俺と聡里と昼休み
いつもながらの酷いクオリティ。
全く、作者は救いようが無いな!
「で、明日の予定はどうするんだい?」
「……いや、それはケータイで相談するんじゃなかったのか?」
現在、俺の前にはとても楽しそうな笑顔を浮かべた聡里がいる。
普段からこれぐらい可愛らしい笑顔を浮かべていたら、もっと人気が出そうなモンだがなぁ……。
「ケータイで相談も良いけどやっぱり初めてのデートなんだ、やっぱり顔を会わせて相談した方が良いと思ってね?フフッ。
後、この笑顔を見せるのは君だけだからね? 十夜以外の男には興味が無いし、十夜以上に魅力的な男の子なんていないからね」
……また、恥ずかしい事を臆面も無くあっさり言いやがって……。
「おや、そんなに顔を赤くして…照れてるのかい?
……全く、君のそう言う可愛い所が他の女を呼び寄せるっていうのが分からないのかな?」
ぐっ…確かに神崎先生にも可愛いって言われたけどなぁ…こんなのどうしようも無いだろ。
というか男に可愛いなんて言うんじゃない! お前今日の朝も俺に可愛いって言っただろ!? 別に嬉しくないっての!
「フフフッ、今のはさっき僕に言ったお返しさ」
ん? そう言えばお前…何となく頬が赤いような……気のせいか?
―――というか、考えただけで別に口に出して言ってはいないんだが……。
所で俺と聡里が顔を会わせていると言う事で分かると思うが、今俺は学校にいる。
ついでに言うと昼休みだ。俺と聡里の二人で弁当を食べている。
朝、あれから二度寝している雫を叩き起した後、俺は相談内容を聞いたのだが……。
帰って来た答えは、それはもう酷いものだった。
なんせ……
『え? …あぁ、あれ最終的に“やっぱり明日の部活で面と向かって話しあった方が良い”って事になってさ、具体的なほーしんとかは全然決まって無いんだよなー。途中からは唯の兄貴自慢しかしてなかったし…寧ろ雑談が8割だった様な(ピシィッ)っていたぁっ!? いきなり何すんだよ兄貴!?』
―――とまぁこんな呆れるしかないような返答が返って来て、全力でデコピンをした俺は悪くないだろう。
そう言えば、妙に雫に元気が無かったような気がするが…どうしたんだろうか……?
「……はぁ、本当に面倒な事が多すぎるよなぁ……」
「―――それは、もしかしてぼ、僕とのデートの事を、い、言ってるのかなっ!?」
あ、ヤバい。
「そうか君はそんな風に思っていたのかそうだよね僕みたいな可愛げのない女は嫌だよねごめん十夜君に迷惑を掛ける気は無かったんだけど僕も少し浮かれていたみたいだそうだよね僕みたいな陰気な女が君の様な魅力的な男の子に釣りあう筈が無いんだから僕はここで大人しく…ひ、ひぎさがっで……」
「ちょっと待てぇい!
大丈夫だからっ聡里とのデートの事を言ったんじゃないから!
というか聡里とのデートは楽しみだよ! 凄い楽しみだよ!!
今日の朝だってお前に助けられたお礼に明日のデートで何か奢ってやろうかなーとか考えてたし俺としてはもう行く気満々だから今更面倒くさいとか考える訳が無いだろうが!?」
ゼェ…ゼェ…ゼェ…こ、後半部分を息継ぎ無しで一気に捲し立てた所為で辛い……。
でもまぁ、反論を許さずに一気に捲し立てた甲斐はあったようだ。
「そ、そうか……。勿論僕だって行く気満々さっ!
明日はとても楽しみじゃないかっ十夜! それで、どこに行くか決めようじゃないか!!」
聡里の涙を見る事にはならなかった様だ。
……良かった。
―――しかし、その代償は大きい。
『え? 明石さんと瀬川君がデート…?』
『嘘、あの二人って付き合ってたの!?』
『おいおいあいつワイルド系美少女な妹に、小悪魔風美少女の神楽ともいつも一緒にいるんだろ?』
『ここで更にクール系美少女の明石まで誑し込むとは…ちょっと殴ってくる』
『止めとけ、あいつに暴力振るったら妹に殺されるぞ。……というかあの兄妹に手を出したら命が何個あっても足りねーっての』
『最近妹さんの方は結構マシになったらしーよ?』
『マジで!? じゃあ略奪愛行けるかな!!』
『いやいや流石にそこまで行くとダメでしょーよ……』
『えー……』
今昼休みだよ! 教室の中でそんな大声で話してたら他のクラスメートに聞こえるに決まってますよねー……。
こうなってしまえば出来る事は一つだけ!!
「よーし聡里別の場所で話しましょうそうしましょう」ガシッ
「あっ十夜そんな強引に! ……フフッこういうのも偶には良いかな?」ボソッ
逃げるしかないです。
◆
その頃の雫&美咲ペア
―――昼休み、1年生のある教室で、二人の人間による攻防が行われていた。
「―――で、雫ちゃん…例の物は持って来たの?」
普段は優しさを浮かべた瞳を鋭くして、相手を威圧しながら話しかけるのは神楽美咲。
「……持ってきてるっての、畜生……!」
その顔を屈辱に歪め、悪態を付くのは瀬川雫。
「ウフフ…でも、あなたはそうするしか無い。……でしょう?」
本来の二人の関係とはまた違った状態であった。
「分かってるっての……ほら、この三つだ」
そうしてかばんの中から“ある物”を取り出す雫。
「あらあら…これは…良いわね……」
その写真を見て、美咲の顔に思わずといった風に笑顔が零れる。
普段であれば男女問わず身惚れてしまうようなそ笑みも、今の状況ではただ、見た者の背筋を凍らせるようなものでしか無かった。
「ッたたりメェだ! あたしが全力を振り絞って手に入れた中から厳選した最高の三つだぜ? これがツマンねーモンの筈がねーだろ?」
そう言って雫は先程の表情とは一変して勝ち誇った様な笑みを浮かべた。
「ま、その三つは私の物になるんだけどね。……でも良いでしょう? その分のお金は払うんだから」
しかしその笑みも、美咲の言葉によってすぐに変えられてしまう。
「ぐぅ……。
あーもうっだったらさっさと金払いやがれ!
この際すっぱり諦めるからよォ!!」
無駄に男らしい事を言う美少女(雫)
「ええそうね。……だったら、それぞれ一万円でどう?」
「なっ!…くっ……」
雫は奥噛みした。
この女(親友)は自分が提示しようとしていた金額をそっくりそのまま言い放ったのだ。
まるで自分の考えている事が分かっているかのような発言。
その瞳には、一体何が見えているのか……。
結局
「ちくしょぉ…あたしの『兄貴の寝顔』『兄貴の赤面した顔』『兄貴の真剣な表情』がぁ~……」
「もう…自分で言っておいて結局諦め切れて無いんじゃないの……」
「仕方ねーだろっ! というかお前だって逆の立場なら簡単に諦められるってのか!?」
「無理ね」
「即答じゃねーかよ……」
雫は諦めきれないようだが…その三つ…いや、“三枚”を美咲に渡すのであった。
まぁ、周囲から見れば『兄の盗撮写真を売る妹』と、『盗撮写真を一万円も出して買う学年一の美少女』と言う異常な光景でしか無いのだが。
というか昼休みの教室で何をやっているんだお前ら。
・盗撮写真=今まで雫が撮り溜めていた物。
・何故売買しているのか
┗「あの不良教師から兄貴を守るから手を貸してくれ!」
「報酬は貰えるのよね?」
美咲に丸め込まれる→十夜の盗撮写真の購入権プレゼント→折角何だから良い奴頂戴よ?→ (´・ω・`) (←雫)
美咲さん…十夜を取られない為なら無報酬でも手伝ったでしょうに……。
汚いな流石美咲さん汚い腹黒い。
朝雫が二度寝したのは、眠気に負けたのではなく写真を失う事を考えての不貞寝だったりする。