韻の複雑な家系
韻は色々疑問に思ったようです
「インは飲み込みが早くて頭のいい賢い子だね」
「うん!」
御月がいなくなってから、僕はマコトに勉強を教えてもらっていた
普通の子は7歳になると学校に行くらしいんだけど、僕は地下施設から出られないから行けないらしい
「この間の模擬テストでも良い点数だったから…お父さんを説得してここから出してあげられと思う」
「ここから出たら僕はどうなるの?」
「僕やお爺ちゃんと一緒に暮らすんだよ」
「そうなんだ!」
マコトとずっと一緒にいられる!嬉しい!
「今は戸籍が無いから…何とか僕の養子と言う形にして僕の子供としてあげるからね」
「うん!マコトが僕のお父さんになるんだね!」
「そうだよ…まあ元々お父さんなんだけどね、複雑な事情があって表立って出来なかったんだよ」
「そうなんだ…」
そして、僕が精通した後の冬に初めて地下施設から出た
「今日はクリスマスだからね、インにプレゼントだよ」
そう言って外の世界…マコトが住む世界に作ってくれた僕の部屋へ連れて行ってくれた
クリスマスってキリストの誕生祝いなのに何で誕生日でも無い僕がプレゼントを貰っているのかよく分からなかったけど何だかワクワクして嬉しかった
「これからはインは僕の息子として生活して行くからね。来年には中学校に通おうね」
「うん!」
「その為にも受験勉強を頑張ろうね」
「受験?」
「テストをして合格したら学校に通えるんだよ」
「そうなんだ」
「まあ、最悪公立でも良いけど…出来れば僕やお父さんが卒業した学校の方が色々融通が効くからその方がインにも良いかな」
「うん!分かった、頑張る」
「まあインなら大丈夫だと思うけど…この学校に合格したら、アンと一緒に通うからね。初めての学校生活もアンがついてるから大丈夫だからね」
「アン…」
○○○○○○○○○○
杏はマコトの子で僕の1つ上の姉だった
僕が精通する少し前、出産の為に入院していた
まだ子供の杏は周りや学校にも妊娠を秘密にしていた
表立って人目につかない様にする入院だったので地下施設の部屋に来ていた
マコトの子はお腹の中で死んだらしい
それでも出産はさせなければならない様だ
杏が入院する時にお爺ちゃんが僕に説明してくれた
「杏は眞事の娘でお前の1つ上の姉だ。八神家の使命の為に眞事との子供を作らねばならない。杏は今は私の妹の元で生活している」
「八神家の使命?」
「そうだ。八神の優れた遺伝子のみを残す為に先祖代々交配を繰り返している」
交配…大体は理科で勉強していた
「その為に異常の無い遺伝子を引き継いだ者同士を掛け合わせてより優れた遺伝子を残すふるいにかけている」
「それが使命…」
「残念ながらお前はふるいを通れなかった人間だ。指が多いからな」
「成る程…」
「しかしお前はそれ以外は優秀だ。本来なら一生地下施設で暮らしてもらうが今回は眞事の頼みもあって特別にここから出て生活させる」
「そっか…」
やっぱりマコトは優しくて僕と近くに、ずっと一緒に居たくてお爺ちゃんにお願いしてくれてる…
僕の事を愛してるんだなって嬉しくなった
同時にその優れた遺伝子のみの人間を作るという八神家の使命ってそんなに大事な事なんだろうか?と疑問に思った
「今回は眞事の子供はお腹の中で死んでしまった。でもまあ、次に頑張れば良い」
そっか…マコトの子供…
僕の弟か妹かもだったんだなあ
でも僕の姉の子なら甥っ子か姪っ子?
なんだか複雑だ
「お前は眞事から頼まれて正式に眞事の息子として戸籍に入りその内この施設を出る事になる」
「うん…」
マコトの言っていた事は本当だった
正式にマコトの子として外の世界へ行ける
「しかし、お前は八神家の純血の子孫を残す使命は遂行させられない。指が6本あるからな」
「うん」
「だから、杏とはこの先セックスはしてはならない。杏と子供は作るな。それ以外なら自由にしていい」
「うん。分かった」
僕はマコトとセックスがしたいからその杏って子の事は興味は無かった
興味は無かったが、マコトの子供の事は気になっていた
僕は男だからマコトと子供は作れない
杏が羨ましかったけど子供が死んじゃって悲しんでるかもしれない
僕だったら毎日泣いちゃうと思う
僕の姉らしいし、知らない所で一人で入院も心細いだろうから様子を見に行ってみよう
そう思って杏のいる病室へ向かった
杏はベッドで本を読んでいた
お腹が大きかった
「その子…マコトの子?」
「うん。そうだよ。死んじゃったけど…」
なんだかあっさりしていて全然悲しそうじゃ無かった
「ふうん…でも…いいなあ…」
「えっ?何が?どこが?」
「だってマコトとセックスして子供作れるなんて…羨ましい」
「そうなんだ」
僕にはマコトと子供を作る事が出来ない
「何か…あんまり悲しそうじゃないね」
「うーん、まあそうかな?この後の施術を思うと気が重いけど…まあ長い間中で動いたりして重かったお腹がスッキリするかと思うとそこまでは…」
杏はマコトの事好きじゃないのかな?
あんなに優しくて可愛いのに…
馬鹿な子だなあ
「ふうん…ねえ…」
「なあに?」
「お腹触っていい?」
「うん、良いよ。もう動かないけど」
ここにマコトの子がいるんだ…
僕は杏のお腹に頬擦りしていた
韻は優れた遺伝子と認められていないですが感情は八神家の人の中ではまともな気もします




