韻の憂鬱
韻には韻なりの言い分が有るようです
「こら!イン!窓から出るのはやめなさいって言ってるでしょ!」
「この方が早く出られるもーん!じゃーねー!」
僕、八神韻は去年の春から中学校に通う事になった
今は中学2年、そして、ガミガミうるさいこの女、杏は…
歳は僕の1つ上、同じ両親から産まれたきょうだいだが、お爺ちゃんの妹の娘として他所の家に住んでいる
顔は僕と杏はよく似ている
というか僕の親族はみんな似ている
これには色々理由があるが…
まあ、そう言う訳で周りに説明するのも面倒だし、顔もよく似ているので普通にきょうだいと言っている
歳は1つ違うが杏は中学に入ってすぐ位に長期休学していたので、留年させて次の年に僕と同学年として始める事にした
僕は中学に入るまでは学校にも、他人とも殆ど会った事が無かった
今まで僕は地下施設に世間から隠されて育った
なので多少世間知らずな自覚はある
そう言う経緯も有るので杏を同学年にして僕の監視役を頼まれてるみたい
でも何か杏のそう言う、私年上ですからって感じもムカつく
一個しか歳違わないのにさ
そして僕がそんな風に地下施設に隠されていた理由は…
「わぁ!お前指が6本有る!」
入学して最初の日に教室で周りに騒がれていた
「うん、そうだよ?」
「何か…こえーなー…」
「そう?便利だよ?」
指が6本有った。普通は5本らしい
それ以外は他の人と変わらないと思うんだけど、それだけで僕は表に出ちゃダメな人間だった
そんな僕を外の世界へ連れ出してくれたのが僕の大好きで愛してるマコトだ
マコトは僕のお父さんで、お母さんは御月と言った
御月は僕も好きだけど1番愛しているのはマコトだと言った
御月は僕にマコトの事を色々教えてくれた
マコトの好きな事やマコトが気持ちいい事…
マコトは優しくて純粋で可愛いけど、心が弱くてすぐに悪い誘惑に騙されちゃう事…
御月は僕が5歳の時に自殺した
35歳で自分は居なくなるから後は頼んだと御月にマコトを託されていた
その時初めてマコトに会ったけど、聞いていた通り優しくて可愛くて最初に僕を抱きしめてくれて一目で大好きになった
今ではマコトを独り占め出来るし御月が居なくなって良かったと思っている
「なあ、イン!アンちゃん紹介してよ!」
「えー、あんな小煩い女どこが良いの?おっぱいだって小さいしさあ」
「可愛いじゃん!頭も良いし、真面目だし、しっかりしてるし…」
「そうかなあ?」
ただのガリ勉じゃん
面白い事とか何も言わないし怒ってばっかだし…
つまんない女だよ
「彼氏いないよなあ…何かキスとかもまだそうで清純そう!」
杏はマコトとの子供一回作ってるからね
ヤリマンだよ?
そう、僕が杏に我慢ならない所はそこ!
杏はマコトとセックスして子供まで作れるなんてズルい!
「僕とはセックスしてくれないの?」
マコトに聞いたら
「インとはしないよ」
ってあっさりハッキリ言われてしまった
「なんで!?杏とはするのに!」
「杏は子供が作れるからね。生産性の無いセックスは僕はしないよ」
「それ…なんか昔に似た様な事言って炎上した政治家いなかった?」
「僕は政治家じゃないからね」
「むう!」
杏が休学してた事をよく知らない人は僕と杏は双子だと思っている人もいる様だ
それ位顔はよく似ているのに…
「マコトはねえ、この間机の角で足の小指ぶつけてうずくまって涙目になっててホント可愛い…アンは知らないだろうけどね!」
「…」
僕にはマコトと暮らしていると言うアドバンテージがある!
杏の知らないマコトの話で悔しがらせる事位しか今の所は出来ないけど
僕の可愛いマコトの気持ちイイ所をグチョグチョに突いてイかせまくってヒイヒイ言わせながら可愛い声で鳴かせたいなあ…
あぁ…早くマコトと気持ちよく幸せな気持ちになりたいなあ…
杏と初めて会ったのは、うちの病院で出産する時だった
マコトとの子供は死産だった
たとえお腹の中で死んでしまっていても出産はさせる
男の僕には想像出来ないけどまだ杏も子供だったので痛いし辛いし苦しかったとは思う
思えば同情の余地のある経験ではあるが…
当の本人はその辺りは全然気にしていない様だ
出産した後も
「やっとお腹がスッキリして軽くなった」
なんてケロッとしていた
マコトとの子供が死んじゃったってのに…
杏は勉強のし過ぎで色々頭がおかしくなってると思う
当然の様にマコトにも可愛がられてて将来も期待されてて医者になりたいなんて言ってる
そんな冷血感な人間が医者なんてなったら世も末だ
それなのに周りの人達は僕の面倒をよく見る賢い優しい姉だと思っている
本当にタチが悪いコイツは…
まあ、良くあるきょうだいの関係ですね
ある意味このきょうだいの感情だけは健全な感じなのかな?
他はお互い色々おかしいけど…




