俺と修羅場と暴力沙汰
何とか書けたぜ…!俺頑張った。
頭と腹が痛い。タヒぬ。
「とりあえずお前ら落ち着け」
もうこの流れ飽きたから。流石に二日連続とかキツイから……。
「でも兄貴! こいつ兄貴に無理やりキスしたんだぞ!?」
「そうですよ先輩! 先輩の唇を強引に奪うなんて許せません!!」
そりゃどの口が言うんですかねェ…?
「お前r「君たちは何を言ってるんだい? そもそも最初に十夜の唇を奪ったのは美咲じゃないか。キスの瞬間は確かに見てないけど…十夜の性格、それと僕たちが部屋に入った時の十夜の状態(茫然自失)からしても合意でしたとも思えないし…まぁそれは置いておいて、それよりも…というか何より重要な事が…美咲は、十夜のファーストキスを奪ったんだよ……?フフッ、許せないなぁ……」いや、あの…聡里さん……?」
これはヤバい。聡里の目に光が無いぞ……。
というかその件はまだ引きずるんですね。被害者(?)である俺は諦めたんだが。
過ぎた事は仕方ないって事で諦められないのかねぇ……。
「「諦められるわけねーだろ(無いじゃないか)!!」」
「あ、あ…あらあら、もしかして私また絶対絶命なのかしら……?」
聡里に続いて雫も目の光が消えてるー!?
クッ…とりあえずは話し合いだ! 昨日のように暴力はイカン!(結局美咲ちゃんは逃げ切ったけど)
ひとまずはこの二人を落ち着けないと駄目だな。ここは冷静に……
「なぁ二人とも。実際に奪われた本人である俺自身がもう許してるんだからさ、お前たちも許してやらないか? ……というか何で二人がそんなに怒るのかが分からないんだが……」
俺自身が許してるんだから第三者である二人が怒る理由にはならないと思うんだがなぁ……。
「兄貴はなんにも分かってねー! 自分の未来の夫のファーストキスを無理やり奪ったんだぞ!? 許せるわけねーじゃねーか!!」
「そうだよ! そもそも十夜は僕のものなんだから、ファーストキスだって僕の物なんだよ!? それを無理やり奪うなんて強盗でしかないじゃないか!!」
こりゃ駄目だ。冷静になる気配がしない。
「ちょっと先輩諦めるの早すぎませんか!?」
「すまない美咲ちゃん。俺に出来るのは此処までのようだ……」
「此処までって…今の十夜先輩の鈍感具合が良く分かる説明のせいで更に二人が“冷静”から遠ざかったんじゃないですか!? もう二人とも拳握ってるし!!」
え、そうなの? 割と本気の質問だったんだが……何か不味かったか?
「もうあなたの鈍感具合はもはや病気です!」
「えー…俺ってそんなに鈍感かなぁ? 背後からの奇襲とかも余裕で防げるんだけど。寧ろカウンターすら決められるんだけど」
「もう! こうなったら私はさっさと逃げまs「「何二人で楽しそうに話してんだァ(話してるのかなぁ)……?」」ひゃい!?」
あ、話してる内に二人がすぐ傍まで来ていたようだ。
「こりゃ逃げられそうに無いな……」
「『こりゃ逃げられそうに無いな』じゃありませんよ! どうにかしてくださいよ…痛いのは嫌なんですよー……」
ありゃ、美咲ちゃんが涙目になってるじゃないか……。
よし、これは気合いを入れて行こう。というか気合い入れないと一瞬でやられそうだし。
「美咲ィ! 一発殴らせろォ!!」ブンッ
「人の男を奪おうとする女狐には鉄槌を!!」ブンッ
雫と聡里の二人が美咲ちゃんにさっきから握っていた拳を振るった。
そして、その拳は―――――
「―――――ったく、暴力は駄目だっての」
「「ッ!?」」
俺の掌に収まった―――――
まぁ、聡里のパンチを止めるのは簡単だし。遅い&威力が無いからな…。
鍛えろとは言わんが、もう少し筋力付けた方が良いだろ。運動神経以前の問題じゃないか……?
一先ず聡里の方はこれで(パンチを止められて)冷静になったようだ。目に光が戻っている。
……まぁ元々暴力を好む娘じゃ無いしなぁ。
問題は雫だ。
「どけってんだよォ!」
一発目は俺を意識に入れていなかったから簡単に止められたが、今度は俺に拳を振るってきた。
……というか俺に暴力を振るってくるって事は、相当頭に来てるみたいだな……。
そんなに俺のファーストキスは大事だったのかね?
「よっと…」
振るわれた二発目の拳をかわす。
「まだまだァー!!」
お、腹狙いの蹴りか。んー…雫の脚力的にはここは無理せず避ける所なんだが…別に本気で戦ってる訳でもないし、ここは受け止めて雫を落ち着かせるべきかな?
「フッ!…っと、やっぱり少し痛いなぁ……」
腹に向かってきた蹴りを受け止める。狙いもバレバレで受け止める事自体は容易かった。頭に血が上ってたし余裕だ。
まぁ雫が冷静に、本気で暴力を振るってきたらこうも簡単には行かなかっただろうが……ま、俺相手にそうしてくる事は恐らくないだろう。こいつブラコンだし。(←そんな事を言うこいつはシスコンである)
さて、雫はどうやら蹴りを受け止められるとは思っていなかったようで、驚愕の表情を浮かべている。 その隙に受け止めた足を蹴りを放った方向とは逆の方向に払ってやる。
そうすると雫の体がコマのように周り、こちらに背中を向けるので、その背中を軽くひっぱって倒れこんできた雫の体を抱き止めてやった。
「ったく……ほら雫、落ち着きなさい」なでなで
抱き止めたままだとまた暴れられそうだったので、左手を腹に回してさり気無く拘束し、右手で頭を撫でてやる。……これで落ち着いてくれなければ気絶してもらうしかないんだが……。
「ふあ? あにき……?」
どうやら落ち着いてくれたようだ。
良かった…妹に暴力を振るって気絶させるなんて嫌だからな…安心した。
「ったく…お前は美咲ちゃんに暴力を振るおうとしたんだぞ? 謝りなさい。…ほら、聡里もだ」
「あ…う…ごめん、美咲…ちょっと頭に血が上っちまった……」
「う…分かったよ……。ごめん美咲。ちょっと冷静じゃなかったよ……」
「あ、あらあら…私も悪かったわ。焦ってたとはいえ、最初に先輩の唇を無理やり奪ったのは私だもの。……本当にごめんなさい。」
「……分かった。とりあえず兄貴のファーストキスを奪った件は許す。おかげで兄貴に対する気持ちに気付けたんだし……」
「僕も許すよ。おかげで十夜に対して積極的になれるようになったんだしね……」
お、こりゃ大団円となるか。
「「「でも!!」」」
え?
「「「兄貴は/十夜は/先輩は」」」
何ぞ?
「「「あたしのモンだ!!/僕のものだ!!/私のものよ!!」」」
うわぁ……
俺の戦いはまだまだこれからの様だ
美咲の謝罪は本来十夜にするべきな件。