目指す道
年が明けて麻由は大学院に見事合格し、春休みとなった
「マユー!」
やっと麻由とゆっくり会えた
お爺ちゃんが留守にする日に麻由を招いた
多分お爺ちゃんは気にしないと思うけど…
家に居ると麻由が恥ずかしがって嫌がるので麻由の嫌がる事はしない!
「よしよし、クリスマスはゴメンね。私も無事合格したし今日はゆっくりしてくから」
そう言って抱きついた僕の頭を撫でてくれた
「今日はずっと離さないから」
「仕方ないわね…今日だけよ?クリスマスの穴埋めもしなきゃだしね…」
「やったあ!マユの合格祝いだね!」
「何か私の合格祝いの意味とは…取り敢えず食事は確保されてるのよね?」
「うん!」
「まあそれなら私の足腰は今日は諦めるか…」
「じゃあさっさとご飯食べよ!」
「さっさと…もうムードもへったくれも無いな…ヤる気満々で恐ろしい…まあここのご飯美味しいから唯一の救いね…」
「うう…」
「大丈夫!?マユ!」
朝になって隣で寝ていた麻由が呻いていた
「足腰が…久々に食らった…起き上がれない…」
「ずっとセックス出来なくて朝方までやっちゃったから…大丈夫!?ゆっくり寝てて!僕がお世話してあげる!」
「それは…拒否する…でも」
「何?」
「インはどちらかと言うと小柄で華奢なのに…何処にその体力が有るのか…未だに謎だわ」
「うーん、分かんない。天から授かった選ばれし者の持って生まれた能力?」
「何か…伝説の勇者みたいなプロフィールを…宝珠的な物でも握って光り輝きながら生まれて来たのか…」
「それは無いけど…このままじゃマユの身体が心配だなあ」
「それ今気付いたのか…もっと早くに気付け…」
「ねえ、マユと出来ない時…男とだったらセックスしても良い?」
「えっ!?」
「マユは沢山の女の子とセックスするのは嫌なんだよね?」
「そりゃそうでしょ」
「マユは男同士がセックスするのは好きだよね?」
「BLな!」
「ただの遊び相手で男なら良い?」
「うーん…それは浮気になるんだろうか…」
「浮気じゃないよ?友達だよ?セックスする」
「セフレかよ…澱み無く真っ直ぐにどクズ発言をしている…しかしこのままだと私の身体が持たん…」
「ちゃんと誰とセックスしたか内容を報告するよ!」
「くう…私の弱い所を突いてくる悪魔の囁きが…」
「マユ…好きだよね?ぼーいずらぶ…」
「ぬあっ…ぬう…好きです…今も昔もこの先も…」
「じゃあ決まりね!」
「仕方ない…私の足腰…背に腹はかえられぬ…」
「大丈夫!らぶは無いから!遊んでる友達!」
「最後まで発言も内容もどクズだった…」
「大好きなのはマユだけ…今も昔もこの先も…」
そう言って麻由にキスをした
「ちゃんと…詳細を報告するように…」
こうして麻由に男とならセックスをしても良いと言うお許しを貰った
麻由もセックス話に喜んで貰えるし僕天才!
○○○○○○○○○○
「あっ!トモハル!?」
「イン、久々だなあ」
トモハルがうちの病院に来ていた
「どうしたの?卒業してアンを妊娠させた?」
「ははは、まだしてないよ。俺は合格して大学院に行く事になったよ。アンから聞いてないか?」
「うん。聞いてない」
「相変わらず…お前とアンはそんな感じなんだなあ」
「まあね。じゃあ今日はどうしたの?」
「うーん、ここじゃ何だから…お前の部屋に行って良いか?」
「うん!」
そう言って友晴は僕の部屋に来た
「相変わらず何も無いって思ったけど…これどうしたんだ?」
電子ピアノを指差して友晴が尋ねた
「マユとね!演奏するんだあ」
「岩見さんって…確か音大行ってたっけ?ピアノ弾くんだなあ」
「そうだよ!すっごく上手いんだから!」
「へえ…多分周りはピアノ弾くなんて誰も知らなかったから…よっぽどお前を信頼してるんだろうなあ」
「えへへ、そうだよ!」
その言葉にちょっと嬉しくなった
「岩見さんはこの春卒業か?」
「ううん。マユも大学院に行くよ」
「じゃあ俺達卒業は皆同じだな」
「そうだね!」
「卒業したら…インは岩見さんと?」
「うん!結婚する約束してるよ!トモハルもだよね?」
「うん。そのつもり。その為にも…」
「?」
「お前のお父さん、マコトさんの再審請求をして貰うように八神院長にお願いに来たんだ」
「再審請求?」
「殺人の方の裁判をやり直して貰うんだよ。マコトさんは死亡してるから親などの直系親族じゃないと再審請求出来ない…」
「ふむ」
「再審してもらうにはそれなりの証拠も必要だ。その点は色々準備してる」
「準備?」
「まず、遺体の写真からよく調べてみると首の後ろに小さな注射痕が見つかった」
「へえ!」
「最初からもっと検視官が詳しく調べてくれてれば良かったんだけど…被害者の娘の供述や状況から判断されてしまった」
「検視官…」
「あと…田所って男…マコトさんの同僚だった人、知ってるか?」
「腹立つ位知ってる!」
「その男がな…街頭の監視カメラに殺害されたであろう時間帯にマコトさんが着く前に現場の家に入る所が映っていた」
「そうなの!?」
「ああ、田所は今別件でマークされてる。違法薬物を入手して…殺害をしている疑いがある」
「そうなんだ…」
杏が田所から渡された薬物だろう
アレを使って殺人してるんだ…
前に頼んだマトリの人が捜査してくれてるんだろう
「近い内に田所は逮捕される。そこで殺害の供述をさせられればマコトさんはこの件は無罪だ」
「そっか!」
「被害者の娘の供述もあやふやな部分も多いから…八神院長が優秀な弁護士をつけてくれるらしいから多分覆せると思う」
「良かった!トモハルも色々受験で大変だったのに…調べてくれたり有難う!」
「まあ…警察のツテは俺には有るしアンの願いだから…あと俺の為でも有るかな」
「そうなの?」
「うん、何とかこれで俺の家族から結婚を反対されないようにってね」
「成る程…」
「一応俺の家族は警察だから…結婚相手の親類に凶悪犯がいるとなると色々難しいんだよ」
「そっか…ねえ」
「何だ?」
「検視官って僕なれる?医師免許取れたら」
「うーん、実際そう言う資格とかは無いんだよ。医師免許も必要無い。10年以上の刑事としての実績と、警察大学校で法医学を修めた警部か警視以上の階級をもっているのが必要なんだ」
「刑事…」
「お前に刑事は無理だろう?身体つきもそんなだし…柔道も一緒にやらなかったしな」
「むう…じゃあトモハルならなれる?警察なるんだよね?」
「俺は警察にはならない。弁護士を目指してる。だから大学院に行ったし司法試験も受ける。お前のお父さんみたいな無実の人を助ける仕事がしたい」
「そうなんだ…」
「でも…お前は医師免許取るなら…検視官は無理でも監察医ならどうだ?死因を解明するため「行政解剖」するから検視官に近いんじゃないか?」
「成る程…」
「アンもお前もこの件で随分悔しい思いをしたんだろう?そう言った人達を助ける事ができるんじゃないか?医者として」
「そっか…そうだよね!」
今までどの科の医者にもなれないかもと思っていたけど友晴の言葉で目指す道が見えて来た
前半のゲスい韻の話から後半は友晴に救われたお話です
いよいよ田所は…?




