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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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ちっさいオッサンと天邪鬼

前回からの日風と眞也のお話の続きです

「どうしたの?夜に来るって言って無かった?」


「うん、決心が固まってる内にと思って来ちゃったけど…出直そうか?」


「ううん、いいよ、入って…」


そう言って日風をリビングに連れてきた


決心…



「いらっしゃい、丁度ニチカくんの話をしていたのよ?」


「君が日風くんか…何か想像してた数倍実物は可愛いな!」


「どなた様達?」


不思議そうな顔をしながら日風は俺に尋ねた


「初めまして、眞也さんの形式上の妻の玲奈です」


「通りすがりの変なおばさんです。だっふんだ」


「はあ…」


「コラ、千春!」


「待たせたな!形式上のその妻の愛人の河口千春です」


「そうでしたか…初めまして、○○大学医学部1年生の蘇我日風と言います」


日風は千春の変なボケにも平常心で華麗にスルーして丁寧に挨拶してお辞儀した


「お噂はかねがね…」


「お噂?」


「もうニチカだろコレ!ビジュも満点!」


「はあ、それはどうも…?」


「ちょっと2人とも!…所で急にどうしたの?ニチカ…」


「うん、シンヤに話があって…」


「じゃあアッチで話そうか?」


もしかして…別れ話とかだろうか…

そうだとしても今なら2人も居るし笑って送り出せるかなあって思っていた


「ううん、折角だから2人にも居て貰って」


「そう…」


表情の読めない顔をしている日風に不安になっていた


あの契約を交わしてから日風はこの部屋に通って来てくれてお互い学校で有った事とか色々何気ない日常の事を喋ったり映画を一緒に見たり食事をしたり泊まって行ったり…普通の恋人の様に楽しく穏やかに過ごしてきていた


いつの間にか韻を忘れる事が多くなってしまった大きな存在が無くなる時に…

平常心でいられるだろうか…


「ねえ、シンヤ」


「なっ…何?」


「僕、この部屋に一緒に住んで良い?」


「えっ!?」


「学校行く時朝早くにいちいち家に帰るの大変だから」


「えっ!?」


「ここ元々2人で住める広さだよね?」


「まあ…一応結婚したから…怪しまれない様にそういう部屋にしたけど…」


「形式上の奥さん…僕がここに住んでも良い?」


「ふふ、ええ、良いわよ」


「じゃあ決まりね!今度の日曜日に荷物運び込むね」


「うっ…うん」


「じゃあ…お邪魔虫2人はそろそろ退散しますか」


「そうだね。あー、心配して損した」


「千春はただBL話を聞きたかっただけでしょ?」


「まあ…それは否定しないが…でもなあ…この話の内容と言うか登場人物達に…何か既視感があるんだよなあ」


「千春はBL読みすぎて脳がバグってんのよ。じゃあね、ごゆっくり」


「じゃあねー!また後日談聞かせてよね!」


そう言って玲奈と千春は慌しく帰って行った




「何か…色々急でビックリした…」


俺は構えていた緊張が一気に解れて床にへたり込んだ


「何で?」


「だって…俺、てっきりニチカが別れ話でもしてくるのかと思った」


「シンヤは僕と別れたいの?」


そう言われてブンブンと首を振った


「良かった。うんって言われたらどうしようかと思った。インくんとお別れしてきちゃったし…まあ普通の友達としては付き合ってくけどね」


「えっ!?何で今?本当急で色々謎…」


「僕が大人になったから」


「うーん…一応もう成人はしてると思うけど20歳は来年だし…でも、もう世間では大人として扱われてるでしょ?免許や選挙権や国家資格の取得やローンを組む…あと親の同意無しで婚姻とか…」


「まあ良いじゃん!」


「何だろう…セックスはもうしてるし…お酒やタバコとか国民年金加入…なら大人にまだなってない?…19歳の今になって大人になった要素が他に分からない…」


「もうっ!皮から頭が抜け出したの!」


「皮?」


「仮性…包…茎…だったから…」


「えっ!?そんな事!?」


「そんな事って…僕にとっては長年悩みの種だったんだからね!」


「でも…周りにもそんな奴沢山いるよ?」


「男には意地が有るの!付き合ってる人の前ではカッコ悪い所は見せたくないの!」


そう言われれば日風の勃起している所しか見た事が無かった


大体セックスする時はバックが多かったなあと思い出していた


「そんなもんかなあ…俺はもうニチカにはカッコ悪い所ばっか見せてるけど…やっぱりニチカは馬鹿にしたりしないって信頼してるしニチカになら曝け出して素の自分を見せられるなって思うから…甘えてるだけかも知れないけど…」


「そっか…シンヤのそう言う素直な所、良いよね…」


「まあ…ニチカのソレは自分にとって大きな悩みでも他の人にとっては取るに足りない…って事だね」


「僕の長年の悩みとトラウマは何だったんだ…アホらし」


「あはは」


日風も脱力して隣に座り込んだ


「しかし…何で僕が別れ話を言うと思ったのよ…仲良くやってると思ってたけど。僕の勘違い?」


俺は慌てて首をブンブン振った


「だって何か…俺情け無い奴だし、いつ愛想つかされてもおかしくないし…そろそろニチカも目が覚めるんじゃ無いかって…」


「僕は夢遊病でも無いし別に夢を見ながら生活してないけど?」


「あと…コウと別れた時と…似てる感じがしたから…」


「あんなのと一緒にしないでくれる?元カレと初対面の僕をインくんとマワす様なドクズじゃん」


「あはは、コウは何だかんだで頼まれると断れない根はいい奴なんだよ…多分インに無理矢理言いくるめられたんだろうなあ…」


「ふうん。良く知ってるんだね。結局やってる事はダッサイけどね」


「俺は…ニチカのカッコ悪い所も全部見たいけどな…」


「まあ…それは追々…多分すぐボロが出るでしょ…僕『そんな事』で悩んでる様なガキだし…」


「それで良いじゃない…大人は自分の弱い所にも目を逸らさず認めて向き合うものだよ?」


「そうだね…シンヤともそう言う関係で居たいし…もう家も出るしね。生活費は出世払いでお願いします…将来医者になって利子をつけてお返ししますんで…」


「うん…まあ…それは良いんだけど…そっか…そうだね。でも…急に家を出るとなるとお母さん達は寂しがらない?まだ学生だし…」


「まあ、これでやっと気兼ねなく2人きりで過ごせるんじゃない?親孝行な僕、偉い」


「気兼ねなく?」



「あと…インくんに…シンヤとはもうセックスしないでって言っちゃった…」


「うん…いいよ。でも…本当に俺で良いの?歳だって…ニチカはまだ若いしこれから良い出会いも有るかも知れないよ?」


「相手が…男だろうが、先生だろうが、20歳上だろうが、良い歳してウジウジ悩んでようが、竿兄弟だろうが、どマゾ変態だろうが、例え血が繋がってたとしても…シンヤが良い」


「何か…かなり弄られてる気がするけど…もはや悪口…しかも最後のは不穏で聞き捨てならない気もしたけど…」


「最後のは例えばの話。周りにそう言う人達が居たから…シンヤは些細な事を気にするちっさいオッサンだね」


「益々なんだか不穏な事を…からのやはり悪口…」


「それだけシンヤが可愛いって事だよ」


そう言って日風はキスをした


変な所で見栄っ張りで素直じゃない天邪鬼な日風も十分可愛いけど…





と思ったけどそれを言うと臍を曲げそうだったので言葉に出さなかった


2人は何とか収まった様です


河口さんは何処でこの話を知ったのでしょう?

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