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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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アン・イン・ストール

「 お父さん!大変です!」


「どうした眞事、こんな夜更けに」


「お父さんの…大切な子供が…部屋を抜け出して…」


「何!?どう言う事だ!?」


深夜、自室のベッドで休んでいた云足の元に駆け込んだ


云足は飛び起きた


「僕が…病院で受け持っている患者の母親を殺害した疑いをかけられてしまって…警察が家宅捜査にもうすぐこの家と病院にもやって来ます…」


「そうだったな…お前から連絡が来て急いで地下施設の人間は外に出したぞ?私の研究室の方も粗方隠し部屋に収納したぞ?」


「はい…それで…お父さんの研究室に居る子供達が…」


「だから、どうしたんだ!?」


「隠された場所が狭くて暗くて怖いと騒いで…抜け出した子がいるみたいです…」


「何処に!?」


「どうやら病院の屋上に…」


「そんな危ない場所に!見つかったら大変だ!」


「連れ戻しに行きましょう!」


そう言って云足と病院に向かい屋上へ行った




「いました、あそこ…」


「どうしてそんな危ない所に…」


屋上のフェンスの向こう側、建物の端のギリギリにそれは有った


「こっちにおいで…良い子だから…」


云足はソレに必死に語りかけていた


「僕が近づいて説得してみます」


「怖がらせない様にな、まだ小さい子供だから…」


「はい」


そう言ってフェンスを超えてソレに近付いた


「お父さん!大変です!」


「どうした眞事!」


「違う子が…飛び降りてます…」


「何!?」


云足もフェンスを超えてこちらに来た


「アレを…」


屋上から地上を指差した


地面に筒状のガラスの器が割れて中の液体と中身が飛び散っている姿が暗闇の中、病院の敷地に設置されている外燈の光に照らされてぼんやり浮かび上がっていた


「あぁっ!神の子が!自殺など許されない…」


云足はソレに向かって手を伸ばした


「お父さん…まだ生きているかも知れません…助けに行かないと…」


「あぁ…早く…処置して…あげないと…」



そう言って云足が一歩前に踏み出して…





そのまま3階の屋上から落下した



「お爺ちゃんは…神じゃなくてただの人間だから…自殺しても許されるんだよ?」





韻は落下した云足に向かってそう呟いた





○○○○○○○○○○





「結局僕が危ない事やらされてるし…屋上のあんなギリギリの場所で…お爺ちゃんに捕まれてたら僕も一緒に落ちてたじゃん」


「アンタは一回落下して頭を強打でもしたらマトモになるかもね」


「むう…杏は安全な場所から高みの見物で…ズルい!」


「何言ってんの…ここまで長年誰がお膳立てしたと思ってんのよ…1番危険な事してたのは私よ」


「隠し事が得意な腹黒杏には大した事ないでしょ」


「よく言うわ…何でもマユにベラベラ喋る様なアンタじゃ絶対出来ないって言い切れるわ」


「むう!」


「まあこんな時につまらない事言い争ってても仕方ないからさっさと片づけるわよ」


「でも…どうすんのアレ…」


地面に落ちた云足を指差しながら韻は聞いた


「まあ放置は出来ないから…色々片付けて朝になったら救急に連絡するわよ」


「はーい」


そう言って屋上の端に置いてあった奇形の子供の入った容器を韻から受け取り抱えた




云足が落下した近くに割れて散らばっていた容器のガラスの破片やゴム製の手袋を膨らませて幾つか手袋を絡めて丸めて作ったモノを回収し綺麗に片付けた


「まあ、入ってた中身はただの水だけだから…その内乾くでしょ」


「ぅ…」


「ねえ、まだ生きてるみたいだよ?」


「まあ地面は土だしこの間雨も降ったからまだ少し柔らかかったんでしょ」


「やっぱり遺伝子の浄化の過程で勝ち残って来ただけの事はあって強運だね。面倒だから殺しとく?」


「馬鹿ね、そうなるとアンタの所で解剖して調べる事になるでしょうが」


「大丈夫だよ。僕が解剖して上手く誤魔化してあげるよ」


「アンタにそんな腹芸は無理ね。どうせすぐボロが出るだろうしアンタの所に行く前に検死で警察に調べられて色々証拠が出るでしょうね」


「むう!」


「まあ、このままほっといて運を天に任せてあげましょ。神に選ばれた人間なら生き残れるんじゃない?まあ死んだ方がこの先幸せかも知れないけど」


「やっぱり杏は腹黒だ」



その後云足の部屋に行き、引き出しに薬の入った薬袋を置いた


「中身は何?」


「まあベンゾジアゼピン系睡眠薬と抗精神病薬よ。別に違法で危険な薬じゃないわ。飲み続けると認知症を誘発させる恐れがあるってだけで」


「十分危険じゃん」


「まあ普段から叔父さんには近い物を大学卒業してからコーヒーに混ぜて少しずつ飲ませてたし。体内から検出されても大丈夫よ」


「そんなんでよくテルヒを出産出来たね」


照陽の出産は云足が取り上げていた


「その時には一時服用させるのをちゃんとやめたわよ?手元が狂われたら大変だから。まあ良い実験にもなったわ。あの薬はどれ位の量、期間で症状が現れて来るか…」


「やっぱり腹黒だ」


「お褒めに預かり恐悦至極です」


「褒めてないからね。どうせそんな危ない薬は田所から入手したんでしょ?」


「直接じゃないわ。田所に取り入って入手ルートを教えて貰ったのよ」


「やっぱり腹黒だ」


「利用された者は利用しないと。やられっ放しは性に合わないのよ。ちゃんと対価は貰わないとね」


「でも、こんな夜中に抜け出してトモハルにバレない?」


「まあ今はお薬でテルヒと仲良く眠ってるから朝まで目が覚めないでしょ。インの方こそどうなのよ。この事もマユに馬鹿正直に報告してる訳?」


「それは流石に出来ないから睡眠薬をココアに混ぜて飲ませて寝てる」


「一応分別は有ったのね」


「相手が大切な人なら、心配させる事とか余計な事は言わずに悩まず幸せで居て欲しい…なんでしょ?」


「まあね。そうよ」


「今回はお互いの利害が一致したから手を組んだけど…次は無いからね!」


「それはこっちのセリフ。まあ最初で最後のアンとインの初めての共同作業って奴ね」


「それって結婚式でケーキにナイフ入れる時の奴じゃん!うぇっ」



「さあ、グズグズしてないでさっさと立ち去るわよ」


「はいはーい」


韻はマコトの口真似で返事した







「これでこの病院から…八神云足を…アンインストール完了…かな」


「アンとインだけに?つまんな…」



そう答えた韻の頭を杏はバシッと叩いた


遂に決行した様です


ここまで長かった…


云足はどうなるんでしょうね?


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