俺と妹の帰宅後
「よっしゃー着いたー!」
家に着いたと同時に雫がそう叫んだ。
――――というか
「お前一体どうしたんだよ、何かテンションおかしくないか?」
俺と寝る事になってからずっとこんな調子なんだが……
そんなに嬉しがる事なのか?
「いや別に膝枕だけでも嬉しいのにそれ以上に兄貴と一緒に寝れるのが嬉しいとか、そんな事はないんだからな!ホントだぞ!?」
何というあざといツンデレ。
だがこれを天然でするのが my pretty sister の恐ろしい所である。
夜一緒に寝るっていうお願いの時も涙目上目遣いという高等テクニックを使ってきたからな……まぁそれは別にいい。
可愛い姿を見れてラッキーとしか思えないし。
あの後俺達兄妹はあっという間に家に着いた。
雫に手を掴まれた状態でずっと走っていいたせいか手が痛い……何度も離してくれって言ったのに何故か離してくれないし。
「兄貴、膝枕はいつしてくれるんだ?」
「あーそうだなー……」
今日は帰ってくるのが早かったし、晩御飯は昨日の肉じゃがの残りがある。
ご飯も冷凍してあるからそれを温めたらいいか……
ってあれ?やることがほとんど無いじゃん。
精々ほうれん草のおひたしを作る位か?それもすぐできる物だし。
だったらほとんど(全くと言っていい)時間が掛らないし、今やっても大丈夫だな。
「今日は飯の準備もほとんどする事が無いし、今からでもいいぞー」
「マジで!?やった!」
「でも美咲ちゃんみたいに寝ちまうなよ?夜眠れなくなるからな」
「えー別に良いじゃん。どうせ兄貴が起こしてくれるんだろ?」
「お前なぁ……だったら明日起こす時は水でも……いや、ベットが濡れるから氷をぶっかけてやろうか?それならお前も一発で起きれるだろ」
「ううー分かったよ…寝ないようにするよー(どうせ今日は兄貴と一緒に寝れるんだからな…えへへ。兄貴の匂いと温もりに包まれて寝る…想像するだけで最高じゃねーか!)」
「分かったならよろしい」
さてとそれじゃ……って
「お前が俺の太腿の上に乗るって事は、俺は動けないんだよな?……だったら俺は何をしてればいいんだよ……」
「本でも読んでればいいんじゃねーのか?」
「いや、あれは今日読み終えちまったからな……」
読み終わったのは今日の放課後だけど、昨日一昨日に大分読み進めてたし、授業の合間の時間にも読んでたし。
晩飯の用意の必要がほとんどないから、1時間位は時間があるんだが……その間ずっと手持ち手持ち無沙汰でいるのか?
雫の学校生活は普段こいつから言ってくるし、本当にやる事がない。
読んでた本の次の巻はまだ発売してないし。
「ってかお前は俺の太腿に頭乗せてるだけで暇じゃないのか?いや、そもそも1時間膝枕してるなんて事無いよな……?」
「えー別にあたしは兄貴の膝枕で1時間とか余裕だぜ?マジで」
………えー、マジで?
「俺の太腿が大変な事になりそうなんだが……」
人間の頭は結構重たいんですよ?
「なんだよ、兄貴はあたしと1時間も一緒にいるのは嫌なのか!?……いやなのかよぉ……(メソ)」
「ちょ、おま!?」
何だこの既視感は!?
朝にもこんなことあったじゃないですかーやだー!
……というかお前そんな泣き虫でしたっけ!?
「分かった、分かったから。1時間ぐらい大丈夫だよ、それに嫌なんて事もないさ。可愛い妹なんだから一緒にいるのが嫌なんて事は無いさ」
「……うん、わかった。じゃあ膝枕して?話してる間に時間たっちゃったし」
「わかったよ、全くうちのお姫様は甘えん坊だなっと」
「お姫様!?あたしにお姫様なんて似合わねーよ!……それに夜は一緒に寝るってのも忘れんじゃねーぞ!!」/////
だから大声を出すなっての……。
何だかまた雫のテンションがおかしくなってきたので、強引に頭を太腿に乗せてやる。
……これで大人しくなるかな?
「うわっ……あ…んむ…にゅ…(あ、兄貴……)」
お、大人しくなったな。
「……………………………」
あれ……なんか動かなくなったぞ?
「おーい雫さん?どうしたんだー?」
「…………………………………………ZZzzz」
「おーい……って寝てるじゃねぇか!(ベシッ)」
ついさっき寝ないようにするって言ったばかりだろうが!
「う”っ…いてーな…なにすんだよぉ…」
「お前は何を寝てるんだっさっき寝ないようにするって言っただろっ!」
「そ、そんなの兄貴の膝枕が安心するのが悪いんじゃねーかっ!あたしは悪くねぇ!あたしは悪くねぇ!悪いのは全部兄貴の太腿だ!」
逆ギレですかー!?
「いやいや太腿が悪いって何だ!筋肉痛か何かか!?」
「いやその突っ込みはおかしいと思うんだけど……」
「大体聖なる焔の光みたいなキレ方すんじゃねーよ、ってか何故知っている?」
「え……兄貴がやってるのが面白そうだったから……それにアニメもやってたし……」
「……はぁ、やめよう。何か論点がずれてきたし、無駄に疲れたわ……」
「そうだな……」
※この間ずっと膝枕状態です
そして、そこからはゆったりと時間がすぎて行った……お互いに会話はなかったけど決して悪い雰囲気ではなかったし、こんな時間を過ごすのも悪くはないだろう。
〇
気が付くといつの間にか1時間経っていたようだ。
お互いに喋らず、眠った訳でもないのに1時間も経つとは……正直驚きだ。
「よし、それじゃあ時間だし晩飯の用意するか。雫、テーブル拭いて皿出してくれ」
「……ん、分かった」
さて、まずはほうれん草のおひたしを作るかね……
――――兄妹とまったりとした時を過ごした、まる……いやまぁ夜は一緒に寝るけど。
何故か消えてしまっていたのでコピーして置いた物を投稿。
教えてくれたガムさん本当にありがとう!