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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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81/91

義務と義理と目標と

「それでは新郎新婦のご入場です!拍手でお迎え下さい」


パチパチパチ…


私と友晴は一礼して入場した



初期臨床研修を終えて今年から産婦人科の専門研修が始まっていた


照陽も年明けには3歳になるので少し落ち着いて来たのと、私が20代最後なのでこのタイミングで式を挙げる事にした


場所はホテルの会場で行った


友晴の親の警察関係者や仕事先の弁護士関係者も多数参列してくれていた


私の方も宮乃を始め云足や病院関係者が参列していたがマコトは流石にこの場には呼べなかった


照陽は友晴の両親の側で大人しくお利口にしていた


韻と麻由も来てくれていた

この披露宴で韻の事だけが心配だったが隣に麻由が居てくれたお陰で何かやらかす事もなく無事終えた


韻は最後には警察関係者と挨拶していて名刺を貰ったりしていた


監察医になるならこの先警察とも関わって行くだろうし、そう言う大人の付き合いも出来る様になったらしい



「お疲れ様…」


「友晴もね…」


家に着いて漸く張り詰めていた気持ちが解れた


「本当はインみたいな楽しい式にしたかったけどね…何か俺の為みたいな感じになってゴメンな」


「まあ、仕方ないよ。ひとまず無事終えられて良かった」


一応籍を入れてから子供は作ったが既に子供もいる事とマコトの件も有り、ヘマをしない様に色々気を遣っていた



「杏さんは医師になるんですってね…やはり今時は内助の功と言うより女性も活躍する時代ですものね」


「行く行くは病院を継がれるそうで…友晴さんも警察官僚にならなくても安心してお好きな仕事が出来ますね!」


などと友晴の親類から遠回しに嫌味も言われた


やはり友晴が警察にならなかった事に不満はあるのだろう

弁護士も立派な仕事だと思うが…


「アンに嫌な思いさせたと思うけど…これからは俺達の人生だから…アンは自分の思う通りにして良いんだよ?」


そう言って友晴は私を後ろから抱きしめた


「うん…有難う…やっぱり友晴と結婚して良かった…」


「本当?」





「私は自分の意思で選択して自由に生きてるよ?今もこれからも…」


そう呟いた






○○○○○○○○○○





「今日は」


「やあ、アンとテルヒ!いらっしゃい」


休日照陽を連れてマコトの所に会いに行った


「結婚式凄かったね」


「まあ…あれはトモハルの親の為って感じかな」


撮影していた映像はマコトにも見て貰っていた


「これでアンもインも僕から無事巣立って行ったなって改めて実感したよ」


「もうっ!そんな寂しい事言わないで!マコトはこの先もずっと私とインの親なんだからね!」


「あはは、勿論そうだよ」


「そう言えば…カイは来年から戻って来るんだっけ?」


「うん。中学からはここから通う事にしたよ。結局僕の通った学校になりそうだけどね」


「そっか、じゃあ私達の後輩だなあ」


「そうだね、アキラの子も通ってるから仲良くなってくれると良いなあ」


「ふふ、そうなると親子二代で友達だね」


「そうだね…」


「この子とも仲良くしてもらわなきゃ…」


「そうだね…アンにとってはカイとテルヒは自分の子供のきょうだいだもんね」


「そうだよ」


マコトにとってもだけどね…


櫂には照陽が産まれてからなるべく照陽と会わせるようにしていた


櫂が生活する全寮制の学校は男子校で周りに先生以外に女性が居ないせいか私の事にも良く懐いていた

照陽の事も可愛がってくれるマコトに似た優しい子だった



「カイはもう精通した?」


「うん、去年夏休みに帰って来てた時に…あの秘密基地で…」


「そっか!じゃあ次は女がどうすれば感じるか勉強しないとね!」


「まあ…そうだよね」


「じゃあ今年の夏休みは私が秘密基地に連れて行くね!」


「えっ!でも…」


「八神家の伝統なんだから!私の子でも有るし。私が教えてあげなくちゃ」


「まあ…そうだよね…」


「じゃあ決まりね!」


「でも…トモハルくんは大丈夫?」


「うん!トモハルも忙しいし…普段家を出て1人で頑張ってる親戚の子を祖母の家に気晴らしに連れて行ってあげるって言ってオーケーしてくれたよ!」


「そうなんだ…」


「トモハルも私が居ないとテルヒを独り占め出来るから嬉しいんじゃないかな?快く了承してくれたから」


「そっか…」


「大丈夫!カイもこの先好きな人が出来た時に必要な事でしょ?私にも好きな人が居るし。これは勉強なんだよ?」


「そうだよね…」


「じゃあ私はそろそろ…叔父さんにも会って行くね」


「うん、またね」




マコトの所から立ち去って云足の所に向かった





「叔父さん、先日はお忙しい中有難うございました」


「いや、立派な式だったよ」


「今年は、カイを連れて祖母の所で勉強させます」


「そうか、宜しく頼む」


「行く行くは…テルヒと子供を作らせるつもりですが…テルヒが初潮を迎えるのはまだ先です」


「そうだな…」


「カイも精通した様なので、それまでの間は保存してある卵子にカイの精子も使えると思いますが?」


「そうだな…来年には帰ってくるからまたいずれ試してみるかな」


「そうですね。どんな子が出来るか楽しみですね」


「ああ…」


「叔父さん、お疲れですか?」


「そうだな…一時期落ち着いて居たんだが…また最近な…」


「産婦人科のお仕事も大変ですからね、コーヒー淹れてきますね」


「ああ、有難う…」


そう言ってキッチンへ行ってコーヒーを淹れた




「はい、どうぞ…」


「有難う…」






「では、また来週病院のお手伝いに来ますね」


杏…やってんな色々…

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