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晏陰  作者: 水嶋
2人の行き着く先

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55/90

上手な付き合い

3年生もあっという間に過ぎて行った


この4月には4年生となるが医学部なのでまだ就活なども無くやっと折り返しに来たと言う感じだった


今は春休みとなり長い春休みをゆっくり過ごしていた


夏休みには例年通り友晴と花火を見に行き、クリスマスも一緒に過ごした


一昨年、2年生の花火の日に結婚を申し込まれ、マコトの事件について話したがあれからその事について触れる事は無かった


友晴は先ずは大学院に進んで司法試験に合格する事に焦点を当てたようだ

そこから親を説得するらしい


まだお互い学生生活も半分の時点で求婚は早いのではと思っていたのだが…



「アンが…昔好きな人が居るって言ってた人って…神谷さんだろう?」


「えっ!?うん…まあ…」


大まかには間違ってはいない

本当は中身のマコトだが…

やはり私の態度で分かるのだろうか…


「何か…同じ大学に通い出して…アンの気持ちが神谷さんに傾くんじゃ無いかって焦って不安になって…急ぎ過ぎたとは思ってる…ゴメンな」


神谷…マコトは遠縁の親戚でシングルファーザーとなって一時諦めていた医学の道を大人になって子供も落ち着いてきたので勉強を再開して医学部に入学したと説明している



「ううん。トモハルが好きって言う私の気持ちは変わらないから。でも…まだトモハルの家族に私の事言えてないんじゃ無いの?」


「うん…でも絶対何とかするから」



交際している人がいる事は家族に伝えているらしいが、まだ私の事を詳細には伝えていないと話していた


私は胸を張って家族に紹介出来る人物じゃ無いんだな…

幾ら本人にやましい事が無くても世の中はそう言うものなんだろう…



『人生なんてそんなものよ。どうにもならない事も多い。諦めて受け入れて上手く付き合っていくのよ』



以前宮乃が私に言った言葉を思い出していた


友晴との事もマコトとの事も…


諦めて受け入れて上手く付き合う…




私は上手く付き合えていると思う





○○○○○○○○○○





「じゃあコレが例の奴ね」


「有難うございます」


田所から薬を受け取った


「まあ効果は…実証済みかな?」


「はい、あの時は本当に助かりました」


「またコレ使う事あるの?」


「まあ…インが騒いだりグズった時には…」


「まあそれ程人体に危険なものじゃないけど…程々にね。お酒に混ぜたりしたらダメだよ?」


「はい。味とか匂いとか強いですか?」


「ほぼ無いから多分気付かれないかな」


「そうですか…分かりました」


「用法容量を守って正しく使ってね。まあ人にこっそり使う時点で正しくってのもおかしな話だけど」


「はい、有難うございます」


「じゃあね」



今回は田所に韻がお葬式で盛られた睡眠薬を譲って貰った


正直韻にはこんなもの盛らなくても酒を飲ませれば一発で効くと思うが…


何かで使い道があるかも知れない


そしてこの薬の出処は果たして田所の働く病院なのか…


そうで無い場合、殺害に使ってる薬の入手経路を探る手がかりにもなるかも知れない


成分も調べてその辺りも探ってみる事にしていた


そう言った危険薬物や劇薬は普通の入手経路、ましてや病院などでは管理も厳しいのでいくら末期患者の緩和ケア用の違法でない物だとしても個人的には手に入らない筈だ


恐らく反社…辺りとも繋がりがあるのかも知れない


そうなった場合は友晴にも相談して友晴の家族にも協力して貰おう…

そう考えていた




「フォウの様子はどう?」


「今の所順調だよ」


田所と外で話した後また地下施設に戻ってマコトと話していた


「来年には産まれるかな」


「そうだね、今回は女の子だってね?」


「そうだよ。今の所身体に異常は無さそうだけど…」


「NIPTで染色体異常が見つかったんだっけ」


「そうだね…恐らくは地下施設から出られない子になるだろうね」


「まあ…そうなってもマコトがずっと診てあげるんでしょ?」


「そうだね、ちゃんと治療して可愛がってあげるから大丈夫だよ」


「そうだね…」


今はフォウのお腹にマコトの精子と保存してあった御月の卵子で受精させた子供がいる


フォウとドライを交互に、来年にはドライに妊娠させる予定らしい


云足は高齢になってきたので種元は今は主にマコトになっている


櫂が大きくなって精通したら櫂にもその役が回って来るのだろう


今はフォウは44歳、ドライは28歳となっていた

そろそろ次の器の準備も必要だろう

生まれてくる子にその役が引き継がれるのだろう



私は現段階では卵子の提供は断っている


私は保存してある御月と宮乃の物が無くなったら…そう告げている


云足は既に櫂も生まれているので特に異論は無かった


マコトは…



「アンはちゃんと本当に好きな人との子供を作れば良いんだよ。八神家の使命に囚われずにね」



そう言って私の頭を優しく撫でてくれた



『僕はアンには使命に縛られずに自分の意思で選択して自由に生きて欲しいと思うな』



「私は自分の意思で選択して自由に生きてるよ?今もこれからも…」



「そうだね…」



マコトに抱きついてマコトに言われた言葉を思い出しながらそう呟やいていた


名探偵杏が誕生か?


杏は何を思っているのか…

色々不穏ですね

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