番外編「俺とバレンタインと」続
本編とは関係ないから見る必要は無い…かも。
何か無理やり一つにまとめたせいで凄い長くなったよ!
普通の話2話分だよ!どうしてこうなった!?
閲覧注意(駄文的な意味で)
キーンコーンカーンコーン……
「ゼェ…ゼェ…ゼェ…死ぬ…」
あれから俺は雫を振り切る事に成功した。
―――口では軽く言っているけど、実際かなり疲れた。
何だかいつもより随分と粘られたせいで遅刻も覚悟するほどだったからな……。
あ、ちゃんと風呂には入ったぞ? ……最終兵器『嫌いになるぞ?』を使って。
あぁ…あいつの好意を利用する形になるから死にたくなる技だけどな……。
それでまた泣いてしまった雫を慰める事に時間が掛かったという訳だ。
―――さて、そろそろ考え事を止めて現実と向き合おうか。
「よぉ瀬川ァ…俺を無視するとはいい度胸だな?」
アハハー神崎サンヲムシシチャッター。
「……ごめんなさい」
ここは素直に謝るべきだろう。下手に口答えすれば何をされるか分かったもんじゃないからな。
……正直、何でこんなのが教師になれたのかいつも疑問に思う。
「よーし、素直に謝ったから許してやる…と思ったが、お前今失礼な事考えたな?
昼休み、指導室に来い」
オワタ\(^o^)/
〇
「おーし、今回はこれで許してやる。……次があったら今度こそお前の貞操を奪うぞ?」
「も…も、申し訳ありませんでした……」
馬鹿な…“考えていた”程度で反省文5枚…だと……?
というか何を考えていたかも把握していた訳でも無いくせにどうしてこんな数に……。
―――ハァ、まぁ一応俺が悪いし、とっとと弁当食いに戻ろう……。
今回は寧ろ、反省文で済んだ事を喜ぶべきなんだろう。多分。
「あーそれと、だな…」
? まだ何か用があるのだろうか。俺はとっとと戻って弁当を食べたいんですが。
……というか神崎先生がこんなに言い淀む事となんて珍しいな。
普段はもっとズバズバ物言いする人なんだけど。
「……これ、やるよ」
そう言って先生が差し出して来たのは、力を入れて握ってしまったのか少し歪んだ小さめの箱だった。
……ん? これはもしかして……。
「えっと、これ…何ですか?」
少し混乱してしまった俺は、ついついそう聞いてしまった。
というか、この人から何かを貰う事自体が今まで無かったし、混乱する事も無理は無いと思う。
「バッ馬鹿野郎! 俺の口から言わせんなよ! って言うかお前も分かってんだろ!?」
「いやまぁ一応分かってはいますけど…先生から貰える事に驚いちゃって……」
流石の俺もこれが何なのかは分かる。
……まぁ静音さんから貰って無かったら確実に分からなかっただろうが。
ともかく、俺は『神崎先生から貰った』と言う事に驚いてしまったのだ。
この人はそれだけ不器用な人だから。
「……まぁ、俺自身驚いてるよ。誰かにチョコなんてモンを渡すなんてな」
「じゃあなんで…」
「俺自身分かんねぇよ。今までこんな事したことも無いしよ。
……でも、受け取ってくれ。正直こっ恥ずかしいし、自分で作ったモンじゃねぇけどよ、結構頑張って店に行って買ってきたんだからなっ! ……ちくしょう、どいつもこいつも見せつけやがって……」
珍しい。本当に珍しい日だ。
あの神崎先生が何かを言い淀むことに加えて、こんなに恥ずかしそうな顔をする所なんて今まで無かったのに。
「……なんか、可愛いな」
「ハァ!? お、お前っ何言ってんだ!?」
…口に出てた。
でも、顔を赤くして恥ずかしがる先生を見れたから悪くないか…クククッ。
「っ! 笑ってんじゃねェよ馬鹿野郎!!
チクショオォォォォォォォ!!」ダッ
走って行っちまった。
声を掛けても聞こえなさそうだし、手を振っておこう。
「ノシ……さて、早く戻って弁当食うか」
今日の弁当は唐揚げだぜ。…冷凍の。
〇
「やぁ十夜、やっと戻ってきたね? 一応協定があるから大丈夫だろうけど、何もされなかったかい?」
教室に戻ってきた俺に聡里が言ってきた言葉である。
「……今回は反省文だけだったよ?」
「へぇ…本当かい? あの先生の事だから何かするかと思ったんだけどね……」
……まぁそれは俺も思ったけど。
「代わりに…かは分からないけど、チョコ貰った。…正直言って、あの先生が俺にくれるなんて思いもよらなかったから驚いたよ」
―――瞬間、聡里から猛烈な瘴気が噴出した。
『え、何それ……』と言う人に説明しよう!
聡里の出す瘴気とは聡里の嫉妬心が頂点に達した時に噴き出す魔の瘴気なのだ!!
その瘴気が出てしまえば空気が異常に重くなり、その影響により一般人は喋る事さえもできなくなるという……。
―――って雫が言ってた。あいつ俺よりも聡里の事分かってるんだよね…俺の方が付き合い長いのに……。
「そんな、この僕が先を越された!? しかもあんな不良教師何かにだなんて……。
僕は美咲と違って十夜と同じクラスなのに? ……まさか、十夜を呼び出したのはチョコを渡す為だったのか? ……あの女ならやりかねない。十夜を無理やり襲おうとした奴だからね。そのくせ実際に想いを伝えるのは恥ずかしくて出来ないって言うんだからお笑いだよね! ……なんで言動は雫寄りなのに内面は僕に似てるのかな……」
瘴気が出ている間は、こんな感じで黒くなります。……あの女て。
「あのー……聡里さん?」
正直声を掛けるのが怖い。でも正気に戻さないと空気が重すぎて弁当を食べられる気がしない。
このままでは罪のないクラスメイトに迷惑が掛かってしまう!
聡里を元に戻す。……それが俺に課せられた役目だからな(キリッ)。
「くっこんな事なら朝十夜が来た時に速効で渡せば…うぅ、でもそんなの恥ずかしいし……」
よし、諦めよう。
速効で役目を放棄した俺は、聡里の横で弁当を食べたのであった。
味が分からん。
でも外は寒いからなぁ……。
〇
キーんコーンカーンコ-ン……
「ふぅ、やっと終わった……」
本日の全授業は終了。
聡里が瘴気を放っていたおかげで、いつもより授業がスムーズだった気がする。
……教室が異様に静かだったけどな。
さて、今日は部活(笑)に行くべきなのだろうか。
雫は家だけど、聡里と美咲ちゃんはいる。……美咲ちゃんもいるよな? 雫がいないから分からないけど、多分いるだろう。多分。
「十夜、僕を放っておいて考え事なんて酷いじゃないか……」
「お、聡里? 悪い悪い。…でもひたすら毒を吐き続けるお前が怖かったから仕方ないだろ……」
まぁ途中から顔を赤くして恥ずかしそうにしてたけど。
「僕は、悪くない。……それで? 今回は何をそんなに考えてたんだい?」
無理やり話を変えるな。……まぁそれは良いか。
「いや、今日は俺は部活に行くべきなのk「来るべきだ。いや、来ないと駄目だよ」……分かりました。行かせてもらいます」
あれ、この娘こんなに怖かったっけ?
―――そんな事を思いつつ、俺は聡里の手で部室に連行されて行った。
〇
ガチャッ
「せんぱーいっ!」ギュッ
部室に入った途端、美咲ちゃんが抱きついてきた。
腕を背中に回し、頬を俺の頬に擦り付けて。
……“抱きついてきた”、と言うよりは“飛び付いてきた”って感じだな。
冷静にこんな事を考えられるのは、普段から雫に抱きつかれているからだろうか? …あれ、何かダメな気がする。
と、とりあえず美咲ちゃんを引き離そう……。
「いきなり抱きつかないでくれ美咲ちゃん。雫じゃあるまいし……」
そう言いながらやんわりと体を離す。……普段はもう少し大人しい娘なんだがな。
「あ、すいません驚かせてしまいましたか?」
口ではそう言っているが、あんまり反省した様子を見せないのはどういう事だろうか。
……というかやけにご機嫌だな……? どうしたんだろう。
「くっ、既に美咲が来ていたのか……」
なんか聡里が悔しがってるし……。
「十夜先輩! これ受け取ってください!」
そう言って美咲ちゃんが渡して来たのはハート形の小さな箱で……あぁ、
「バレンタインのチョコ、俺の為に持って来てくれたのか?」
「ええそうですよ! この日の為に二日間も準備したんですからねっ」
あれ、何だかまたデジャブ…まぁ関係無いか。
それにしても美咲ちゃん
「あっまた先を越された……!
と、十夜! 僕だって君の為に頑張ってチョコを作って来たんだ! あんまり、美味しくは、無いかもしれないけど……」
頑張って言い出したと思ったらどんどん勢いを無くす聡里。
「……そんなの、お前さんがチョコを作ってくれるってだけで十分嬉しいよ。
味なんて二の次だって。聡里の想いが伝わって来てとても嬉しいからさ」
そう言って俺は、よっぽど自信を持てない様で俯いてしまった聡里の頭を撫でた。
「なっ!? せ、先輩! 私の頭も撫でて下さい! 聡里先輩だけなんて酷いです!!」
「ハハッ、分かってるよ美咲ちゃん。
―――ありがとうな、二人とも。お返しは期待しといてくれよ? 腕によりを掛けて作るからな!」
あぁ、俺は恵まれてるな。こんなに可愛い女の子達からチョコが貰えるなんて……。
本当に…俺は幸せ者だ。
今度は美咲ちゃんの頭を撫でつつそう言って、俺はそんな事を考えていたのだった。
さて、今日の部活はこれまでかな? ……随分短いけど、今日はこのぐらいで良いだろう。雫も心配だし。
「じゃあ二人とも、悪いけど今日はここまでで良いか? 雫が家で俺の為にチョコを作ってくれてるんだよ。……正直心配なんだよな……」
「えっあの料理のできない雫ちゃんがですか? 今までは店売りの物を渡していたんですよね、大丈夫でしょうか……。
―――分かりました。先輩、雫ちゃんの為に早く帰ってあげてください」
「へぇ…あの雫が料理、か……。
分かったよ十夜。そんな事なら早く帰ってあげて。
僕達も今日はこれで帰る事にするからさ」
―――ありがとう、二人とも。
そう言って俺は、家に急ぐのだった。
〇
「兄貴お帰り! 頑張ってこれ作ったんだ! 食べてくれ!!」
そう言って出迎えてくれた雫が渡してきた物はガト―ショコラだった。
食べてみると……
「(……OH,中が微妙に粘ついてる、ちゃんと火が通って無いな……。
しかも粉をふるいにかけなかったのか、妙に粉っぽい感触があるし……)」
正直、失敗だろう。
―――でも
「……………」(ワクワク)
こんな期待された目で見られてる中『不味い』なんて兄として失格である!
よってぇ! 我が選択肢はたったひとぉつ! 『美味しそうに全てのチョコを食べきる事』!!
フハハハ! こんな事雫に対する愛を使えば簡単な事だ!!
「(うっぷ)…あ、あぁ雫、美味しいよ。初めての料理とは思えないぐらいさぁ!
いやぁ雫の想いが伝わって来てとっても幸せな気分だよ俺はッ!!」
『想いが伝わってくる』と言うのは本当だ。
例えどれだけ失敗していても、雫の努力と想いがとても伝わってくる。
全く、なんて可愛い妹なんだこの娘はァ!?
「ほ、本当か兄貴! ……やった、兄貴の為に頑張って良かったっ」
あぁ…小さくガッツポーズまでして……。
可愛いなぁ、雫は可愛いなぁ……。
「だったら兄貴! 他にも色々作ったから食べてくれよ!!」
そういって奥から更に色々なチョコを取り出す雫。
……って、え?
「全部食べてくれよな!!」
(((( ;゜Д゜)))オ、オウ…
……腹括るか。
登場人物と作ってくれたチョコの種類
響静音:生チョコ。洋酒なども使った贅沢な一品。口溶けもよく美味しく頂きました。
神崎奈々(かんざきなな):トリュフ。店売り品なので普通に美味しかった。
神楽美咲:生チョコ(チーズホワイト)チーズの感触とホワイトチョコの甘さが絶妙に絡み合っていて美味しかった。
明石聡里:チョコケーキ。生地のふわふわ感とくるみの歯ごたえが見事にマッチしていて美味しかった。
瀬川雫:ガト―ショコラ+α(沢山)。もうちょっとしっかりレシピを見てください。でも努力は伝わって来たので来年はもっと美味しくできる筈!
※雫には無理して食べていた事がばれてしまい、泣かれました。そしてその晩ずっと布団の中で抱きしめられた状態で眠る羽目になりました。ちょっ首を舐めるな!服の中に手を突っ込むなこれ以上はやm(ry
まぁこんな感じでどうでしょうか。
正直色々反省しております。
いくら現実逃避で書き始めたとはいえ色々酷かったですね。
誠に申し訳ありませんでしたm(_ _)m
……感想くれるとうれしいなぁ…なんて(チラッ