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晏陰  作者: 水嶋
2人の行き着く先

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20歳の約束

「わあ!何コレ!?」


「これはインが生まれた年に作られたワインだよ」


「へえ!ワイン?」


「葡萄を発酵、熟成させた醸造酒だよ」


マコトが僕の誕生祝いを地下施設で開いてくれた


今年は20歳になったのでお祝いにお酒を用意してくれた


20歳になったら大人だから飲んでも良いんだよって教えてくれた


僕はお酒を飲んだ事が無かったのでワクワクしていた


何故かオマケの杏も来ていた


去年は杏が飲んだらしい


「わあ!濃い赤色!血の色みたい」


下の取手が長い丸いグラスに注いで入れてくれた


「じゃあ、20歳のお祝いに、乾杯!」


そう言って3人でグラスを持ってグラスをチンと打ち付けて鳴らして飲んだ


「本来はワイングラスはお祝いの席では鳴らさない方が良いけど…まあ今日は家族だからね」


「うん、分かった!」


「どう?」


「うーん…何か変な味…」


「あはは、アンと同じ感想だね」


「マコトはお酒好き?」


「外に居た時は付き合いで飲む事は有ったけど…正直僕もそんなに美味しいとは思って無かった」


「じゃあ一緒だね!」


「あはは、そうだね」


「僕グレープジュースの方が良い」


「やっぱりインはガキだよね」


「何だよ、アンだって美味しくないって言ってたんでしょ!」


「でもマコトが私のお祝いで用意してくれたからちゃんと全部飲んだわよ」


「僕だって飲むもん!」


そう言って僕はグラスに注がれたワインをゴクゴクと飲み干した



「こらこら2人とも…インもムキになって無理しないで…」


「ぐう…」


僕はそのまま眠ってしまった




「インはお酒に弱いみたいだね…」


「やっぱりガキだった」


「アンは一瓶飲んでも平気だったから多分その辺は僕に似たんだろうなあ」


「そうなんだ!マコトはお酒に強いんだね!」


「どうなんだろ?沢山飲んだ事無いから分からないけど…今まで酔っ払って意識が無くなるとかそう言う経験は無いなあ」


「ふふ、嬉しい!」


「アンは酔っ払いたく無いんだね」


「そうじゃ無いよ、マコトと似てる事が嬉しいの!」


「あはは、そうなんだね」


「でも…私の時も用意してくれたけど…高かったでしょ?大学にも入学したし…」


「まあ、働いてた時の貯金も有るし昔から特に欲しい物も無かったし実家にずっと居たからお金を使う事も無かったし。今は使うのは自分の入学金と学費位かなあ。インの学費は今はお父さんが出してくれてるから」


「そっか」


「昔からお父さんにお前は学費以外で金がかからない子だって言われてたよ。あはは」


「そうなんだ、マコトは車にも乗って無かったしね」


「そうだね、公共交通機関の方が渋滞も事故も無いし時間通りだからね。自転車だって中学の時に御月に買って貰ったのそのまま大人になっても使ってたよ」


「あはは、そうなんだ。まあ私もインも部屋に何も無いって言われてるから…物欲が無いのは2人ともマコトに似たんだね」


「そっか、そうだね。だからインに入学祝いにピアノが欲しいって言われてびっくりしたよ」


「まあ、それは自分ってより多分マユの為だね」


「買ってあげても良かったけど…習いに行く訳でもこの先自分が弾く訳でもないって言うから…無駄になる事には教育上良く無いと思ってお金を出さない事にしたんだ。将来カイに譲るって事で電子ピアノで妥協したけど」


「まあ妥当だね。ピアノならマユは家に有るし。電子ピアノなら持ち運びも楽だし将来カイの情操教育に役に立つかも知れないしね」


「そうだね。インは好きな人の為にお金を使いたい子なんだね…」


「むにゃむにゃ…」


「ホント猫だわ…高級ワインよりまたたびで良かったんじゃない?」


「もう20歳なのに…甘えん坊だなあ…」


そう言ってマコトの膝枕で腰に抱きついて眠ってる僕の頭を撫でていたみたいだ


「じゃあ開けちゃったしインも飲めないだろうから2人で飲もっか」


「うん!」


残りのワインはマコトと杏で飲んだらしい





○○○○○○○○○○




「ねえねえ!夏休みどうする!?」


最近忙しそうにしていた麻由と夏休みに入って漸くゆっくり会って話ていた


「今年の夏休みは…私、来週から海外に短期留学する事にしたの」


「えぇっ!?」


「だから最近語学を習いに行ってて忙しかったのよ」


「そんなっ!じゃあ夏休みはずっと会えないの!?」


「まあ、そうなるかしら…」


「やだやだ!寂しい!何で教えてくれなかったの!?」


「絶対ゴネると思ったからよ。本場の…世界のピアノに触れてみたいのよ」


「じゃあ僕もついてく!」


「インが行ってどうするのよ…何もやる事無いでしょ?」


「マユが帰って来るの部屋で待ってる!」


「何言ってんのよ…ホームステイするんだから無理よ。もうホームステイ先も決まってるし…詰め込みスケジュールだから帰っても勉強やら色々忙しいのよ。遊びにも行けないしインの相手は出来ないわよ」


「またマユがおっぱい揉まれちゃう!」


「揉まれないし!揉ませないし!ホームステイ先は老夫婦しか居ないから!」


「僕会えないと毎日心配しちゃう…」


「大丈夫だから…ピアノと勉強以外何もしないから安心して、約束するから」


「じゃあ結婚して!」


「けっ!?結婚!?何でそうなるのよ」


「結婚してくれるって約束してくれないと安心出来ない!約束してくれないならついてく!」


「はあ…小学生かよ…仕方ない…ついて来られても落ち着いて留学出来ない…分かったわ…」


「ホント!?」


「ただしお互い卒業してからよ!その時もまだお互い好きならしても良いわ…」


「僕なら大丈夫!絶対マユ以外の女の子好きにならない自信ある!」


「そっかそっか、有難う」


「新婚旅行どこに行こうかなあ!マユはどこ行きたい?」


「言っとくけどまだ籍も入れて無いからね!現段階は口約束の婚約よ!」


「子供は何人欲しい?」


「聞いてないなこりゃ…ちょっと留学行くってだけで大変だわ…」


「じゃあ約束だよ!」



そう言って僕はマユの手を取って左手薬指にキスをした


「約束…指キスげんまん…」


「それを言うなら指切りでしょ…んんっ…」



そのまま指を咥えて舐めたり吸ったり甘噛みしたりした


「コラっ!いい加減にしなさい!」


頭をバシバシ叩かれた





僕は20歳になって大人になって麻由と結婚の約束をした


韻は半ば強引に婚約したようです


友晴と違って胸キュン感ゼロですな…

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