫?このところ寝てばっかりだけど体調悪いん?と言って来る妹や、ご飯食べんとよくならんよーと間接的に心配してくれる母たちはいつの間にか態度が眠くなる前に戻って行っていた。





 まぁ、心配かけまいとみんなが家にいない時に少しハマってることをやってるから寝れてない。なんて言ってるのも原因な訳なのだが。



「ここまで寝ると逆に体に悪い気がするんだよなー」



 そう呟きつつもいつものように準備してあった朝食兼昼食に端を伸ばし口に運ぶ。



 こんなことになった原因はなんだっけ?と、咀嚼していると頭の中に聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「えー、こほん。体験期間の一週間が過ぎたわけなんだけどどうだったかな?」



 引きこもりニート君?と質問を投げかけてきたのはあろうことか自称神様君だった。



「どうゆうことですか?」



「言った通り君には一週間欲を、今回は睡眠欲を与えてみたんだ」



「なっ!?」



 会話が始まった途端にいつの間にかあたりが例の白い空間に変わっていた。



 あたりが急に白くなったことに驚いたが本音でいうと冷静な方が多かったかもしれない。



「だーかーらー君には今まで持っていなかったほどの睡眠欲与えたってことなんだけどぉー」


 自称神様は駄々をこねるように振舞ってきた。


 どんなように振舞ったかと言うと、まぁスーパーマーケットに行けばわかるかもしれないとだけ言っておこう。



「ってことは最近やたら眠たいってのはお前のせいかって!!」


「お前って言うなぁっ!!僕は神様だっ、神様のゼウス四世だっ!!」



「……ゼウスって。あの!?」


 神話とかに詳しくない俺でもさすがに知っているゼウスという名前、ゲームとかをしてると嫌でも耳に入る全知全能の神様の名前だ。


 そのゼウスは軒並み軒並み髭を蓄えたおっさんだったと思うのだが目の前にいるゼウスと名乗る神はどう見ても子供である。


 身長はどう見ても俺より低いし髭はどう見ても生えてないしそもそも威厳がない。


「おい、いま威厳がないって思っただろ?」


「え…ま、まぁ」



 俺は、考える間もなく聞かれたのでそのまま答えてしまった。



「ふーんそうか、そうか。 んで今回の睡眠欲はどうだった?」



「どうだったって言われてもなぁ……とにかく眠たかったとしか」


「ふーんそうなんだー」


 なんだこいつ自分から聞いておいてそこまで興味なさそうだな……。


 もしかして馬鹿にされてるのか?



「まぁそれが今回君に与えた欲というものなんだよ、つまりはそういうことなのさっ」


 そう言って彼は俺をその与える標的にしたのかを話し始めた。


「まぁ。それで正直めんどくさいけど父上から修行の一環で欲を与えるという命を受けたのだし頑張らないととおもって下界を眺めていたらなんと幸運なことだろうか、おあつらえ向きにほとんど欲を持ってない人がいるじゃないか……。普段は一つづつひとりひとりに与えるものだけどこれは探す手間が省けるじゃないか……。ってわけで正直問答無用に入れても良かったんだけどそれではなんか良くないってことで君に(一応)断りを入れてから欲を入れて現在に至るってわけなんだ」



 ……ほうほう、そういうことか、うん正直なことを言おう、大きく息を吸ってから。



「完全なとばっちりじゃないかっ!!!」


 俺は叫んだ。


「まぁ、諦めろよ」


「拒否権は!?」


「ありません!!」


「返却権は!?」


「もちろんない!!」


「申し訳ないとは!?」


「多少思ってます!!」


「……え、マジで!?」


 正直知るかなんて言われてたら殴り飛ばしてやろうかと思っていたのだが予想と違う答えが出てきたので拍子抜けてしまった。



「当たり前じゃないか、・・・・・・僕がやられたら嫌だと思うし」


「だったら…」


「だから問答無用の追加ではなく何を入れるのかっていう通知してるし今後もそのつもりだし」


「そ、そうなのか・・・・・・」


「でもほかの人探すのめんどくさいから変更はしませんよ」


「結局自分第一かよっ!!」


「もちろんだろう」


「ひとでなし!!」


「神ですから」



 神と特に取り柄もなく欲もない人間との完全な上下関係が確定した瞬間であった。



「んー今回は僕が何を入れたのか固定してしまったから次は君に決めさせてあげよう、さぁこれをどうぞ」


「あ、どうも」


 そう言われ渡されたのは面がおかしいほどある玉のようなものを渡してきた。


「これは?」


「これは欲サイと言って欲を決定するためのサイコロで付与したものはそこからなくなっていくので間違いがなくなるという便利道具なんだよ。」


「サイ!?」


 その割には円すぎるのだが・・・・・・。



「今言ったじゃん、使った良くはそこからなくなるって。つまりは面が減っていくのだよ、君に一つ使ったからあと107個かな・・・・・・」



「・・・・・・おぃ、まさかその全てを俺に入れるつもりなんじゃないだろうな?」



「んーそれはないよ、欲がない人なんていないんだから、君の持ってた欲にダブったところはほかのとことで発散するから大丈夫だよ」


「そうか」



 まぁそんなことはどうでもいいか、どうせ振らないといけないのでさっさと振ってしまおう。


 振られた欲サイは物理法則にのとってコロコロと転がりひとつの面を出した。


「「25」」


 出てきた文字を二人はそのまま読んだ。


「えっと、25は獲得欲だね。頑張って」


「それってどんな!?」


「あえて君たちの言葉で言おう。ググレ」


 まさか神様にそんなことを言われると思わなかった。


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