杏の目覚め
「調子はどう?」
「うん、櫂も亜瑠も元気だよ」
地下施設に行ってマコトに会っていた
前は私が会いに来ると韻がくっついて来ていたが最近は忙しいのか一人で会いに来れる
櫂は私とマコトの受精卵をドライに着床させて生まれた子、亜瑠はフォウとツウの子だ
この2人は最近同じような時期に生まれた
マコトの事件で病院を家宅捜査される時に地下施設の事を隠蔽する為にフォウとツウはホテルに暫く隠されて生活していた
亜瑠はその時にフォウに出来た子だった
ドライは叔父と御月の子、フォウとツウは叔父と宮乃の子だった
ドライとフォウは精神疾患があり、ツウは口が聞けなかった
地下施設は本来は八神の交配で生まれた子で何かしら障害がある…遺伝子の浄化から弾かれたモノが生活する場所だった
戸籍もなく名前も番号で割り振られていた
その中から宮乃の要請で臓器のドナーとして旅立つモノやドライやフォウの様に母体として使われるモノ、ツウの様にこの施設で働くモノなど割り振られていた
本来弾かれたモノは番号を割り振るが今回は名前をマコトがつけていた
櫂は私とマコトの子で障害も無いので落ち着いたらマコト…神谷の子として外で育てて行く様だ
戸籍も既に神谷櫂として登録してある
亜瑠は…
ドライとツウの子…正式な八神の人間と認められていないので最初から戸籍は無い
障害は今の所無いようだがその内ドナーとなるのだろう
叔父はこの子が奇形で無かったので何だか残念そうにしていた
叔父の奇形の研究についてもマコトから聞いていた
この施設の説明を聞いた時も特に何の感慨も浮かばなかった
恐らく八神の代々の交配で濾過されて来た私は無駄な感傷的な感情も削ぎ落とされているんだろう
そして弾かれたモノにも名前を付けるマコトはやっぱり優しいなあと思っていた
「アンは最近どう?」
「うん、問題なくやってるよ?」
「インが言ってたよ、付き合ってる人が出来たって」
「うん、トモハルだよ。インとも仲良い友達の。凄く優しくて良い人だよ。マコトみたいに」
「ははは、僕は優しくて良い人かは分からないなあ…」
「世間でどう言われようが、私の中では優しくて良い人だよ」
「そっか、有難う」
「インもね、今好きな人がいるんだよ?」
「そうなんだ、良かった。安心した」
「そう?」
「うん。アンもインも僕と違ってちゃんと人を好きになって人を愛してくれてるみたいで…」
「そう…マコトがそう言うなら良い事なんだね…」
愛してる…
私には本当はその事にイマイチピンと来て無かったけど多分マコトやトモハルに思う感情がその事なんだろうと思った
マコトは愛するって事が分からないって言ってたけど…
マコトは優しく頭を撫でてくれた
私はぎゅっと抱きついて、ああ、これが愛されてるって事なんだなあと思った
櫂が私の手をぎゅっと握ってニコニコ笑っていた
「可愛い…櫂は、私とマコトの初めての子だね」
「そうだね、アンも八神の使命を立派に果たしたね」
「そうだね…でもまだ…」
「?」
「櫂は男の子だから…女の子も必要でしょ?」
「まあ…そうだけど…」
「この先八神の子を作る為にもドライとフォウだけじゃダメだよね」
「でも…僕はもう八神の…浄化された遺伝子にはこだわってないよ?」
「マコトにも治療して研究するする女の子が必要でしょ?」
「まあ…それは…」
「こんにちは、アンちゃん」
そう話していると田所がやって来た
「こんにちは、田所さん」
「今日はインくんは居ないのかな?」
「はい、最近忙しいみたいで」
「そうなんだ。まあ僕はインくんに嫌われてるみたいだから顔を合わせなくて良かったかな」
「そうですか…」
韻はまだお葬式の事とマコトを嵌めたことを根に持っているようだ
まあ色々思う所はあるがマコトは無事だったし、私は終わった事には気に留めない事にしていた
後は田所には使い道がある
薬の知識やその他色々手口を教わるつもりでいる
「また色々お話聞かせて下さい。私も医者を目指しているので参考にさせて欲しいです」
「ははは、僕の話は余り参考にはならないかも知れないけどね」
「いえ、田所さんのお話は楽しそうですし興味が有ります」
「興味ね…まあ、追々ね」
「それじゃあ私はこの辺で」
「うん、またアンとインの事色々聞かせてね」
「うん」
そう言って立ち去った
田所は定期的にマコトに会いに来ていた
主にマコトから引き継いだ病院での報告や…
「んんっ…」
「まだ我慢しますか?」
「んぁっ…」
「じゃあ、中弄りましょうか…」
前に田所が来ているのを知らずにマコトの所へ行った時にマコトと田所がいるシャワールームでの会話を聞いてしまった
韻の話だとマコトは御月に浣腸されてアナルを弄られる調教をされていたらしい
暫く御月から引き継いで韻がマコトにしていたようだ
『マコトは可愛い声で鳴くんだよ!』
そう聞いて初めて韻が羨ましく思った
今は韻が忙しくなって田所がやってあげているのだろう
韻の話だとマコトはセックスするよりこちらが好きらしいので、いずれ私がやってあげたいと思っていた
杏サイドは青春ストーリーで忘れかけてた八神家の話の続きです
自称友達の田所は律儀に通ってマコトのお世話をしてくれてるみたいです




