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晏陰  作者: 水嶋
2人の行き着く先

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59/88

危ない聞き取り調査

「絵梨花ちゃんは最近漸く落ち着いて来たよ」


「そうですか…」


「八神先生が居なくなってずっと取り乱していたからね…」


「あの子は…僕によく懐いてくれていたから…お別れも言えずにあんな別れ方になってしまって気掛かりでした」


「今は大学4年生だよ。看護師になりたいそうだよ?やっぱり八神先生の影響かな?」


「そうですか…麻里奈ちゃんの1つ上だったから…」


「麻里奈ちゃんも今は大学3年生で今は僕のカウンセリングも卒業して元気にしてるみたいだよ」


「そうですか…良かった」


「あの子の心配もしてあげられる八神先生は…やっぱり優しいですね」


「まあ…僕の患者でしたからね…」


「またいずれ医者に復帰するんですよね?」


「そうですね、僕も今3年生なんで…同学年ですね」


「お互い新たなスタートをして頑張ってますね」


「まあ…そうですね」



「それじゃあ僕はこの辺で…また来ますね」


「はい」




マコトに会いに来ていた田所を部屋の外で待っていた


「こんにちは、田所さん」


「やあ、アンちゃん」


挨拶して近況を雑談しながら外に出た


「アンちゃんはいつ頃決行する予定なのかな?」


「今すぐ…ではないですね。インもマコトもまだ在学中で事を荒立てたくないですから…時期を見て…2人が卒業して落ち着いたらですね」


「成る程ね。冷静な判断だね」


「田所先生にとっての『支配』は相手とセックスをして得られる物なんですか?」


「それだけでは無いね。厳密に言えば少し違うかな…自分の手にかけた人形に『正義』をぶち込むんだよ…」


「正義…」


「どうするか知りたい?」


「そうですね…」


人形…

手にかけた、と言う事は殺害した人間の事だろう


「アンちゃんは八神先生に似てるけど…より精製された純水だね」


「純水?」


「アンちゃんは沸き立つ様な感情…怒りとか憎しみとか悲しみとか心から愛するとか…そう言ったものは起こるのかな?」


「うーん…全く無いわけでは無いと思いますが…物語に出てくる様なそう言う激情的な物は経験無いですね」


「その点インくんは分かりやすいよね」


「まあアレは…考えるより先に行動するタイプですね」


「ははは、確かに。感情が豊かで子供っぽくて無邪気で素直、八神先生のそう言った部分を抜き出して色濃くさせた感じだね」


「まあ…アレほど酷くは無いですが…マコトに通づる部分はあるかも知れないですね」


「アンちゃんは八神先生の持つ別の…人の意見に耳を傾けられて思慮深く冷静で取り乱さない、全てを受け入れる所を受け継いだのかな」


「そうですか…」


「もしかしたら八神先生のお姉さんの部分も引き継いでるかも知れないけど…やはり激情的な部分は削ぎ落とされてる感じがするね」


「まあ…私は自殺なんて愚かな考えはしないですね」


「自殺はしないだろうけど、やっぱりそう言った部分もインくんが引き継いでるんだろうね」


「確かに…人目を憚らずマユに猛攻してるのはマコトと言うより御月に近いかも知れないですね」


「ははは、そうなんだね。何だか様子が目に浮かぶな。まあ僕にはそう言った感情は無いから少し羨ましいけど…」


「そうですか…」


私はちっとも羨ましいとは思わないが…


「アンちゃんは八神先生とお姉さんのそう言った感情がより削ぎ落とされてるんだろうね」


「そうなんですね…」


「遺伝子の浄化…新たなステージの人間にとっては必要の無い部分だと遺伝子に判断されたんだろうね」


「そうなのかも…知れないですね」


「八神先生は愛すると言う感情を知りたいと思っていた様だけど…アンちゃんにはそう言う感情は有るのかな?」


「マコトは私とインに愛する人を見つけて欲しいと言っていましたが…私もインも見つけられていると思いますよ?」


「成る程…そうなんだね」


「田所先生には誰か愛する人は居ないんですか?」


「僕にはそう言った感情は無いね。まあその点で言えば八神先生と僕とアンちゃんは似てるのかも知れないね」


「私には愛する人が居ますよ?」


「そうだったね」


「その事と『支配』する事は何か関係があるんでしょうか?」


「まあ、無きにしも非ず…アンちゃんの判断力を知りたかったからね」


「そうですか…」


私は何かテストでもされているのだろうか


「支配されている相手を『支配』するにはどんな状況でも感情で取り乱さない冷静さと相手を分析する判断力、不測の事態を想定した準備が出来る思慮深さが必要だからね」


「そうですか…」


殺害に必要なのは目の前で自分の手で人が死ぬ事に取り乱さない冷静さと相手の行動パターンなどを把握する判断力と隠蔽の手立てを準備する思慮深さが必要なんだろう



「後は…『支配』で得られる充足感…従属させる欲望…かな」


「従属させる欲望…」


「アンちゃんにはそれはあるのかな?」


「それは…有りますね」


「成る程ね。誰に…とは敢えては尋ねないよ」


「そうですか」


「恐らくアンちゃんの『支配』が決行されたらその望みは叶うんだろうね。いいよ、手助けしてあげる。約束だからね」


「有難うございます」


「それじゃあまたね」


「はい」



そう言って田所は立ち去った





今回は何だか田所に問診の様な、カウンセリングをされた様な形で終わった


麻里奈やマコトの時と違って中々勿体ぶらせる田所ですね


アンにあの場面は見せるのかな?

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