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聡里と部員の顔合わせ

危なかったぜ…あと少しで親知らずを抜かなければならなかった……。

まぁこれ以上伸びてきたらどっち道抜かなきゃ駄目だろうけどなー……。

「こいつが俺が言ってた、今日から新しく部員になる聡里だ。良い奴だし皆仲よくしてくれよ?」


「初めまして。今十夜が紹介してくれたけど、明石聡里だよ。これからよろしくね?」


 今は聡里と話をした時から大分時間が過ぎて、聡里と皆の顔合わせをしている。

 はてさて、我らが部長殿はどんな反応を…あれ? 何か俯いて震えてるんだが……。


「おい、兄貴…」


 やっと喋ったかと思えば何か声が一段低くなってる!?

 これは刺激しない方が良いかもしれん……。


「何だ我が妹よ」


「話が違うじゃねーか……」


「え? 何の事だ?」


「聡里って奴は男じゃねーのかよ!!」


「いやいや、誰も男だなんて言ってねーよ!」


 勝手に勘違いして怒るんじゃない!


「でも一人称が“僕”なんだったら普通は男だと思うだろ!?」


 まぁそりゃそうだが……


「俺は一言も“男”だなんて言って無いんだがなー……」


「な!? ぐぬぬ……(チクショー! あたしのバカ! ちゃんと性別を聞いておけばよかった!!……いや、でもまだこの女が兄貴を好いてるって決まった訳じゃないし…後で理由を付けて聞くしかないか……?)」


 今度は黙って何かを考え出した……忙しい奴だな……。


「あの、十夜先輩? 新入部員ってなんの事でしょうか…?」


 え?


「美咲ちゃんは雫の奴から聞いて無いのか?」


「ええ、雫ちゃんからは何も聞いていませんけど…」


 おいおい…。

 美咲ちゃんも部の一員だってのに何で言って無いんだよ…。

 まさか忘れてた? でも今日出た話しだし忘れるような物でも無いと思うんだがな……。


「おい雫、何で美咲ちゃんに説明してな……あれ? 雫の奴はどこ行った? ……って聡里の奴もいないじゃねーか」


 一体どうしたんだ二人とも……?



 ◆



「それで、あんたは兄貴の事どう思ってんだ?」


 今、あたしは聡里って奴と一緒に部室がある校舎とは別の校舎にある空き教室にいる。

 理由はこいつが兄貴に対してどういう感情を持ってるか聞き出すためだ。

 これだけ部室が離れていたら話を聞かれる可能性もないしな。鍵も掛けたし。


「どう…とは? 何の事か僕には分からないんだけど。もう一人の子はそもそも僕が新しく入る事すら知らなかったみたいだけど、あれはどういう事なんだい?」


「うっ、あれは……」


 やべぇ、美咲があたしのいない時兄貴にくっ付いたりしないように、新しく部員を入れるなんて言えねーしな……。


 美咲の奴に『新入部員を入れる』なんて言ったら理由をしつこく聞かれるだろうし、そのための建前を考えてたらいつの間にか放課後だったんだけど…美咲には悪い事して…っていやいや!

あれはあたしがいない隙に、兄貴に膝枕なんてしてもらった美咲が悪いんだ! 私は悪くない!!


「ねえ考え事の最中で悪いんだけど、結局『どう思ってるんだ』というのはどういうような答えを言えばいいのかな?」


「(そ、そうだまずはそっちが先だった)……じゃあ直球で行くぞ。あんたは兄貴が好きなのか? それともただの友人でしかないのか?」


「フフッ…それを聞いて何の意味があるんだい? 君がそれを聞く理由なんて無いじゃないか」


「あたしがいない間に、部室で兄貴に変な事をしないか心配してるからだ!」


「それは美咲って娘が十夜に膝枕してもらった事かい?」


 な、何で知って…!?


「フフッ、十夜に教えてもらったんだよ。勿論僕も後で彼に膝枕してもらうけどね?

……そうだ、さっきの質問の答えだけどね。大好きだよ、僕は異性として十夜を愛している…フフッ、これで満足かな?」


 な、ななななな………


「ふざけんな! 何でお前が兄貴に膝枕って言うか何で兄貴を名前で呼び捨てしてるって言うか兄貴はあたしのもんだ! お前にはやらねーぞ!!」


 そ、それに…あ、愛してるだなんてそんな……///


「フフッ、ふざけてるだ何ておかしい事を言うね? まず膝枕の事だが、単に僕がやってもらいたいからさ。愛する男性が他の女に膝枕をしたなんて聞いたら我慢できるわけ無いだろう? 呼び捨ての件だが、それも簡単な事だよ。僕が彼に『呼び捨てで良いか』と聞いたら彼が『別に構わない』と言ったからさ。

…最後の事だけど彼は君の物じゃあ無い。今は僕の物でも無いけど、必ず僕の物にして見せるよ?

フフッ、兄離れの用意を済ませておくんだよ?」


 そうか、分かった。

 こいつは本気で兄貴が好きなんだな……?


「いいさ、分かったよ! 今日からあたしとあんたは敵同士だ! 兄貴は絶対渡さねーからな!?」


「勿論さ。……それよりも、美咲って娘と十夜は今二人きりになってると思うんだけど…彼女は十夜をどう思ってるんだい? 好意は持ってると思うんだけど」


 うわー! 忘れてた!! 折角美咲が兄貴と二人きりになるのを阻止するために新しく部員を入れることにしたのに、これじゃあ『ほんまつてんとう』って奴じゃねーかあぁぁぁぁぁぁ!?


「ちくしょう、直ぐに部室に戻るぞ!」


「聡里って呼んで良いよ。君は僕の義妹になるんだからね…? フフッ」


「はっ! 言ってろ! 兄貴は渡さねーからな!!」


 とにかく戻らねーと! 話し始めて10分は経ってるし、部室から離れてるから戻るにも少し時間がかかる! 昨日みたいに美咲がまた変な事兄貴に要求してそーだ!!


「兄貴はあたしが守って見せる!」


「やれやれ、騒がしいな…(大好きなお兄ちゃんを独占したいだけだろうに)聞いた通りブラコンだな、この娘は(ボソッ)」


「ごちゃごちゃ言ってないで走れ! 置いてくぞ!?」


 聡里の奴足おせーんだよ!


「ちょ!? 待ってくれよ、君が早いんだ!」


「確かにあたしは早い方だけど、それ以上に聡里が遅いんだよ!」


 もういい、置いて行く! スピードアップだ!!


 ―――――置いて行かないでー!?



 遠くから聡里の叫びが聞こえたような気がしたけど、兄貴を助けるために全力を出したあたしの耳にはその叫びは入ってこなかった。


ここ最近本当に寒くなってきましたねー。

皆さんも体を冷やさないようお気をつけください。

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