21歳の約束
5度目の花火…
ですが今回はエロ無しです
夏になり私は21歳、友晴は20歳になった
今年の夏も友晴と花火に行く約束をした
今年もお互い浴衣で、そして今年も友晴は私より早く着いていた
「思えばトモハルと花火を観にに来るのは5回目だね」
「そうだなあ…俺にとってはアンとの節目が花火だなあ…」
「ふふ、そうだね」
付き合い出したのも花火の日だったなあと思い出していた
手を繋いで始まるまでぶらぶら歩いていた
「俺も今年で20歳になった…」
「そうだね、一応大人として世間では扱われる歳だけど…正直学生だと余りピンと来ないね」
「そうだよね…まあ大人の自覚って今の所大手を振ってお酒が飲める…位かなあ」
「トモハルはやっぱり20歳になるまでは飲まなかった?」
「まあ…一応警察一家だから外ではなあ…でも…白状すると家だと少しだけ…」
「あはは」
「別に飲みたくて飲んだ訳じゃないぞ?親戚が集まる新年会とか…やっぱり集まる周りは体育会系のノリだからなあ…」
「ふふ、成る程ね」
「アンはもう20歳超えてるから…お酒は飲んだりする?」
「まあ…20歳のお祝いで飲んでみたけど…正直美味しいとは思わなかった」
「あはは、そっか。酔っ払ったりした?」
「ううん。何ともなかった」
「そうなんだ、じゃあ強いんだね。アンを酔わせてってのは無理だな」
「何それ!私酒豪みたいじゃない。沢山飲んだ事無いから分からないよ」
「あはは」
そんな風に話していると花火が始まるアナウンスが流れて来た
「あ、そろそろ始まるね」
「うん」
暫く2人とも黙って眺めていた
花火も大詰めになってきた頃友晴が口を開いた
「アン…」
「何?」
「俺、ずっとアンが好きだよ…」
「うん、私もトモハルがずっと好きだよ…」
「来年も再来年も…ずっとこの先もアンとこうしていたい…」
「うん…」
「俺、まだ学生だけど…」
「うん…」
「卒業したら…俺と…」
「うん…」
「結婚して欲しい…」
「うん…」
「まだ婚約指輪とかは買えないけど…」
そう言って友晴は私の手を取って左手薬指にキスをした
最後の打ち上げ花火が上がってそれを背にして私の手を取って指に口付けしている友晴の姿を見て幻想的だなあと思った
自分の事で無い様な…映画やお伽噺の世界の様な…何処か現実でない様な…そんな気持ちでその光景を眺めていた
私は友晴とこの先ずっと一緒に…
結婚しても良いと思っていた
でも…
ちゃんと話し合わなきゃいけないなと思った
「今日…家に来て?」
「うん」
花火が終わって友晴を家に誘った
一緒にシャワーを浴びて部屋へ案内した
ベッドに2人で腰掛けて私は切り出した
「私、トモハルの言葉、凄く嬉しかったし、私もトモハルと結婚したいって思ってるよ」
「うん」
「でも…私の…いとこ…の事件…トモハルも良く知ってるよね?」
「うん…」
「トモハルの親もお爺さんも警察の人だし…結婚相手の親族に犯罪経歴のある人は…結婚は難しいんじゃないかな…」
「うん…そうだよ…だから俺は警察になるのはやめる事にしたんだ…」
「えっ!?」
「この先アンと居られないなら警察になりたいと思えないから…」
「そんな!私の為に…」
「まあ…元々凄くなりたかった訳じゃないし…流されて成り行きで目指してただけだから…」
「でも…」
「それにね、何か…アンを見てると…そんな事件を起こす身内が居るって信じられなくて…お母さんも叔父さんも立派な医者だし…」
「うん…マコトは…レイプしたり殺人なんて出来る人じゃない!優しいし第一…」
「?」
「マコトはね…大人の女の人とはセックスしない…出来ないの…」
「えっ!?」
「多分…嵌められたんだと思う…」
私は真相を知っていたがぼかして話した
「相手の女はマコトの患者の母親で患者は母親に恨みを持っていた!マコトは親身になって診ていたけど…殺害して解決させる様な安易で短絡的な事はしない!」
「うん…」
「死因は心臓発作になってるけど…色々怪しいの…母親はまだ若く仕事も活動的にしていて通院歴や持病などは無く健康だった」
「みたいだね…記事にもチラッと書いてあった…」
「他に暴行を受けた打撲跡や刺し傷などの外傷も無く室内でレイプされた位で心臓発作を起こすのか…ちゃんとしっかり死因を調べたのか…誰か殺害を手助けした第3者がいたのかも…」
「そうなんだ…」
「レイプだって…ちゃんと調べたのか疑問があるの!生きてる人間にするのと、死体になって犯すのと…ちゃんとヴァギナの損傷などの組織を調べれば違いが分かるはずなんだけど…解決を急いで状況だけで判断されてると思ってる!」
「そっか…アンは医者を目指してるから…その辺りは詳しそうだね…」
「患者と関係を持った子供達も…マコトは本当に相手が好きだったし合意があったし相手にも好意を持たれていたから慰謝料などは請求されなかったし!まあ未成年の16歳以下だから犯罪にはされてしまったけど…」
「そうなんだ…」
「だけど…結果としてはもう判決されて決着してるし、被害者の遺体も無いから今更どうにもならないけどね…」
どうしてもマコトの事になると熱が篭った言い方になってしまう
もっと冷静に話さないとダメだったかも知れない…
「そっか…俺…」
「?」
「そう言う人を助ける仕事がしたい…」
「助ける?」
「もう亡くなってしまったいとこの方はどうしようも無いけど…自殺まで追い詰めないで…現状の法律内で出来るだけ助けてあげられるような…」
「うん…」
マコトは本当は生きているけど…
この事はこの先も友晴に伝える事はしないと決めていた
「色々迷ってたんだけど…俺は弁護士になりたいと思う」
「弁護士?」
「うん。警察や検察じゃ出来ない…無実の人を助けて弁護して…助けて行けるような…」
「やっぱりトモハルは正義感が強くて優しいね」
「そうかな?」
「うん。私の好きなトモハルだ…」
そう言って友晴に抱きついてキスをした
友晴がこの時弁護士だったら…
マコトの事を助けられたのかも知れない
戸籍や顔を変えたりしなくても…
私の大好きなマコトの姿のままでいられたのかも知れない
なんとなく田所を匂わせた杏でした
まあ概ね言ってる事は間違って無い…かな?
しかし…胸キュンシチュエーションでプロポーズされようとブレない杏ですが…




