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晏陰  作者: 水嶋
晏陰

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マコトの憂鬱

今回はマコトと田所の会話劇となります


マコトも色々思い悩んでる様ですが…

「やっぱり僕に子育ては無理だったみたい…」


「何だか弱気な発言ですね。いつも前向きな八神先生らしくない」


「はあ…」


「そもそも…八神先生は子育てしてました?」


「うっ…痛い所を指摘されてる…」


「確かアンちゃんは生まれてすぐ宮乃さんの所へ預けてますよね?」


「はい…」


「インくんは…確か中学生になるまで地下施設で育てられましたよね?」


「はい…結局インはアンが大半学校で面倒みた感じですかね…」


「でしたよね」


「その後誰かさんのおかげで僕は地下施設でインと離れて暮らしましたし」


「その後ちゃんとインくんも自分の力で医者になったんだからちゃんと目標に向かって頑張れる子じゃないですか」


「まあ…そうですけど」


「八神先生は何をそんなに憂いているのですか?」


「やっぱりアンもインも普通に育たなかったかなあと…」


「普通…ですか」


「はい…」


「でも2人とも結婚して家庭を持って子供も育てていますよ?」


「まあ…そうなんですが…何か僕が思い描いていた姿とは違う様な…インは今だに僕のお尻を狙ってるし…」


「そうですか?例えば八神先生が思う普通ってどんな姿ですか?」


「それを言われると難しいんですよね…多分僕が産まれて育った環境がそもそも世間一般とはかけ離れてると思うので…」


「まあ、八神先生の生い立ちは一般的では無いですね。特殊な部類でしょう」


「そうですよね…僕も正直に言えば普通がよく分からないんですよ。だから普通の事に対して憧れみたいな物もあったのかも知れません」


「そうですか」


「昔よくアキラに…普通はこうじゃ無いって色々教えて貰ってたから…」


「成る程、それじゃあ普通でいる事が幸せだと?」


「まあ…そうですね。アンとインには地下から出られない子達の分まで穏やかで幸せに過ごして欲しいって思ってました」


「八神先生の言う世間一般…例えばアンちゃんはパートの共働き、子育てをしながらSNSで愚痴や認証欲求を満たす書き込みや画像をアップして韓流アイドルの推し活、とかですかね?」


「うーん…」


「インくんは会社員、休日はパチンコやスロットに興じたり家でダラダラ過ごして奥さんに叱られたりマッチングアプリなどで知り合った人と火遊びをしたり?」


「うーん…何だかどちらもその姿が想像つかないですね…」


「まあ今挙げた例はほんの一例ですが。世間の人が皆こうして過ごしてる訳じゃないですよね?」


「まあ、そうですよね。僕には無いですが趣味も人それぞれ皆違いますし、仕事も多種多様で生活時間帯も皆同じ訳では無いですしね。休日働いて平日休みの人も居ますし…」


「たまたまアンちゃんとインくんは医者になりましたが、世間には医者も沢山いますよ?」


「そうですね…」


「同性しか愛せない人も沢山居ますし、八神先生の様に子供としかセックス出来ない人も居ます。無論僕も人とは違う性癖を持っています。しかしそれは全て普通では無いのでしょうか?異性しか愛せない人と他に何が違うのでしょうか?」


「確かに…」


「そうなると…『普通』と言う定義は曖昧で確定させるのは難しいですね。多数決で決めますか?最大数の『普通』とされる物も詳しく紐解けばそれぞれ違うでしょう。そうなれば『普通』と言うものは存在しないし、そのくくりでも『普通』と言うのであれば全てが『普通』になりませんか?」


「うーん…まあ乱暴な結論な気もしなくもないですが…頷ける所も有りますね…」



「子育て…と言いますが果たして世間の親と言われる人々はそんなに完璧にこなしているのでしょうか?それが出来ていれば精神科医なんて必要ないでしょうね」


「そうですね…現に10代の子供の自殺も患者も多いですしね…」


「子供も1人の人間ですよ?ちゃんと意思も有ります」


「そうですね」


「大人になるにつれて間違っていると思う事は自分で修正して行くんじゃないですか?それをしない、出来ない人はそもそも間違って無いと思っているかそれで良いと諦めて受け入れているか…どの道自分の人生は自分で選択していかなければならないんですよ?」


「確かに…」


「例え親であろうとも人が介入して正しいとされる行動を一生強要する物じゃないと思いますよ?子供はペットじゃないんだから鎖で繋いで躾けは出来ませんよ?あくまで親は将来困らない様なサポートしか出来ないと思いますよ」


「まあ…極論を言えばそうですね。そのサポートを僕はしてあげる機会が無かったですが…」


「世間には育児放棄や自分の憂さ晴らしに子供に暴力などのDVをする親も居ます。八神先生はアンちゃんとインくんと過ごす時間は少なかったと思いますが…ちゃんと2人から慕われてますよ」


「それは実感してますが…ちょっと度が超えてる気も無きにしも非ず…何故だろう…」


「八神先生自体に魅力があるんでしょうね。人を狂わせる程の。やっぱり純粋だから…」


「そんな…余り嬉しく無いスキルだ…」


「まあ、結論を言えば親は無くとも子は育つ…昔から言われて来た事なんであながち間違って無いと思いますよ?」


「そうですね…」


「僕には子供が居ないので…結局は子育てに関しては良くわかりません」


「あはは、精神科医も匙を投げましたか…」


「まあ、元、ですがね」


「でも、後継者…教え子はいるでしょう?」


「まあね…僕の子供…と言うより今は同業者…片割れみたいなものですがね。隙あらば僕の命を狙ってる様な中々見込みのある子ですよ」


「それは物騒な…」


「でもまだまだですかね。この間の仕事でどうやらインくんが勘付いたようで。詰めが甘い所は指摘しましたよ」


「そうですか…一応インも仕事頑張ってるんですね。しかしその情報は何処から?インが田所先生に直接伝えるとは思えないですが…」


「まあそれは…誰かの敵は誰かの味方…巡り巡って自分の利益になるって事ですかね」


「そうですか…まあまた巻き込まれたく無いんで詳しくは聞かないでおきます」


「ははは、賢明ですね。流石ミネラルを含んだ地下水になっただけの事は有りますね」


「変に関わってやっとなれた今の職を失いたく無いですからね。同じ轍は踏みませんよ」


「八神先生は…理想の楽園は作れましたか?」


「まあ…もうすぐスタートですかね…ここまで随分かかりましたが…誰かさんのせいで」


「それは良かった。お父さんはその後どうですか?自宅療養されてるんですよね?」


「父は…父も…楽園の主になってますよ。この地下施設で…空想の世界で…」


「そうですか。親子揃って理想が叶って良かったですね」




「そうですね…」




父も僕も…

現状…置かれた事柄を抗わずありのまま受け入れる… 似た者同士…


誰にもその様に教育された訳でも躾けられた訳でも無いのに

八神の浄化された遺伝子がさせる思考なんだろう


恐らく新たなステージの人間とは争いや戦いなどの感情も不要な物となっているのだろう


冷静で公平な正しい判断と選択、最短に無駄なく安全な行動をする上でもあらゆる感情は主観が入って妨げられる


この先きっと交配を続ければ全ての感情を持たない人間になるのかも知れない






それが正しいのかどうかは僕には分からない…


マコトはチョコチョコ嫌味を挟んでますが田所は完全スルーの様です


そして余り有益でもないアドバイスをして受け流してました


マコトも基本トンチキなんで多分それ程深刻に悩んで無さそうです

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