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晏陰  作者: 水嶋
2人の行き着く先

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卒業と言う名の壁

今年の夏休みは友晴の大学院への受験も有り花火を見に行くのは取りやめた


一応今の大学での院を希望はしているが枠も狭いので他大学も受験するらしい


そろそろ友晴にも田所について相談しようかとも思っていたが余計な心配をかけるのも勉強の妨げになるだろうとこの件は友晴が無事合格してからと見送った


あともう少し…

物的証拠…

決定的な薬物を田所から入手してから…


原田教授との会話の録音も有る

余計な部分…マコトの所は抜いてそれも聞かせよう


そう考えた




「そう言えば…アンちゃんのお相手の彼は来年春卒業かな?」


「いえ…大学院に行く事にした様です」



マコトの所へ訪れた帰りの田所と話をしていた



「そうなんだ…警察官僚になるのに進学は必要なのかな?」


「トモハルは…警察にはならないみたいですよ。司法試験を受ける為に頑張ってますね」


「へえ…それってやっぱり八神先生の事件の影響かな?」


「まあ、そうですね。トモハルは警察になると私と結婚出来ないからと考えてるみたいですよ」


「それは悪い事をしたなあ…僕にも多少責任が有るね」


多少どころか大有りだが


「まあそうですね。でもトモハルはそれ程警察になりたかった訳では無い様ですけど…」


「そうなんだ、それを聞いて少し安心したよ。これ以上人の夢を壊す事はしたく無いからね」


「そうですか、まあマコトは新たに目標に向かって歩き直してますから。過ぎた事にはそれ程拘っては無いと思いますよ?」


「そうだね、八神先生も諦めて現状を受け入れる性格だからね。その点は僕と似てるかな」


「へえ、そうなんですね…」


田所に諦める事なんて有るのだろうか?

些か疑問に思った


「アンちゃんはどうなんだろうね?」


「まあ…トモハルの家族に反対されたら…結婚は諦めると思いますね」


「そうなんだね、でもトモハルくんはアンちゃんと結婚する為に頑張ってるんだろう?」


「まあ…そうですけど…」


「アンちゃんはそれ程トモハルくんの事が好きでは無いのかな?」


「いいえ?私はトモハル以外の人とはこの先結婚もお付き合いもする気はないですよ?」


「そうなんだ」


「でも…結婚となると、お互い好きだって事だけでは出来ないですから…家族に反対されたまま無理矢理結婚してもこの先の長い人生あらゆる場面でお互い辛く結局不幸になる事になると思いますね」


「成る程ね…やっぱりアンちゃんは先を見据えていて冷静だね。でもね安心して?」


「何をですか?」


「トモハルくんのお爺さん…杉田警視長とは個人的に面識があるから」


「えっ!?」


「何とか話をつけてあげるよ。八神先生を陥れた罪滅ぼしにね…」


「でも…そんな事が出来るんですか?」


「まあ…杉田警視長も僕に恩義があるからね…」


どう言う事だろう

トモハルのお爺さんに頼まれて誰か始末でもしたのだろうか…

それとも何か弱みでも握っているのかも知れない


「まあここだけの話、杉田警視長は高木組って反社と繋がりが有るんだよ?」


「えっ!?」


「まあ詳しくは言えないけど…お互い脛に傷持つ身だからね…アンちゃんの事は何とか説得してあげるよ」


「そうですか…」


「アンちゃんは僕の大切な友人の八神先生の娘で優秀な教え子だからね」


「有難うございます…」


「アンちゃんは独り立ち出来ると思うよ?もう僕から教わる事は無いと判断したよ」


「そうですか」


どう言う事だろうか…

まだ具体的な殺害方法など何も教わってはいないが…


「これは卒業記念だよ」


そう言って何かの薬品が入ったアンプルを渡して来た


「飲食物に混ぜるのはオススメしないからね。味でバレるから飲み込む前に吐き出される可能性が高いね」


「そうなんですね…」


「まあ注射が妥当かな?アンちゃんは実習でやってるよね?」


「はい…」


「これはね…八神先生の事件の時にも使った物だよ」


「そうなんですね」


「眠る様に…苦しまずに穏やかに逝ける物だね。暴れたりしないから便利だよ」


「そうですか…」


「勿論体内から数時間で消えるから証拠は残らないよ」


「成る程…」


「支配を決行する前は事前に様々な結果を仮定して準備しておくんだよ?」


「はい…分かってます…」


「まあアンちゃんならいちいち忠告は必要ないかな?隠し事は得意だろうしね」


「そうですか…」


「今度薬が必要な時の為に入手ルートを教えてあげるよ」


「有難うございます、宜しくお願いします」


「まあ、言っちゃえばそのルートは高木組に繋がるんだけどね…トモハルくんのお爺さんとも懇意にしてるね…まあいずれアンちゃんは杉田警視長と親族になるだろうから大丈夫だね」


「そうですか…」


「それじゃあね」


「はい…」





漸く田所から恐らく殺害に使っているであろう薬品を入手した


しかし…


これは警察に…友晴には相談出来ない…

友晴はこの事実は知らないだろう


思っている事が顔にすぐ出るような…隠し事が上手く出来ない、正義感の強い友晴が知らないフリは出来ない筈だ


結局高木組に繋がっている


告発した所で多分もみ消されるだろう


その事を敢えて匂わせ、忠告する様な田所の発言にも思えた


ここに来て最後は壁に行き止まりになってしまった様な気持ちになっていた



どうしたものか…



と渡されたアンプルを握りしめて思案していた


やっぱりと言うか何と言うか、田所と友晴のお爺さんは繋がりが有る様です


折角結婚の説得をしてくれると言う申し出にもその事には殆ど反応無しの杏よ…


とりあえず友晴は勉強頑張れ…


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